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3月24日 それぞれの道


 今日から、私の一人暮らしが始まった。まずは、バイトを探さないと。私は、スマホをとり、バイトの求人広告を眺めていた。ふと、七海のことを浮かべてしまった。

 七海は、エンジニアを夢みて、鴨白大学に進学した。お父さんが亡くなってから、七海は進学を諦めていた。二人の弟をなんとか大学に行かせたいという思いから就職を考えていた。その就職先は、システムエンジニアだった。七海曰く、独学でそれなりの収益を得れる可能性があるのはあまりないらしい。

 七海は、高校3年生の頃から、独学でエンジニアになるためのプログラミング学習を始めた。毎日、先生に見つからないように机の下で学習していた。そんな努力も実り、プログラミングのコードをかくのはとても上達した。しかし、プログラミングとは対照的に、学校の成績は急降下していった。周りからは、たくさん心配され、七海が困っているのを覚えていた。さらに、七海が進学を希望した鴨白大学の偏差値は低く、誰でも入れる程度の大学だった。そのこともあり、教師や友だちから進学先を変更するように求められていた。

 ただ、七海には、大学に行って欲しかったし、この4年間でたくさんのことを学んでほしかった。だから、七海が大学に行くことが決まった時は、とても嬉しかった。

 そんな七海と対照的だったのが、真波だ。真波は、大学に進学しなかった。国公立クラスに入っていたし、常に成績も優秀で、進学できる大学はたくさんあった。ただ、漠然と大学に行くという選択肢をしなかったのは、真波らしかった。

 真波は、成績優秀だったが、やりたいことが見つかっていたなかった。そのため、進学したところで、後に困るのではないかと考えていた。真波が大学進学をやめたのは、共通試験おわりの2月だった。国公立クラスには、とても衝撃を与えたらしい。優しい性格とは裏腹に、決断力があった。進学をやめた時には、4月から始まる日本一周の準備を始めていた。馬鹿げているようにも思うが、この経験が真波の大きな財産になるんじゃないかと勝手にみていた。

 私は、そんな二人とは異なり、ずっと目標だった嵐川医療大学に進学することができた。ここであれば、私自身もっと成長できる、そう思っていた。しかし、学費と生活費を稼がないといけないミッションが待っていた。

 私は、どのバイトをするかとても悩んでいた。自宅から近くにある飲食店か塾。どちらも甲乙つけがたかった。七海も真波ももういない。私の目標であった、あの二人に負けてられなかった。

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