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さあ、勇者よ。俺を抜け!!  作者: 来栖明埜
プロローグ
1/7

夢破れた少年は、時に暴走する。

 君たちには夢があるだろうか?

 ちなみに俺にはある。

 あの日のことは忘れない。いや、忘れることは出来ないだろう。

 そう、あの日・・・・・・

 

 俺には、家族が居なかった。理由は分からない。

 魔王に殺されてしまったと村の人たちは言っていた。

 魔王は見たことはなかったけど、なんとなく嫌いになった。

 両親をかわいそうとは思わなかった俺は血も涙もない奴なのだろうか。

 両親は噂によると魔物を何匹も倒して村を救った英雄だそうだ。

 俺は色んな人に期待されていた。英雄の息子として。

 

 そんなこんなで俺は日々、修行に励んでいた。

 理由は簡単。

 この村には古くから伝わる伝説がある。

 「魔を討ちはらう聖剣 エクスカリバー

  ここに眠る

  これを抜くもの

  勇者となりて邪を滅する」

  

 俺は、これを抜いて勇者になる!!

 その一心で生まれて12年もの時間を勇者になるために使ってきたのだ!!

 具体的には5年前にやって来た綺麗な女の魔道士様が。

「とりあえず、魔力は多いに越したことはないよねー」

 と、言っていた。

「どうすれば、魔力が多くなりますかっ」

「そうね・・・・」

 魔道士様はすごく悩んだ後、俺の頭をガシガシと乱暴につかみながら。

「毎日、座禅だね」

「座禅。ですか?」

「そう。座禅。 集中してやるのがコツだよ」

 座禅をすすめてきた。魔道士様が言うには。魔力の限界を突破させるのに一番効果的らしい。

 その日から俺は、毎日16時間。座禅に費やした。

 村の人たちから、座禅のクリュウとか二つ名を頂戴するほどに。

 毎日の努力ざぜんは絶対に実を結ぶものだと思っていた。あの一二才の誕生日までは・・・・


 あの日は晴天だった。

 この村では、一二才になると聖剣の間に立ち入ることが出来る。

 この日をどんなに待ちわびていたことか・・・・・

「お前の努力は皆が知っている。聖剣も分かってくれるはずじゃ」

 村長は言う。俺の親代わりみたいなものだ。特別な感情がわき上がってくるのだろうか、涙がにじんでいる。

「さあ、エクスカリバーを抜くのだ!!」

「はい。」

 俺は、意を決して一歩を踏み出した。そこには何度も夢の中で会ったことのある聖剣が・・・・・


「これ? なんですか? なんか、抜けたんですけど?」

 ・・・・・すでに誰かに抜かれていた。しかも、よそ者に。

「あっ、あなたは誰ですか!!」

 村長がひどく動揺している。心なしか口元がゆるんでいるような・・・・

「あっ。俺ですか? 俺の名は****ですよ」

 そいつの声が良く、聞こえない。 名前だけがノイズ混じりになったみたいだ。

「そっ。そうですか。ゆっ勇者の。勇者の誕生じゃ!!」

 村長は俺をおいて、よそ者の元へと駆け寄った。

 その時の村長の顔はにじんでよく見えなかったけど、きっと笑ってたんだと思う。

「勇者ですか? まいったな~」

 よそ者はやたらと上機嫌に村長と話している。

 俺は逃げ出した。もう、見てられなかった。

 雲一つない晴天なのに俺が見てる世界はにわか雨が降ってきたようで、ほとんど何も見えやしないのに。


 その後。よそ者は勇者として村人達から歓迎された後、旅立っていった。

 かくいう俺は・・・・グレていた。

 

 そりゃまあ、グレるよな。

 長年の夢が何処の馬の骨とも知らない奴に打ち砕かれたのだから。

 俺は、町外れに小さな家を建て、たった一人で暮らしていた。

 もう、誰も信じられない。村長、マジで殺す。

 そんな俺でも、座禅は毎日欠かしていない。あのよそ者がのこのこ帰ってきた時にぶっ倒すためだ。

 それに、あの魔道士様とまた話したいし。

 

 でも、俺は。勇者の夢を諦めきれないでいた。

 いろんな書物を読みふけって、どうしたら勇者になれるのか調べまくった。

 だがしかし、どの本にも勇者は聖剣を抜いた奴ばかりだ。

 でも、聖剣はもうない。

 

 俺は一つの結論に至った。

 それは。

 自分で聖剣を作り出すこと!

 そして、その剣で勇者になる!!

 俺はそんな新たな夢をもって、鍛冶屋になることにした。

 クリュウ、一三才の夏であった・・・

 

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