5月31日 店内
時刻は、22時10分。店内は、すっかり暗くなっていた。閉店してから、約30分が経過。私たちは、閉店準備を整えようとしていたのだった。スタッフルームから三宅さんの声がする。
三宅「あれから、連絡したの?」
私 「いや、全然してないですね」
おそらく、古谷さんのことだろうな。あれから、いろいろ気になっていたが日が経つにつれて、他のことに気が向いてしまったというのが本音だった。
三宅「そうなの?」
私 「いろいろ忙しくて」
私は、レジに鍵をかけ三宅さんがいるスタッフルームに戻ることにした。
三宅「でも、すごかったよね」
私 「そうですねぇ。いろんな世界があるんですね」
普通に生活してたら、ああいう風な生活にはならない。
三宅「まだ、颯希は若いからこれからだよ」
私 「そんなことないですよ?」
三宅「若いよ」
自分が、若いかどうかは気にしたことがなかったな。それよりも、、、、、、、、、。
私 「三宅さんは、就職したら引っ越すんですか?」
三宅「そうだね。今のところは、もう出ると思うよ」
私 「えー。寂しくなりますよ」
古谷さんの話を聞いてから、少しだけ就職した後のことを考えていた。これから、何年と続いていく人生で、私はどういう風に過ごしていくのだろうか?
三宅「そう言ってくれると嬉しいけど」
私 「普通に寂しいですよ」
高校の時もそうだった。卒業するとはわかっていても、あの3人で過ごした日々がいつまででも続くと思っていた。でも、大学に入って気がついた。そんな日々は永遠と続かないんだと。
三宅「じゃあ、颯希には大物になってもらわないと」
私 「大物?」
頭の中にはハテナが浮かんでいた。
三宅「この前来た男性みたいにさ」
私 「古谷さんですか?」
三宅「そうそう」
古谷さんは、たしかに大物だな。
私 「じゃあ、連絡してみます」
三宅「おお、それはいいね」
バイトが終わった私たちは、店を出る準備を始めていたのだった。
私 「また、わかったら言いますね」
三宅「うん」
連絡するのはいいけど、なんの連絡をしようかな?
私 「すいません、お待たせしました」
三宅「オッケー。じゃあ、行こっかぁ」
私 「ありがとうございます」
荷物を持った私たちは、裏口に向かったのだった。




