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商業の国 ラーハン2『レイ』

あぁ~っ! 楽しかったっ! ラーハンには色々な国の店がある。 あのあと買い物はしていないけど、店を覗くだけでもあたしは十分楽しかった。


「ルカ、あのお店に行ってみよっ!」


「あぁ、いいよ。」


そのお店は、白と黒のを基調にした落ち着いた雰囲気で、なぜか心がふっ・・・・・・と和んだ。


「いらっしゃいっ。なにかっ、気に入ったものはっ、あるかいっ?」


その奇妙な抑揚のついた話し方を聞いたとたん、あたしの脳裏に昔の記憶が鮮明によみがえった。

心ノ蔵がどくどくと波打っている。

なんで?なんでこの国の人がここに居るの・・・・・・?な・・・ん・・・・・・で・・・・・・?


そのままあたしは暗い、果てしない闇に吸い込まれていった。



ん・・・・・・、眩しい・・・・・・。


ここは・・・・・・?


眼を開けると目の前にルカの顔があった。


「やっと気がついたか。」


ルカの薄茶色の綺麗な眼が、あたしを見ている。


「あたし・・・・・・、なんでここに・・・・・・?」


「覚えてないのか。ったく。心配させやがって。おまえ、店に入るなりぶっ倒れたんだぞ。」


え・・・・・・?


あぁっ! あたしの表情に気づいたらしいルカが、言葉を続ける。


「それで、心配した店主のラシュさんがこの部屋を貸して下さったんだ。ほら、入ったときで迎えてくれた。」


そうだ。その人の言葉を聞いたとたん・・・・・・!! 昔の記憶がどっと押し寄せてきた。


「なにがあったんだ?あんなに動揺するなんてお前らしくないぞ?」


・・・・・・。ルカにはなるべく隠し事をしたくないけど、過去の事を話すのはつらい。

思わず、涙が溢れそうになる。


「まあ、いい。話したくないなら話さなくても。あ、あとな、ラシュさんが今日はこの部屋に泊まっていくといいって言ってくださった。今日は泊まらせてもらうか?もっとも、お前がよければの話しだが。」


「ん・・・・・・、いいよ。」


「じゃあ、そう言ってくる。あと、晩飯を買ってくるから、ちょっと待ってろ。」


「うん・・・・・・。」



一人になると、昔の記憶がまたもやよみがえってきた。

まだ、あたしがレイ・ディーネではなくただのレイだった頃。

毎日が楽しかった。父と母、それに沢山の友人がいた。

その頃のあたしは、魔法も使えない、剣技もできない、どこにでもいる女の子だった。


なのに・・・・・・。

あいつの、あいつのせいで平和だった毎日がすべて終わった。

たった一人の、魔法使いのせいで・・・・・・。

あいつは、あたしがヴァンパイアの子孫で、内なる魔力を秘めていることをすぐに見抜いた。

そしてあたしに・・・・・・。




自分に従わなかった人を、殺させた。




あたしは必死で抵抗した。

でも、さからうと一瞬で殺されることは眼に見えていた。

だから、眼を盗んで家に帰っては、その頃見つけた書物を読み、そこに記されている祖先のことを知り、どうすれば逃れられるかを考えるだけで精一杯だった。


そんな日々が1年程続いた頃だっただろうか。

その日、あいつはあたしのとっても大切だった、ルークという男の子を、殺させた。

あたしの出した、炎にまかれて死ぬようにと・・・・・・。


ルークが苦しむ姿を、あいつはあたしに見せた。

ルークは、体中を炎にまかれて、「レイ、助けて・・・・・・。父さん、母さん・・・・・・。」といいながら死んでいった。

あたしはそれをただ、涙をぼろぼろ流しながら見ていることしかできなかった。


つらかった。


それまでも大切な人たちを殺すのはつらかった。

でも、死んでいく姿を見るのは初めてで・・・・・・。


いっそ自分も死にたくなった。


なんで・・・・・・?なんで何の罪もない人を殺さなくちゃいけないの・・・・・・?


だれかにそう言って殴りかかりたかった。


その日、あたしはあいつの目をかいくぐって家に帰った。


そうして、また書物をひっぱりだしてむさぼる様に読んだ。


読んでいるうちに、あることに気がついた。

「光ト闇ノ剣、我ヲ救イシ。」

光と闇の剣という言葉が、頻繁に出てくるのだ。


あたしはすぐに家の裏手にあった倉に走った。



そこで見つけたのは・・・・・・?

レイの過去が回想という形で次回、明かされます。

まだルカには話しませんが・・・・・・。


「あいつ」とは誰なんでしょう・・・・・・?

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