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5月17日 挨拶

 大学の売店を貸し切りにしてもらって行われていたバスケサークルの飲み会。前の今田の挨拶が終わりを迎えていた。私は、ざわめきの中、恐る恐るマイクを今田から受け取り、立ち上がった。私は、自己紹介の壇上に立つために、歩き出した。自己紹介では、名前と学科を伝えてほしいと言われていた。私が壇上に立つと、少しざわめきは収まった。

 ゆっくり深呼吸をして、私の名前と学科を伝えた。そして、ここからは何を言ってもいいらしい。待ってる間、どうしようか考えていた。でも、いい案らしいものがなかったので、あの話をすることにした。"私は、高校生の時、周りからBIG3という愛称がありました。名前の通り学校で目立つ存在だからという理由で名付けられました。誰からもつけられるものではなかったので、周りの女子からはとても羨ましがられました。でも、私はそう思ったことが一度もありませんでした。なんとなく、周りから勝手に括られてしまった高校生活でした。正直、大学生活ではそういう思いをしたくありません。伸び伸びと私らしく生活したいと思っています。そんな時に、友家さんにこのサークルに誘っていただきました。最初は、私っぽくなくて入らないでおこうと思ったんですけど、誘っていただいたのも何かの縁だと思い、入ることに決めました。バスケは、初心者でルールすらわかっていませんが、皆さんと最高の4年間にできたら嬉しく思います。ありがとうございました。"

 私が話し終えた瞬間、静まり返っていた会場に大きな拍手が起こった。私は、ほっとすると同時に、勇気を出して自分のことを語ってよかったと思えた。最初は、『BIG3』について言うなんてためらいしかなかったけど、どうせなら自分を知ってもらおうと思ったのだ。私の話を聞いていた周りのバスケットボールサークルの人たちと少しだけ心を通わせたような気がしたのだった。私は、自己紹介を終えて壇を降り、ゆっくりと自分の席にもどった。周りの女の子から声をかけてくれる。「よかったね」と声をかけてくれた隣のテーブルを見ると、そこには、友家がいたのだった。女性が言った。私は、軽く会釈をして「ありがとうございます。」と微笑んだ。席につくなり、先ほどの自己紹介を振り返っていた。大学にバイトにサークルに忙しくなるけど、これこそが私の求めていたものだったのかもしれない。私はこのつながりを大切にして生きていこうと誓った。

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