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1.

「貴様とは婚約破棄だ! 王子である私に、貴様はふさわしくない。政略結婚のために婚約させられたが、父の意向など、私の知ったことではない!」


「あ、そうですか……」


 侯爵令嬢である私、ステファニー・ハベルは、この国の第五王子であるリチャード殿下に婚約破棄を言い渡されました。

 しかし、私も殿下に婚約破棄を言い渡そうとしていたのです。

 そういう意味ではグッドタイミングですね。

 

 さて、私が殿下に婚約破棄を言い渡そうとした理由ですが、それは、殿下の浮気です。

 リチャード殿下は、あまり王政に関わることもなく、好き放題暮らしていました。

 殿下のことを一言で説明すると、権力を持ったクズですね。

 

 次々といろいろな女性と関係を持ち、悦に浸っているような人です。

 それだけにとどまらず、さらに殿下は、とんでもないことをしていたのです。

 それは、第二王子のサミュエル殿下の奥様との浮気です。


 もう、本当に信じられません。

 これらのことを知った私は、驚愕しました。

 さすがにそれは、常識的に考えてありえないと思いました。

 しかし、証拠も出てきたので、疑いの余地はありません。

 だから私は婚約破棄しようとしていたのです。

 

 さて、婚約破棄の手間は省けましたが、これで終わりというわけにはいきません。

 リチャード殿下には、それなりの報いを受けてもらう必要があります。


「あの、リチャード殿下、婚約破棄は、受け入れます。しかし、何のお咎めもなしというわけにはいきません」


「いったい、なんの話をしているんだ?」


 どうやら殿下は、浮気のことが私にバレていないと思っているようです。

 とぼけても無駄だということを、説明してあげましょう。


「私は知っているのですよ。殿下が、浮気をしているということを。その相手が誰なのか知った時は、驚きましたよ」


「……て、適当なことを言うな! どうせ、カマをかけているのだろう!?」


「いえ、本当にすべて知っているのですよ。これから第二王子のサミュエル殿下のところへお話に行こうと思います。あ、その前に、陛下に報告するのが先でしょうか……」


「き、貴様、本当に知っているのか! い、いや、それでも、証拠は何もないのだろう!? 貴様の戯言など、誰も信じてはくれないぞ!」


「え、証拠なら普通にありますけれど。では、私は陛下のところへ行くので失礼します」


 私はリチャード殿下の部屋を出ました。

 そして廊下を歩き、陛下のところへ向かい始めました。


「お、おい! 待ってくれ! 陛下に言うのだけはやめてくれ!」


 リチャード殿下が必死な顔をして、うしろから追いかけてきました。

 殿下の顔からは、冷や汗が流れています。


 えっと、待ってくれと言われましても……、私が待つ理由は、どこにもありませんよね?

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