夢って言うのはね、上げて落とすスタイルなんだよ。
「・・・・てなわけで、俺はこんな姿になっちまったわけだ」
そんなわけで、いや、特に理由なんてないが回想終了。異論は認めない。
かれこれ、1時間ぐらいだろうか。こんなに話をしたのは人間だった頃もないと思う。
「へー そうなんすかー」
セラは棒読みで、いかにも興味ないですよーといわんばかりの目で言った。
しゃがみ込んだ目線の先にはなんかよく分からん象形文字。
いや、これは絵だ! 多分、猫だ! なんか足が5本ぐらいあるように見えるけど多分そうだ。
ここで俺の新たな趣味をお教えしよう。 俺の趣味は、猫を愛でることだ。 俺は猫が好きだ。 以上。 無類の猫好きの俺以外には分からないだろう。
「ふっ ・・・・ポチ」
・・・・犬だったようです。
一応言っておくが俺の目が節穴なわけじゃないぞ。
セラの絵はなんというか、婉曲に言うと独創的で常に時代の先を全速力で駆け抜けているような。 早い話、下手だった。
なんか、必要以上にぐにゃぐにゃしてるし、変なパーツみたいなのあるし。
一番は輪郭だ。 ミミズが這ったようなという表現を体現しているかのような。そんな筆、いや、枝使いだった。
不意にセラの枝が止まった。 ポチ2号(仮名)がこの世に生まれなくて本当に良かったです。
「どうでもいいっすけど あんたは聖剣じゃないんすか?」
沈黙が痛い。
無言嫌い。
大っ嫌い。
・・・ていうか、どうしよう。
聖剣って言った方が良いのかな?
今さらだが、聖剣ってなんだ!? 俺、聖剣作ろうとしてたけど、よく分かってないぞ!? 魔力がめっちゃこもった剣じゃないの!?
俺の人生は良くわからん物のために費やされてきたのか・・・
「・・・自分でも良くわかんないです」
俺が悩んだ末に出したのはこれだ。
これなら、変な嘘考えなくても良いし! それに本当のことだし!
なんてテンション上げないとやばい俺。
セラはおもむろに立ち上がり、俺を見下ろしながら、
「ふーん、まあいいっす」
そう言って、両手を俺の体に・・・
「聖剣じゃなくても、なんでもいいや~」
「ぐぎゃぁぁ!!」
突如、俺の体に電流が走る。 ミシミシと俺の体が軋む。
「いでええええ」
ああ、あれはなんだろう。
昔の記憶が、鮮明に。 アルバムをめくったときのように・・・・
これは・・・走馬燈!
この剣は、刀身はオリハルコンを使っているが、柄はごくごく普通のものだ。
ならば、必然的に柄の方がもろい。
このままいけば・・・死ぬっ。
走馬燈が見えているということは、その一歩手前だ。
いまもなお、絶え間なく続く痛み。 これが俺の望んだことなのか・・・
「もうすぐっ」
ギュッという効果音。 これは痛みの倍増を意味する。
「ぐわあああああ」
痛みによる死を、痛みによって無効化する。 なんかかっこいいな・・・
「ふんぐっ」
・・・もう、終わりにしてくれ。
そんな俺の願いが届いたのか天使の声が聞こえた。
「おりゃああああ!」
こっちじゃない。
「ゴゴゴゴ」
こっちだよ。 ちなみに今のは地面の音。
俺の体と地面とのお別れを意味し・・・
「あれ?」
しなかった。
なぜなら・・・
「まだ、刺さってるっす 持ち上がったけど」
そうだ、この女。
・・・・地面ごと俺を抜きやがった。




