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さあ、勇者よ。俺を抜け!!  作者: 来栖明埜
俺、聖剣になり・・・・ました
3/7

俺に神がもたらした希望・・・・

「動けねえ・・・・」

 俺は独り、そう呟いた。

 聖剣になってから腹時計で4時間ほどが経過した、と思う。

 いまだ、俺に気づく村人はいない。

 なぜって?そりゃ・・・

 

 ここには人が来ない。多分、元々人が少ない村の、町外れ辺りだろうか。

 今まで、人っ子一人目撃していない。

 

 もう、土は乾ききって水たまりも見あたらない。俺の姿をもう少し見たかったんだがな・・・

 とりあえず、聖剣の特徴を羅列することにしよう。

 まず、長さはいわゆる片手剣ぐらいだったかな。正確な長さはよく知らん。

 ・・・・・・・終わったー。 俺が作った剣なのに知ってる情報少なさ過ぎだろ・・・


 沈黙が辛い・・・・・

 誰か。誰でも良いんでここに来てくれないかな・・・・・

 

 そうだ! 今の俺は聖剣なんだ!!

 だったら、ここに来た誰かに抜いてもらえば良いじゃないか!! そうすれば、俺はここから抜け出せて元に戻る方法を探せばいい!!

 なんで、4時間もここに居て考えつかなかったんだろう。目から鱗だ! 目がどこにあるのか分からんけど。多分、柄の辺りかな?

 よし、待つぞ。こうなったらとことん待つぞ。

 じっとしてるのは座禅でなれてる。

 誰でも良いから俺を抜いてくれる人を、待つぞ!

 俺の心は燃えていた。

 そう、この時は・・・・・・



 数時間経過。


 来ない!!

 誰も来ない!!

 おかしいだろ。誰もいないなんて。

 俺の心も体も限界だった。

 もう、いっそのこと殺してくれ・・・・

 

 と。諦めかけたその時!

「こんなとこに何だ?」

 声からしてがたいの良さそうなおっさんが現れた!! 

 というか、何で?

 俺ずっと見てたよ?

 

 ああ、そうか。

 動けないから後ろ見えてないんだ・・・

 

「何だ?」

 おっさんは興味深そうに俺の体を突っつく。

 ちょっ。くすぐったいって。

「剣か?」

 正解!! 大正解だよ!! こうなったらもうやることは一つでしょ?

 抜いて、早く抜いて!!

「抜いてみるか・・・・」

 あんた凄いな!!

 テレパシーでも持ってんのか!? 

 俺、さっきから喋ってないよ!?

 それに、地面に刺さってる剣みたいな物を見たら、大体無視すると思うよ!?

 

 俺はおっさんに初めて尊敬の念を抱いたような気がした。

 だって、俺の知っているおっさんって村長だし。

 最低のクズ野郎だし。

 

 おっさんは俺の体をつかみ、引っ張り上げた!!

「ふんぬっ!!」

 俺の体は地面を離れ、刀身の部分も太陽の光を・・・・・


 ・・・・・浴びなかった。

 びくともしなかったです。 そんなに重くはないと思うんですが・・・・

「重っ 動かねえな・・・・」

 おっさんも驚いている。 諦めないでっ! まだ一回しかチャレンジしてないよっ。 「何事もチャレンジだ」 これ、鍛冶屋の常識。というか俺のモットー。

 

 おっさんは、首をかしげ(全然可愛くないです)ひとしきり悩んだ後。

「しゃあねえ。諦めるか。」

 おっさんは帰り始めた。

 おい! 早いよっ。

 俺の言葉は非情にも届かず、おっさんの姿はもう見えない。

 というか、後ろなんで初めから見えてないんだけどねっ。


 さようなら。おっさん。

 顔も名前も知らないおっさん。

 少しの間だけど、尊敬してたよ。

 ・・・もうしてないけど。

 

 おっさんは俺に僅かな希望をもたらし、颯爽と消えていった。

 

 上げて落とされた俺は、絶対におっさんは信じないと大空に固く誓うのであった。

「・・・・・絶対、許さねえ!!」

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