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ドキドキと

それから何度か会っているうちに楽しくて嬉しくなっていた。まるで色のついた絵の具で描かれたようなカラフルな世界。今までが嘘のよう。


「あの〜、ちょっといいですか?御二方は卒論はもう終わって見えるんですか?わたしにばかりかまけてて疎かになってませんか?もしそうだったら言ってくださいね。」

「加奈、それは大丈夫だ。俺はもう終わってる。あとは…。」そう言ってあきらさんは笑ってた。

賢治けんじさんはまだ途中なのか頭をかいていた。

「こいつが卒論書くの早いのは割と知られてるからな。教授達への受けもいいし…オレとは違うからなぁ〜。」

「そういうな賢治けんじ、お前だって頑張ってるじゃないか。」

「お二方はいい刺激を受けてみえるんですね。ちょっと羨ましいです。」

「まぁな。4年間同クラスだったから余計かもな。」

「えっ?おんなじ教科をとっていたんですか?だとしたら2人は同じ仕事をされるんですか?」

「また変に言葉気を使う〜。でもさ、仕事は一緒じゃないよ。たまたまさ。」

「そっ、たまたまだよね〜。あきら君よ。」

「それやめろよな。」

「わりい。」

そう言いながらも悪いとは思っていないようで笑っていた。


でもね、2人には言ってないことがある。

内緒。

だって怒りそうだから。

2人の追っかけがたまたま一緒にいた私に目をつけて意地悪をしているだなんて言えない。

でも日に日にひどくなる嫌がらせにビクビクしていたらあきらさんが何かに気付いたのか突然壁ドンして私の行手を塞ぎ上から目線で話してきた。


「加奈、何か俺らに隠してる事ないか?」

そう言われて一瞬だがビクッとしたのをあきらさんは見逃さなかった。賢治けんじさんもそう。


小さくなっている私に頭をポンポンと軽く叩いて怖がらせるつもりはなかったと謝ってくれた。ただ黙っていることには怒っていたみたいだが…。

だから恐る恐る話し始めた。

今の現状を。

そしたら2人嫌な顔をしてそれから怒りの顔になっていった。


「加奈をいじめてる奴らは俺らがすぐに黙らせるから心配するなよ?」「えっ、でも怖いことしませんか?」「いやぁ〜、これはないとは思うけどかこれは俺らに関係してる問題だからさ、オレらが加奈ちゃんを守ってあげないとね。」「けーんーじー!」「おーっと悪い、お前が頭だかんな。あきら。」「そりゃそうだ。加奈、心配すんな。手荒なことはしないよ。就職にも引っ掛かったらまずいしな。」

「そーゆーこと。だから大丈夫だよ?加奈ちゃん。」


2人はブツブツと小声で喋りながら何か打ち合わせでもしているかのようだ。私にはわからない。

でも2人に任してしまってよかったのか。

不安は尽きない。



それから数日後、いつものように食堂に行ってみるとなんだかみなピリピリとしている。私も緊張が移ってしまったのかドキドキしてる。

そんな時2人が何やら喋りながらやって来た。

怖い事…じゃないようだ。だって笑ってるんだもん。


「こ、こんにちは。あきらさん、賢治けんじさん。」

「あ、こんにちは。加奈ちゃん…顔色は…悪くないね。大丈夫。さっ、食事でもしようか?」

「おーい、あきら君よ。僕ちんの事は忘れてないかい?」「あのなー、恋人同士が一緒にいておかしくないだろ?逆についてくるお前がおかしい。」

「しどい。しどいよ。あきら君。ぼくちんときみの仲じゃないか。置いてかないで〜。」

「ハァ〜。ため息しか出ないよ。しょうがないんだけど加奈、いいかな?」

「いい…ですよ?」本当は2人きりになりたかった…。何だかそんな気持ちになってる自分が恥ずかしい。


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