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女神(アイドル)たち舞い歌いて、邪を祓う  作者: 暇崎ルア
第2章 火の粉に魂(ライム)を混ぜ合わせ

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22/35

茜と静 キャンプ場にて

第2章、プロローグです。

夏によくあるホラー特番のロケが始まります。

民放6チャンネル、東京放送のホラー特番「本気で怖いテレビ」のCM


「幽霊、モンスター、呪い……日本には怖いものが溢れている……!

 巷を騒がす呪物コレクターがスタジオに登場! インターネットに溢れる呪物たちに一同驚愕!

 女性の幽霊が出るという噂のキャンプ場! 今をときめくアイドルたちがキャンプしながら徹底検証したら、思わぬ事態が……!?

 そして視聴者から集めた怒涛の心霊映像30選! あなたは最後まで見られるか!?

 本気で怖いテレビ! 7月9日土曜、夜7時から放送!」



「……えーっと僕たちはですね、Y県S市内のキャンプ場に来ていま~す。ものすごい大自然! 冗談抜きで、癒されちゃうな~」


 Y県S市、とっぷり日も暮れた空の下、どっしりした収音機材とカメラを持ったスタッフに向かって青年の明るい声が響く。ほとんど白に近い金に染められた青年の髪は、暗い中で輝くようによく目立っていた。


「お二人はキャンプとかってしたことありますか?」


 話をしていた青年が、横に並んだ静と茜へにこやかに話しかける。

 五人組アイドル「万物の歌神」こと通称「ばんかみ」。楽曲収録やライブに向けての練習などに明け暮れる彼女たちだが、最近ではバラエティでの活動も増えている。

 そしてメンバー五名のうち、穂村茜と土御門静に与えられた今日の仕事はキャンプ場でのロケだった。

 それも単独のロケではない。人気男性ボーカルグループ「Navigators」のメンバー、Kyoyaこと草刈恭弥との共演である。


「私もないですね、アウトドアの経験はあまりなくて」


 淡々と答える静。普段からこのようなキャラなのでいつも通りなのだが、ハイテンションなKyoyaと並ぶとアシンメトリー的なおかしさがある。


「茜はどう?」

「あたしは子供の頃にガールスカウト入ってたから、何度かあるかな」

「へ~! 茜さん、ガールスカウトとか似合いそうだな~」


 しばらくカメラの前で談笑が続いたが、静の「ところで今日は私たち何するんですか?」で中断された。


「そりゃ、決まってるだろ。大自然の中でキャンプだよ」

「この3人でキャンプかあ……ちょっと一波乱ありそう」

「どういう意味だよ、それ!」

「……あれ、何かスタッフさんからプレゼントがあるみたいですね」


 そして三人の手元に「一人一つずつ」とハンディカメラが手渡された。


「何ですか、このカメラ?」


 カメラを渡されたKyoyaがきょとんとした顔をしていると、カメラを渡した男性スタッフが訳知り顔で説明を始める。


「今夜三人にはですね、キャンプ場で異変が起きないかを確かめてもらいます」

「え、何でですか?」

「ここ、心霊スポットとして有名なキャンプ場なんです」

「えーーっ!?」


 大げさなぐらいの大声でKyoyaが驚く。


「え、ここって幽霊が出るってことですか!? 怖すぎません!? 僕、ホラーとかダメなんですよ!?」


 パニックになるKyoyaを置いて、かつてここで起きた悲劇の話が語り始められる。


「十年以上前のこと。かつてここの林で一人の女性のご遺体が発見されました」


 ディレクターの声とともに切り替わったカメラの向こうには、鬱蒼とした林があった。キャンプ場内にて唯一、利用客立ち入りが禁止されている場所だという。


「林の中を進んでいくと、一本の大きな木があります——なんでもその木には、太い幹の真ん中に縦一メートルほどの裂け目があるとか」


 もったいぶるように、一度話は切られる。


「女性はその木の枝にロープをかけ、首を吊っていたようです」

「ということは、自殺?」

「うん、警察はそのように判断して終わったようなんですが」


 事態はそれだけでは終わりませんでした。

 茜の隣でKyoyaがごくりと喉を鳴らした。


「それ以来、このキャンプ場の林では女性の霊が出ると噂されるようになりました」

「ぼろぼろの白いパーカーをまとった女性の姿を見た」「林の奥で女性の甲高い悲鳴を聞いた」などがあるそうだ。また話によると、キャンプ場側は新たな自殺者を生むことがないよう、一般利用客の林への立ち入りを禁止するようになったという。

「しかし今回キャンプ場側には特別な許可をいただいています——なので、皆さんにはここで幽霊が出るか検証してもらうため、ここでキャンプをしてもらいます」

「いや、それまずくないっすか?」

「なんか寒気がしてきました……」

「もう~、本当にそういうの無理ですよ~」


 顔を白くさせたKyoyaが両肩を抱いて震える仕草をする。


「はい、カーット! ……いいね、三人とも! 雰囲気出てたよ~」


 重くなり始めていた場にそぐわない軽快な声が弾けた。

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