5月20日 壮大
先生は、いつもの時間になっても来なかった。少し遅れているのだろうか。だんだん、クラスの中がうるさくなっていた。
翠 「颯希って、バスケサークル入ったんでしょ?」
私 「なんで知ってるの?」
もう知れ渡っているのか。相変わらず、噂は凄い。
翠 「誰かが言ってたよ」
私 「誰よ、それ」
誰が言っているのかは気になったけど、気にしてもしょうがない。
翠 「ハハハハ。誰だろうね」
私 「気になるじゃない」
翠は、笑顔を見せながら、次の授業が始まるのを待っていた。
翠 「まぁまぁ、気にしない」
私 「気になるから」
翠 「楽しいの?サークル」
サークルが楽しいかも言われるとわからないけど、楽しもうとしないととは思っていた。
私 「まだ、あんまり行けてないからわからかないよ」
翠 「そうなんだ」
私も、翠に質問をしてみよう。
私 「うん。翠は、何か入ったの?」
翠 「私は、音楽サークル入ろうかなと思う」
私 「へぇー。楽しそうだね」
翠は、音楽サークルに入ったんだ。知らなかった。
翠 「音楽は、お金がかかるからね」
私 「そうなの?」
翠 「うん。楽器とか買うとね」
私 「あー、そっかぁ」
たしかに、楽器にお金がかかることは、吹奏楽部のみんなから昔聞いたことがあった。
翠 「まぁ、仕方ないんだけどね」
私 「バイトは?」
実家暮らしだから、多少の余裕はあるんだろうか?
翠 「してるよ。飲食店で」
私 「結構、忙しくしてるんだ」
意外だった。翠もちゃんとお金を稼ごうとしてるなんて。あんまり、そういうキャラには見えなかった。
翠 「そうだね、わりと忙しいかも」
私 「私も負けられないな」
翠の頑張りに、私も触発されていた。
翠 「ふふふ。GWは、帰ってたの?」
私 「いや、帰ってないよ。帰ろうかなとも思ったけど。まだ、来て2ヶ月だしね」
そういえば、GWの旅は、壮大だったな。まだ、誰にもあのエピソードを話していない。もったいないな。このままにしておくのは。
翠 「まぁ、そっかぁ」
私 「うん」
翠 「あっ、先生来た」
翠の掛け声とともに、俺は、先生の方を見つめたのだった。先生は、資料をもちながら、ゆっくりと歩いているようだ。今日も、プリントでの授業が始まるのだった。




