プロローグ
かつて古代中国大陸にあった三国時代という時代。
いわゆる三国志のお話で有名なあの時代。
に、そっくりな状況のお話。
それは、遠い遠い宇宙の彼方か。
どこかの星の物語。
でもほとんどあの時代と同じようなお話。
ほとんど同じようなお話だけど、決定的に違うことがひとつだけあります。
それは、ある人物が女性だということです。
その人は、このお話の主人公。
名前は、「諸葛亮孔明」。
諸葛が苗字にあたり、名は亮。孔明は字といってもうひとつの名前のようなものです。
実在の人物は、もちろん男性です。
でも、このお話の中では女性です。
この時代は、いわゆる戦国時代といえます。
長年大陸を支配していた王朝の力は弱まり、各地で有能有力な人物が軍事力を持ち、実力で領土を奪い、その支配を拡大していきました。
その戦国、群雄割拠の時代も大きな流れが見え始めていました。
実力者の勢力図がまとまってきたのです。
中でも最大の力を有していたのが、曹操という人物。
大陸の中心部、中原を押さえ、その支配領域は、大陸の北半分に匹敵。
他の国々は、どうやってその戦力と脅威に対抗するべきか頭を悩ませていました。
そんな時代状況下で彼女、諸葛亮は日常を過ごしていました。
ちなみに、このお話中では、人物名をカタカナ表記とさせていただきます。
諸葛亮は、ショカツリョウ。
曹操は、ソウソウ。
というふうに。
そして基本的には字は用いません。
まあ、意味はたいしてありませんけども・・・。
ショカツリョウの年齢は、27歳。
独身。
なかなか美人です。
そして大変な秀才です。
その筋の世界では超有名で、異名として「伏龍」とまで呼ばれています。
伏龍とは、まだ寝ている(伏せている)龍という意味。
目覚めていない龍。
そう、実は彼女はまだ仕官したことがないのです。
27歳までどこにも仕官せず、何をしているのかといいますと・・・。
田舎暮らしです!
弟と使用人の童子ひとり、三人で田舎で、畑を耕したり、読書をしたりして暮らしています。
いわゆる晴耕雨読というやつです。
若い優秀な女性が。
もちろん、本人もこのような状態をずっと続けていて良いとは思っていません。
ショカツリョウにも壮大な夢や希望があるのです。
そして近い将来、その夢の一端が現実となる出来事が彼女の身に起こることになります。
つづく。