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4月24日 環境学

 窓辺に座る私は、巨大なスクリーンに目を落としていた。先生が黒板に何かを書き始めたのが聞こえた。先生はカリキュラムに従って、熱心に講義をしてくれていたが、昨日の先生同様あまり説明が上手くなかった。「ここは、前回の授業で説明した内容だよね?」。先生がみんなの前で呼びかける。

 先生はその後も長い時間をかけて、新しいトピックに進んでいく。私は、先生の話を聞くよりも自分で教科書を見て学ぶ方が早かった。先生の説明でわかるというよりは、先生の説明を聞いて自分の理解が合っているか確認する場となってしまっていた。

 今日の後半は、グループで話し合いが行われることがわかった。たしかに、時に受講者同士で理解しきれない点やわからないところを解決していくことは必要である。ただ、こうしたグループは、ふざける人もいるので、半分以上、運だった。先生が常にサポートしてくれるわけでもないし。私は、先生から出た問いを自分で考えていた。

 しかしながら、授業時間が減っていく中で、私は座り続けるのに飽きてきてしまった。しかし、前の席だから、違うことをしてしまったらバレてしまう。しかも先生が話す時は動きながらが多い。今でこそ、私と真反対の方にいるけど、そのうち私の方にも近づいてくるに違いない。そうなった時、注意されるのが目に見えていた。ただ、黙って話を聞いていてもな。

 先生は、前にいる人を当て答えさせた。私は、誰かが発言しているときはまだ集中することができる。しかし、スクリーンの前で説明している時間は耐えきれない。私は、授業が終わりに近づくと、先生が課題を出してきた。「これを来週末までに仕上げてください」。先生が提示してきたのは、環境についてのA3プリントだった。どうやら、空欄を埋めてこいというとのらしい。

 私の想定外だった。信じられないことに授業はもう、ほぼ終わりだった。廊下では、友人たちがおしゃべりをしている声が聞こえてくる。受講者も早く終われという雰囲気になっている。外から聞こえる何となくリラックスして声は、他の人たちにとっては迷惑のようだった。私にとっては、あまりにもつまらない授業だったため、支払った学費が無駄なのではないか、とついつい思ってしまう。それでも、私は未来の自分のためだと思い立ち止まることにしたのだった。先生が授業終了の合図とともに、筆記用具をしまいスマホで次の授業がある部屋を調べ始めたのであった。

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