3月23日 思い出
いよいよ明日から、一人暮らしが始まる。この町ともお別れとなると少し寂しさが増していた。18日にあった集まりも思わぬ展開で終わってしまうなど、まだまだ、ここに残りたい気持ちでいっぱいになっていた。
これから、大人になったとしても、七海と真波に出会った高校生活は、忘れることがないんだろうなと思い出していた。
ー3月18日ー
私たちは、デザートを食べ終え、そろそろ店を出ようとしていた。
七海「じゃあ、そろそろ帰る?」
真波「そうだね」
私 「ねぇ。最後、写真撮ろうよ」
七海「いいよ。誰のスマホで撮るの?」
私 「私ので撮るよ」
七海「おっけぇ」
私たちがスマホで写真撮影をしようとすると、ある男の人がやってきた。とてもスラッとしており、長髪で優しそうな顔をしてこちらを見ていた。
七海「あっ‥‥」
真波「ん?」
私 「だれ?」
七海「あれ、彼氏」
私 「そーなの?」
私たちの前に現れたのは、七海の彼氏だった。七海は、急いで、彼氏のもとに駆け寄り、何やら話しこんでいた。
真波「七海の彼氏、めっちゃカッコいいね」
私 「うん。あれは、モテそうだね」
真波「今って、大学行ってるんだよね?」
私 「七海は、そう言ってたよね」
七海たちの話は、思った以上に長くなっていた。
真波「あの人が北條さん?」
私 「うん。知ってるの?」
真波「いやー、知らないんだけど、どこかで見たことあるなって思ってるんだよね」
真波は、必死に考えていた。七海の話によると、高校の時に、怪我をひて、大学では、陸上ができなくなったらしい。今は、大学の近くで一人暮らしをしており、私たちと関わる機会は、あまりないように思えた。
私 「いつぐらいの話?」
真波「あんまり思い出せないんだけど」
私 「ても、北條さんって江陵高校じゃないの?」
真波「そうなんだよねぇ。普通、会わないんだけどどこで会ったんだろう?」
私 「でも、七海もスゴイよね。中学校からずっとだもんね」
真波「もう、4年とかでしょ?」
私 「うん」
少し、沈んだ様子の七海が帰ってきた。
真波「どうしたの?」
七海「ごめんやけど、私の弟倒れたらしいから、今から帰るわ」
私 「そうなの?」
七海「うん、急でごめんね」
私 「早く行ってあげて」
私は、七海のカバンを渡して、二人が店を出るのを見届けた。あまりの出来事に、私たちは、戸惑った。