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5月7日 旅10

 帆夏、友梨を見送り、いよいよ二人になった。GWは、明日で最後だ。私たちは、九州から大阪まで戻ってきていた。大学は、9日から始まるから、明日には戻らないといけない。温泉から先に出た私は、服を着替えて、ドライヤーをかけていた。でも、紗凪は、どうするんだろうか?本人は、もう大学も辞めてもいいかななんてことも言い出していた。こんな風にさせてしまっていいのか?少し不安だった。紗凪は、私と一緒に東京に行った後は、私の家に泊まりながら、やりたいことを探すと言っていた。彼女がやりたいことなんて、見つかるだろうか?たくさん話をしていると、意外に真面目なことがわかった。最初は、私に似ているのかなと思ったけど、全然そんなことじゃない気がした。話せば話すほど、紗凪のことがよくわかる。最初の勢いに徐々に慣れてきた私は、早い会話のテンポでもやりとりができるようになっていた。

 おそらく、今日はこの大阪に泊まり、明日の夕方に東京を出ることに決めていた。紗凪は、別にいつ東京に着いてもいいと言っていたが、私の家は、そんなに綺麗にしてない。布団も買わないと寝る場所すらない。彼女には、納得するまで家にいたらいいよと伝えていたが、できるだけ早く出るよと話はしてくれた。

でも、本人が何がしたいかなんて、第三者がわかるはずはないよな。真波の時もそうだけど、意外とアドバイスするって難しいよね。黙ってその人を見守るっていうのが大事なのかもしれないと今の年齢なら思ってしまう。けど、自分が親なら、そんな悠長に言ってられないよな。ほとんど髪の毛は、乾いたみたいだ。鏡に映る自分を見つめた。すると、その鏡の中に紗凪が映りこんだ。


 紗凪「すごい、気持ちよかったね」

 私 「あ、終わった?」 


 濡れた髪の毛を拭く紗凪は、どこか色っぽかった。


 紗凪「うん。颯希は、もう少し短い似合うんじゃない?」

 私 「そうかな?」


 私の後ろ髪を触られた瞬間、ドキッとしてしまった。


 紗凪「この髪、ツヤツヤすぎる」

 私 「うーん、どうだろう」


 ドライヤーを置き、自分の髪の毛を触ってみた。


 紗凪「明日、戻るんだよね?」

 私 「そうだよ。本当に着いてきていいの?」


 私たちは、鏡の近くにあった椅子に座りこんだ。


 紗凪「もちろん。私のことは気にしなくていいよ」

 私 「もし、困ったらいつでも言ってよ」

 紗凪「ありがとう」


 紗凪の本当の気持ちは、まだどこかにあるんだと思った。

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