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雨が降っておりまして

作者: 二筒

雨が降っておりまして。

雨が降っておりまして。

気のせいかと耳を澄ませば確かに雨音が聞こえ、それでもあるいはと諦め悪く窓の外を確認すれば、間違いなく雨粒が下に向かって落ちていきまして。

さほど強くなく、されどさほど弱くもなく、いつ降り始めたかも知れず、いつ止むかもわからず、雨が降っておりまして。

いっそもっと強く、叩きつけるように降れば良いものを。

あるいはもっと弱く、包み込むように降れば良いものを。

ただただひたすらに人々に憂鬱になれと訴えかけるかのように、雨が降っておりまして。

いつまでも降り続く雨をいつまでも眺めていれば、いつしかそれは雨ではなく、空と雲が溶け落ちていることに気が付きまして。

この薄暗さは曇っているだけでなく、溶け落ちた空には黒い無数の穴ができたものでして。

ふと地面に目を向ければ、溶け落ちた空の雫は地面にも無数の黒い穴を穿ち、それでもなお己を雨だと主張するかのように、周囲の地面や木や建物を巻き込んでじわじわと流れていきまして。

気がつけば我が家の天井にも床にも無数の穴、穴、穴。

ああ、こうして流されて終わるのかと穴を覗き込めば吸い込まれまして。

あまりのことに悲鳴を上げることもできず、僅かな諦めの気持ちとともにどこまでも続く深い穴をゆっくりゆっくりと落ちていきまして。

と、いったところで目が覚めまして。

たいそう憂鬱な夢がしっかりと記憶に残ってしまったので、覚えている部分だけ文字に起こしました。

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