3月28日 湯浅守
湯浅守。私が18年間の人生で唯一好きになった人物。出会いは、大森中学校の時。当時、彼は野球部のキャプテンだった。野球部がバッティング練習をして、ボールが飛んでくるからという理由で他の部と揉めてしまうことがあった。
私は、生徒会長ということもあり、何度も彼と話し合いをしていた。バッティング練習は、"土日に限定してほしい"という提案を、全く聞き入れてくれなかった。彼から、"バッティングなんて、毎日しないと意味がない"と聞かされた。じゃあ、他の部には、何と説明するのか?と伝えると、バッティングしていない時に、必要な練習をすればいいと言った。彼の言っていることも一理ある。もともと、野球部の練習範囲は、狭い。それに、ずっとバッティング練習をしているわけでもなかった。
彼は、野球部のキャプテンという役割だけでなく、他の部にも説得を求めた。私たち生徒会と一緒に何度も何度も。彼のブレない信念に、他の部も諦めた。私は、彼の必死さや諦めの悪さにとても惹かれてしまった。このあたりから、お互いが少しずつ意識し始めるようになった。
私たちは、中学校3年生の夏休みに初デートをした。確か、映画を見て、港町からキレイな夜景を見たのを思い出した。今、思えば、映画を見てる時から、とても緊張していたのだろう。港町に着いた頃ら、ずっと景色を見ていた。私も一緒になって眺めていた気がする。ちょうど、その頃。彼がモゾモゾし始めた。それは、彼から告白だった。初めてのデートで告白をしてきたので、ドキッとしたが、、、。それも束の間だった。彼は、ベタな告白の言葉だった。
"颯希が楽しい時は、2倍楽しくする。颯希が悲しい時は、その悲しさを半分にする。だから、付き合ってください"。告白された時は、大笑いをしてしまった。本来なら、絶対に笑ったらいけないところだったが、普段の彼を知ってるだけに笑わざるをえなかった。しかし、彼の告白は、嬉しかった。あんなに諦めの悪い彼が素直に想いを伝えたのだから。私は、素直に彼の告白にOKのサインを出した。
いろいろあって、私たちは、3時間ほど港町から夜景を眺めていた。告白をして疲れたのか、電車に乗って帰る時、彼は、180cm程ある身体を小さくさせて私の肩に寄りかかった。まるで、大型犬が寝ている姿の様だ。彼の寝てる姿は、とても愛おしく、頭ポンポンという恋愛映画に出てきそうなこともしていて、自分で笑っていた。




