5月1日 旅4
旅に出てから今日が4日目。私は、あることを思い返していた。それは、昨日会った女性が、真波だったんじゃないかと。帽子を被って座っていたから、はっきりと見えなかった。わざわざ連絡するほどでもないと思ったから、連絡はしなかったけど、少しモヤモヤしてしまう自分がいたのはたしかだ。しかし、真波だったらありえる。大学に進学しなかった真波は、人生の旅と称して、どこかへ消えて行ったしまった。
大学生活がどういうものかわからない私は、真波や七海にどのようにこれから連絡をとろうか迷っていた。今回のGWみたいな時に集合できるようにした方がいいのか、そういうのはしないものなのか、私にはわからなかった。二人には、二人の人生があるからあんまり私の感情で振り回すのはよくないとはわかつわていた。加えて、二人とも自分たちから連絡するタイプではないからこそ、連絡するなら私だろうな。そんなことを考えていると、停車駅に着いた。
4日目もあれば、こんなところまで着くんだというような場所までやってきた。私がたどり着いたのは、
緑豊かな谷あいに存在する小さな村みたいなところだった。こんなところもあるんだな。また、新しい発見だ。私は、駅を出ると、スマホを片手にゆっくり前へと歩き始めた。どこに答えがあるわけでもない。自分が行きたいと思う方向に足を進めたのだった。5分ほど歩くと、そこにあったのは、一面に広がる田園風景だ。見事としか言いようがなかった。
この田園風景を維持するには、農家の人たちが、毎日汗水たらして働いているからこそなのだろうと思っていた。東京にいれば、こうした場所にはなかなか出会えないと思う。ここに来るのが目的ではないけど、何か感じさせられるものがある気がした。今日は、この辺りのどこかに泊まることに決めた。私は、スマホをスクロールしながら、この辺りの宿を検索し始めた。あまりの田舎さに、泊まるところをネットで見つけられるだろうかという心配すらしてしまう。
スマホを触りながら歩いていると、ようやく初めてといってもいい村人を発見したのだった。村人といっても、まだ若そうだ。私と同い年ぐらいだろうか?リュックを背負いながら、歩いていた。そういえば、こういうところに住んでいる人は、高校とか大学どうするんだろうな?私の中に疑問が浮かんだ。そんな思い浮かんだ疑問を忘れないようにスマホに打ちこむことにしたのだった。




