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  作者: 有菜みな
2/2

2回目

こちらは筆者が過去に見た2部編のじんわり怖い夢です。

 仲の良い友達と同じ班でフィールドワークをできることになったのは、かなり運が良かった。田舎者の私にとっては京都という大きな観光地で、中学生二人だけで施設を調べ、たどり着き、観光をしてくるなんて、かなりハードだが、これまた運よく良さげな施設を見つけた。京の織物を展示しているお寺で、期間限定で一般開放されているらしい。天気も良かったのと、そうと多くないところにあるというので、私たちは歩いてお寺に向かうことにした。

 改装や補修が定期的に行われているのだろう、木が貴重で派手な差し色のない素朴なお寺だったが、作りはかなり綺麗だった。清潔感も申し分ない。だが、綺麗なのに、明かり自体は特に問題がないのに、どことなく暗い印象があった。展示場所は涼しかった。織物も綺麗で、布のままかけてあるものや、巻いてあるもの、着物として仕立てられているものなどが、たっぷりとスペースを使って展示されていた。私たちは綺麗だね、うん、と話したっきり、何も会話をすることなく歩みを進めた。展示数自体は少なく、意外と早く見終わったな、と思った。そのまま廊下を進み角を曲がると、淡いピンク色の女性ものの着物に身を包んだ芸人さん、あ⚪︎れる君がいた。目がうつろで、首をかしげるような姿勢で、あちこちに引っ張られて切れてしまったような、弦がびよんびよんのお琴をペーん、ぺーんと轢いている。

「楽しんで、いただけましたか?」

あまりにも気味が悪くて顔が引き攣ってしまったが、隣にいる友達も顔をこわばらせて口をつぐんでいた。

「はい、楽しかったです...」

愛想笑いをして立ち去ろうしたその時、あば⚪︎れる君が口を開いた。

「じゃあ...ずっと!!!!ここにいなよ!!!!!!!!!!」

私と友達は目も合わせず、一斉に走り出した。

 ここで、目が覚めた。

 もう一度、同じ夢を見た。展示を見終え、帰ろうと廊下の角を曲がると、今度は淡い水色の女性ものの着物を着たあばれ⚪︎君が、同じ弦がびよんびよんのお琴をペーん、ペーんと弾いている。

「楽しんで、いただけましたか?」

この瞬間、同じ夢を見ていたことが走馬灯のように頭を駆け巡った。ここで同じ過ちを犯してはいけない。

「楽しめた...わけがないでしょ!!!!!!!!」

言い終わる前に私は走り出した。目の端で、友達も走り出したのが見えた。そのまま私たちはなんとかお寺から抜け出すことができたのである。逃げきれなかったら、またきっと同じ夢を見ていただろう。もし捕まっていたら...。

共に逃げ切った友達とは途中ではぐれてしまった。

 不幸なことに、私はここで夢から覚めることができず、そのまま散歩をしているうちになぜか外国の街へと入り込んでしまう。その頃見ていた、怖い夢の舞台である街に。

全く同じで、自分の意思では何も変えることのできない夢を一つ前に書きましたが、今回は少し違いのある夢、そしてストーリーに干渉できるタイプの明晰夢でした。なぜこの芸人さんが夢に出てきたのかは分かりかねますが、あんなに怖い顔をしているのを見たのは後にも先にもこの夢だけです。何年も見続ける羽目にならず、2回目で蹴りがついて良かったものの、夢を見ていると自覚しながら次の怖い夢に突入したのはかなりこたえました。

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