独白
掲載日:2025/10/15
大人になってしまったなら
怖がることはなにもない
愛も涙も憎しみも
噛み分ければひとつの甘さにたどり着くのだから
異質なのは夢の世界だけだ
しかしそこも 子どもを卒業したとき消える
あのころ
カーテンを引いても人影が見え続けたものだ
もうそんなゆかいなミスは起きない
目の前の課題をまじまじと観察しよう
それは氷のようにあっけないかもしれない
先生に怒られるのが不安だ
―彼らはすっかり年老いて先生を辞めた
明日をやり切れる自信がない
―働けど眠れど、監督するのは白い天井
あらゆる終末へのざわざわした気持ち
―隣人もおなじく悩んでいるだろう
不幸すら慣れれば 分かる
前もって怖がることの馬鹿馬鹿しさが
どうせ元に戻りこうする羽目になるのだと
文字を打つ手が一瞬
うつつを抜かし
なんだっただろう
口の中がデンプンのような甘さにやられていく




