表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/80

4月28日 旅

 いよいよ明日からGW。私は、スマホを見て、明日からの動きを確認した。スマホの画面を見つめながら深い溜息をついた。明日からの9日間、予定がびっしり詰まっている。私は、疲れた手で、指先を慎重に動かしながら、明日からの一日の流れを確認していく。

明日は、バイトだ。朝の会議に初めて、出席するから緊張する。初めてとは言え、他の支店の人たちも来るからてきとうな事はできない。そして、昼からは店内での打ち合わせがある。そして、夕方から翠と食事に行くことになっていた。

 スマホを見れば見るほど、ビッシリ詰まっていることがわかり、なんだか息がつまりそうだった。見るたびに数が増えていく。こんなに予定を入れていいのかと思うほどだった。私は、なぜこんなにも時間を埋めることが必要なのかと、考えてしまう。しかし、こんなに予定があるのに、守や七海たちとは会えない。なんか、自分でも上手く予定をコントロールできないでいる。

 本当は、もっと他にもやりたいことがある。ゆっくり過ごして日頃の休みもとりたいとも思っているけど、これだけつまっていたら休みすらない。これでよかったのだろうか?と休みの直前になって考えてしまう。いっそうのこと全部やめてしまおうかとすら頭をよぎってしまう。もう、頭の中に浮かんだしまったら仕方がない。私は、スマホを捨て去り、動きだした。

 私は、小さなカバンに衣類、文具、本を順番に詰め込んでいく。あまりのせわしなさに天井にかかっていた電球が揺れていく。バイト先や遊びに行く予定の友だちには、できる限り連絡をした。しかし、それ以上は返信をしない。もう、何もかも忘れてただ旅をしてこれからのことを考えてみたかった。

 もしかしたら、あの時、真波も同じような気持ちだったのかもしれない。どこに行きたいか、着いた先で何をするかなんて全く考えていない。何も考えずにただ行きたいと思ったところに行って、現地の美味しい食べ物や風景を楽しみ、人々と触れ合えたら、何かに出会えるんじゃないかと思った。とりあえず、お金がある分だけつぎこもう。

 わずか10分ほどでほぼ身支度を整えることができた。とりあえず、財布にカードだけ入れて、家を出ることにした。家を出て5分ほどで駅が見えてくる。こんな気分次第で動いていいのかと思ったけど、今までもこれからも私はこうしてきた。電車の窓から見える景色は私を癒してくれ、一気に旅行気分が高まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ