俺に神がもたらした希望・・・・
「動けねえ・・・・」
俺は独り、そう呟いた。
聖剣になってから腹時計で4時間ほどが経過した、と思う。
いまだ、俺に気づく村人はいない。
なぜって?そりゃ・・・
ここには人が来ない。多分、元々人が少ない村の、町外れ辺りだろうか。
今まで、人っ子一人目撃していない。
もう、土は乾ききって水たまりも見あたらない。俺の姿をもう少し見たかったんだがな・・・
とりあえず、聖剣の特徴を羅列することにしよう。
まず、長さはいわゆる片手剣ぐらいだったかな。正確な長さはよく知らん。
・・・・・・・終わったー。 俺が作った剣なのに知ってる情報少なさ過ぎだろ・・・
沈黙が辛い・・・・・
誰か。誰でも良いんでここに来てくれないかな・・・・・
そうだ! 今の俺は聖剣なんだ!!
だったら、ここに来た誰かに抜いてもらえば良いじゃないか!! そうすれば、俺はここから抜け出せて元に戻る方法を探せばいい!!
なんで、4時間もここに居て考えつかなかったんだろう。目から鱗だ! 目がどこにあるのか分からんけど。多分、柄の辺りかな?
よし、待つぞ。こうなったらとことん待つぞ。
じっとしてるのは座禅でなれてる。
誰でも良いから俺を抜いてくれる人を、待つぞ!
俺の心は燃えていた。
そう、この時は・・・・・・
数時間経過。
来ない!!
誰も来ない!!
おかしいだろ。誰もいないなんて。
俺の心も体も限界だった。
もう、いっそのこと殺してくれ・・・・
と。諦めかけたその時!
「こんなとこに何だ?」
声からしてがたいの良さそうなおっさんが現れた!!
というか、何で?
俺ずっと見てたよ?
ああ、そうか。
動けないから後ろ見えてないんだ・・・
「何だ?」
おっさんは興味深そうに俺の体を突っつく。
ちょっ。くすぐったいって。
「剣か?」
正解!! 大正解だよ!! こうなったらもうやることは一つでしょ?
抜いて、早く抜いて!!
「抜いてみるか・・・・」
あんた凄いな!!
テレパシーでも持ってんのか!?
俺、さっきから喋ってないよ!?
それに、地面に刺さってる剣みたいな物を見たら、大体無視すると思うよ!?
俺はおっさんに初めて尊敬の念を抱いたような気がした。
だって、俺の知っているおっさんって村長だし。
最低のクズ野郎だし。
おっさんは俺の体をつかみ、引っ張り上げた!!
「ふんぬっ!!」
俺の体は地面を離れ、刀身の部分も太陽の光を・・・・・
・・・・・浴びなかった。
びくともしなかったです。 そんなに重くはないと思うんですが・・・・
「重っ 動かねえな・・・・」
おっさんも驚いている。 諦めないでっ! まだ一回しかチャレンジしてないよっ。 「何事もチャレンジだ」 これ、鍛冶屋の常識。というか俺のモットー。
おっさんは、首をかしげ(全然可愛くないです)ひとしきり悩んだ後。
「しゃあねえ。諦めるか。」
おっさんは帰り始めた。
おい! 早いよっ。
俺の言葉は非情にも届かず、おっさんの姿はもう見えない。
というか、後ろなんで初めから見えてないんだけどねっ。
さようなら。おっさん。
顔も名前も知らないおっさん。
少しの間だけど、尊敬してたよ。
・・・もうしてないけど。
おっさんは俺に僅かな希望をもたらし、颯爽と消えていった。
上げて落とされた俺は、絶対におっさんは信じないと大空に固く誓うのであった。
「・・・・・絶対、許さねえ!!」




