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幸せなおじいさんのお話。

作者: 倉岡玉由
掲載日:2007/07/09

とある小さな街に、独りぼっちのおじいさんがいた。


おじいさんはこの街に生まれ、この街で育ち、この街で結婚し、この街で年老いた。


この街におじいさんが生まれた時、彼の母と父と祖母によってとても喜ばれた。


元気に育ったおじいさんは、みんなと同じように学校に行き、みんなと同じように成長した。


大人になったおじいさんは、橋の上げ下げをする橋守になって一生懸命であった。


一生懸命働いていたおじいさんは、街で出会った女性に恋をした。


初めて声をかけたおじいさんは『結婚してください。』と言った。


女性は『喜んで。』と返した。


おじいさんとおばあさんは結婚して、おばあさんは息子を産んだ。


おじいさんとおばあさんは幸せな家庭をきずいた。


おじいさんは仕事が休みになれば、家族でピクニックをした。


おじいさんは息子に言った。『私はお前を世界で二番目に愛しているよ。』


息子は『父さん、一番目は誰?』と聞いた。


おじいさんは『お前のお母さんだよ。』と答えた。


息子は大きくなって、家を出て働き始めた。


一生懸命働いていた息子は、街で出会った女性に恋をした。


初めて声をかけた息子は『結婚してください。』と言った。


女性は『喜んで。』と返した。


息子がその話をしたとき、おじいさんとおばあさんは二人だけで笑いあった。


息子と女性は結婚して、女性は子供を産んだ。


息子と女性は幸せな家庭をきずいた。


息子は仕事が休みになれば、家族でおじいさんの家に出かけた。


おじいさんはその時、誰よりも孫を可愛がった。


そして、孫をおんぶして自分が働いている橋に連れて行った。


おじいさんは孫に言った。『この橋は私の誇りさ。私が生まれるずっとずっと前からあって、私の憧れだった。』


孫はおじいさんの背中ですやすやと眠っていた。


おじいさんは起こさないように、夕焼けの道を静かに帰った。


孫は、誰よりもおじいさんが好きだった。


おばあさんが死んでしまった時、おじいさんと息子と息子の妻と孫によってとても悲しまれた。


おじいさんはおばあさんが死んだ後も、橋守の仕事を続けた。


息子はおじいさんに言った。『父さん、そろそろ仕事を止めてもいいんじゃないか?』


おじいさんは黙って頷くだけだった。


おじいさんはおばあさんが死んでから二十回誕生日を越した年、静かに眠った。


おじいさんが眠る前、息子が言った。『私はあなたを世界で三番目に愛しています。』


おじいさんは答えを知っていたが、息子に聞いた。『一番目と二番目は誰だい?』


息子は『二番目は息子で、一番目は妻だよ。』と返した。


おじいさんと息子は赤ワインで乾杯して、二人だけで笑いあった。


おじいさんが眠る前、孫が仕事中のおじいさんのところへやってきて言った。『この橋は僕の誇りだよ。。僕が生まれるずっとずっと前からあって、僕の憧れだったんだ。』


おじいさんは誰にも知られずこっそり泣いた。


おじいさんが死んでしまった時、息子と息子の妻と孫によってとても悲しまれた。


おじいさんは眠る最後の日まで、橋を守り続けた。


おじいさんは眠る前に言った。『私は世界で一番幸せだよ。』


おじいさんは、世界で一番幸せだった。


おじいさんは、一杯の赤ワインが大好きだった…。


             幸せなおじいさんのお話。


頭の中に出てきた、おじいさんのお話です。

是非、幸せについてもう一度考えてみてください。

お金ですか?名誉ですか?地位ですか?



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― 新着の感想 ―
[一言] なんだか感動した。 幸せってこういうことなんですね。
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