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好きな人がパーティを追放された  作者: myano


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3/7

拠点移動

 翌朝。

 冒険者ギルドに顔を出すと、ミレナがギルド関係者や仲の良い冒険者に挨拶回りをしていた。

 ミレナが会話を終えて一人になったのを確認して、俺はミレナに話しかける。

「ミレナ、今大丈夫かな?」

「どうしたの?」

「ちょっとお願いしたいことがあるんだ。実は、パーティを抜けて拠点をレイヴェルクに移そうと思うんだ。だから、途中まででいいからミレナの旅に同行させて貰えないかな?」

「うーん。……まあ、一人で行動するのは危ないし、いいよ。一緒に行こう」

 良かった。こっそり後を追うのも一瞬考えたけど、ミレナからすると怖いだろうと考え直したのだ。


 レイヴェルクは、王都グランフェルドの北西に位置する都市だ。

 都市のさらに西側には未開拓の土地――俺たちは未開拓地と呼んでいる――が広がっている。

 未開拓地の開拓と、未開拓地から出てくるモンスターから土地や民を守るために作られた都市なのだ。

 レイヴェルクでは、未開拓地の調査やモンスターの討伐といったクエストが中心だ。

 その多くは難易度こそ高いが稼ぎが良いので、腕に自信のある冒険者や一獲千金を狙う冒険者が各地から集まってくる。

 余談だが、レオディスもレイヴェルク行きを検討していた。だが、彼(いわ)く『時期尚早』とのことだった。俺やミレナが冒険に慣れて成長するのを待っていてくれたのだろう。

 

 ここからレイヴェルクに向かうには、街道を通っていくのが最も安全だ。

 王都から100キロほど北に行ったところに交易都市があり、そこから西に200キロほど移動すればレイヴェルクだ。

 一度ミレナと別れ、お互いにこの街を出立するための準備をする。

 その後、城門前でミレナと合流し、二人の旅が始まった。


「ミレナの故郷ってレイヴェルクの近くで合ってるよね?」

「うん。レイヴェルクの10キロぐらい手前かな」

 歩き始めてすぐ。世間話も兼ねて、方向があっていることを確認しておく。

 彼女の故郷については前に聞いたことはあるのだが、うろ覚えだったので間違っていなくて良かった。


 ミレナの故郷はレイヴェルクに向けて農作物を出荷している、いわゆる衛星都市だ。

 レイヴェルクには冒険者だけでなく、彼らを主な客とする商人も多く集まってくる。

 都市一つの生産力では彼らの生活を支えることができないので、衛星都市から食料などを調達している。もちろんレイヴェルクの衛星都市は一つだけでなく、大量に存在している。

 他の大都市にも衛星都市があるため、この国の都市間を移動するときは野宿せずに移動できる。

 俺たちも、衛星都市の宿を利用しながら移動する予定だ。



 旅を始めてから10日ほど経った。

 旅は順調に進行している。俺たちは交易都市を通過し、ミレナの故郷の近くまで来ていた。

 幸い、当初の予定通り野宿せずにここまで来ることができた。今日中にはミレナの故郷に辿り着けるだろう。

 さて、ここまでは街道を通ってきたが、ミレナの故郷は街道から少し外れた場所にあるらしい。

 街道から外れると人通りが減り、モンスターや盗賊の脅威が増す。

 ミレナは魔法使いだが、支援魔法や回復魔法が中心で、攻撃魔法はほとんど使ったことが無いらしい。

 その上近接戦闘が大の苦手なので、小型のモンスター相手でも勝てないだろう。

 なので、安全なところまで俺が送っていくことにした。ミレナも不安があったのか、承諾してくれた。


 街道を外れてから2時間ほど歩くと、小さな農村に到着した。村の周囲は簡易的な柵で囲まれているが、所々風化して傷んでいるように見える。行き交う人もまばらだ。

「さて、ここまでくればもう大丈夫かな」

「ありがとう。村の入り口まで送ってくれて」

「俺がやりたくてやったことだから気にしないで。それより、俺は当面レイヴェルクに居るから、何かあったら遠慮なく訪ねて来てね。ではまたね」

「重ね重ねありがとう」

 ミレナと別れた後、俺はレイヴェルクに向かう。

 きっとまたミレナと冒険できる日が来るはず。その日のためにもっと鍛えておこう。そう心に誓いながら。


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