5月26日 男性Ⅳ
眠たい気持ちを遮るかのように、先生は大きな声を出していた。眠たくなるような授業よりは、よっぽどいい。ただ、大きな声すぎて、耳が痛くなる。やっぱり、前の方で授業を受けるのは間違えていた。とはいえ、今さら部屋を出ることもできないしな。ただただ、この世界史美術という講義を聞くことしか選択肢はないのだ。
ー5月23日ー
バイトが終わり、私たちは古谷たちが主催する講演に向かっていた。
三宅「やっぱり、怪しいかな?」
私 「大丈夫ですよ」
三宅の心配をバッサリ切り捨てた。
三宅「颯希は、相変わらずだな」
私 「そんなことないですよ。それより、三宅さんはまだ決めてないんですよね?」
何かが気になる様だった。
三宅「ん?」
私 「就職先です」
三宅「あー、決めてないね」
もしかしたら、、、、。私の頭の中には、そんなことがよぎった。
私 「行きたいところがないなら、紹介してもらったらいいじゃないですかぁ」
三宅「えー、嫌だよ」
私 「なんでですか?」
呆れた顔で私の方を向いた。
三宅「だって、あの人のところなんて危険なニオイしかしないでしょ」
私 「まぁ、たしかにそうですね」
さっきより、勢いが強くなっているように感じた。
三宅「ここ、右に曲がるの?」
スマホを見ると、たしかにそう載っている。
私 「合ってますよ。ここ、曲がりましょ」
三宅「オッケー」
勢いよく右に上がると、古谷たちが言っていた場所らしきところに見えた。
三宅「えっ、、、、、と。三階?」
この建物の三階かぁ。なんだか私も怪しく見えてきた。
私 「とりあえず、上がってみましょ」
三宅「そうだね。とりあえず、上がってみようか」
私たちは、エレベーターで上がるボタンを押すことにした。エレベーターの扉がゆっくりと開く。そこには、誰もおらず涼しい風が私たちを包んでくれる。
私 「三階だよね?」
三宅「うん、ここにはそう書いてあるね」
行先ボタンである「3」のボタンをゆっくり押す。すると、今度は「とじる」ボタンの光が微かに点滅していた。
三宅「なんか、緊張してきた」
私 「そうなんですか?」
三宅「知らないところに行くんだから、普通緊張するでしょ」
まるで、天井のライトが話をする三宅をわずかに明るく照らしていたのだった。




