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死後探索  作者: 華織
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「私」、死ぬ。

処女作です。R15な部分はたぶん序盤だけになると思います。拙い文章お許し下さいm(_ _)m

ある冬の夜のことだった。

仕事から帰宅した私は家に着いてから数十秒後、会社に携帯電話を忘れた事に気が付いた。明日取りに行けば良いと思ったりもしたが、生憎(あいにく)、明日は仕事が休みだ。しかも友人との約束もあったので、ドジな自分にうんざりしながら仕方なく取りに行くことにした。

会社にはバスで出勤していたが、既にバスの最終時刻を過ぎたようなので自転車で行くことにした。防寒着もそこそこに、私は真冬の星空の下、ペダルを()ぎ出した。


しばらく、肌を切るような冷たい風のなか、もっと暖かい格好をしてくれば良かったなと軽く後悔をしながら自転車を漕いでいたが、二番目の横断歩道を渡ろうとしたとき、信号の色が赤になった。つくづく今日はついてないなと思いながら辺りを見回すと、横断歩道を渡ろうとしている人は私以外見当たらなかった。車通りの多いこの道は夜になると更に車が多くなるので、人が居ないのも当然なのかもしれない。


信号の色が青に変わったので私は急いで渡ろうとした。次の瞬間、体に強い衝撃と痛みを感じた。

一瞬、何が起きたのか解らなかったが、走り去って行く白い車を目撃し、私は理解した。車に引かれたらしい。おそらく、相手側の信号無視による事故だ。

私が運転していた自転車は、私から10メートルほど離れたところにあった。原形はほとんど留めておらず、事故の酷さを物語っている。私が自身の体を見ると、血まみれで、腕や足がおかしな方向に曲がっている。また、大きめのガラスの破片が私の胸に突き刺さっていた。そればかりか、私はかなり遠くまで跳ね飛ばされたらしい。私が車に跳ねられたのは、横断歩道の真ん中くらいだったが、今は民家の家の塀の前辺りにいる。

幸い頭は打たなかったらしく、頭の回転は通常に作動した。

こんな大事故にあったにもかかわらず、冷静に状況を分析している自分に思わず心の中で苦笑いする。もちろん全身に(おそ)い掛かる激しい痛みと今にも消えてしまいそうな意識の中、実際に苦笑いできるほどの精神を私は持ち合わせてはいなかったが。

現在進行形で流れ出ている血液の量から、もう助からないことが容易に想像出来た。

気が付くと、今までの人生をふり返っている自分がいた。これが俗に言う走馬灯なのだろう。嫌なことも沢山あったが、以外に良い人生だったのかも知れない。

日常のふとした瞬間を幸せに感じていた私には、後悔や未練は無いはずだ。しかし薄れていく意識のなか、私はまだ自分にはやるべきことがあったことを思い出す。

それは、私が死ぬ前に必ずしなければいけないことだったがもう遅い。せめて、もう一度人生をやり直すことが出来たなら……。



それが、私が最期に思ったことだ。

*********

気が付くと、真っ白な空間にいた。


無限に続くような白い空間が私一人だけを包みこんでいて、何だか心地良かった。

ここが死後の世界なのだろうか。私は生前、死んだ後は無限に続く暗闇に永遠に閉じ込められてしまうことをよく想像した。今私が置かれている状況はそれと似たようなものだが、不思議と恐怖や不安は感じなかった。やはり、ここは死後の世界である可能性が高い。

先程まで感じていた痛みも消え、体は事故が起きる前の状態に戻っていたので、私は大いに安堵した。


「貴方、先程人生をやり直したいと御思いになられましたよね?」


突然何処(どこ)からか声がした。

声の持ち主は若い男性のようだが、不思議と懐かしい感じがした。

「貴方は誰……?それと、何故(なぜ)私の気持ちがわかったの?」


私は思ったことをそのまま言った。


「申し遅れました。私は……私のような存在には名前というものが存在しないので、名乗ることが出来ません。申し訳ございません。」


「そうですか…。それで、さっきの質問に答えて欲しいのですが…。」


そうでしたね、わかりました。と、男は軽い口調で言った。


「ではまず、一つ目の質問に答えましょう。私は貴方を案内する者です。所謂ガイドのようなものです。それと、ここは貴方の想像した死後の世界ではございません。まあそれに近い存在ではありますが。そうですね、この世とあの世の中間地点、とでも言いましょうか。」


男は、まるであらかじめ台詞を用意し練習をしていたかのように、すらすらと喋った。


「じゃあ…、この中間地点は何のためにあるの?」


「ここは、もう一度人生をやり直したいと思う者が来る場所です。条件を添えたうえで契約すれば、望みを叶えて差し上げることも可能です。」


そうか、そんなシステムが存在するのかと、私は少しだけ関心した。


「それで、条件とは?」


男は少しの沈黙(ちんもく)の後、それは後ほどお話致しますと言った。

何か理由があるのかも知れない。それにしてもこの男、丁寧な言葉遣いに反して、一つ一つの言葉に迫力や説得力のようなものを感じる。ところで、私がそう思ったこともわかるのだろうか。

素朴な疑問が私の中に生じた。


「もちろん、貴方の考えたことや感じたことは、すぐに私に伝わって来ますよ。」


一瞬とても驚いたが、平然を装い二つ目の質問の答えを催促(さいそく)する。


「では、二つ目の質問にお答えしましょう。ガイドは、私以外にも無数に存在致します。つまり、私は貴方専属のガイドということです。そこで、貴方が本気で人生をやり直したいと思っているのかを見極めるため、このような能力が備わっているのです。最もあまりにもくだらない理由だったりしたなら、そのまま死後の世界に送られますが」

なるほど、そうだったのか。と、私は納得した。それと同時に、まるで長年の疑問が晴れたかのような感じがした。


「それで、人生をやり直すことが出来る条件とは?」


「その前に、場所を変えてお話しましょう。」


男がそう言った次の瞬間、私は見知らぬ場所に居た。

そこは喫茶店のようだが、私以外に人は居ない。すみませんと声をかけると、奥から人が出て来た。

いらっしゃいませ、と言うウェイターの格好をした男は、先程の男と同じ声をしていた。

病的なほど白い肌をしていて、ヨーロッパ辺りで造られた彫刻のような人だな、と思った。

もしこの人が本物の彫刻で、尚且(なおか)つ私が死んでいなければ、私の家に持ち帰りオークションで高値で取引するのに。


「貴方は先程の男の人ですね。それより、何故移動先が喫茶店なの?」


「私の嗜好(しこう)です。」


どうやら、彼は私が思っていたよりも堅い人ではなかったらしい。


店内にはさまざまな絵が飾ってあり、それらの絵が、この独特な雰囲気を(かも)し出しているのかな、と思ったりもした。


「お客様、そろそろ御席に着いてはいかがですか?」


男は、店内を見回していた私にそう言った。私は言われた通りに席に着いた。

ところで、ここの世界と、私が生前いた世界とでは、時間の経ち方が違うのではないだろうか。私はそんな『よくあるパターン』を想像し、少し恐ろしくなった。

そこで、試しに少し質問してみることにした。


「貴方はいつ生まれましたか?」


「貴女のいた世界の単位で言うと、三千年くらい前ですかね」


若い男かと思いきや、随分とお爺様だったらしい。


「貴女は随分と失礼なことを考えますね。

それと、時間の経ち方は貴女の居た世界とは変わりませんよ。この世界は人間が創ったとも言われてますし。」


「じゃあ貴方は三千歳?年は取らないの?」


「はい。私達はこの姿で生まれ、年はとりません。しかし不死ではありません。寿命は一万年といわれていますが、何千年と生きていれば、そろそろ解放されたいと言う者もいます。しかし、私達は自殺は疎か、殺して貰うことも出来ません。死ぬ方法は一つ、寿命までに、生前一番大切だった人に会うことです」


「会うだけで良いの?」


「いえ、お互いに相手が誰だかを理解しなければなりません。お互いに理解したとき、二人は死を迎えます。そして、再び人間に生まれ変わり、必然的に巡り会うことが出来るのです」


「ということは、貴方は人間だったのね」


「はい。あ、すっかり忘れてました。条件を話しましょう」


そして、ようやく男はすべてを話した。

文章力なくてすいませんm(_ _)m更新ペースはゆっくりになると思います。

3/21編集しました。 3/26更に編集しました。

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