2人の友
話を始めると彼は四年生らしく卒論を書いてると言っていた。そんな忙しい人が何でまた私に?
書き終えてからでもよかったんじゃ…と思ったのだが、彼の方でもいろいろあったようだ。
まぁ、私は分からないところを聞けるからいいんだけど…ねぇ。
それに【恋】と言われても神島さんの事ほとんど知らないから…私は人見知りがあってなかなか話の中に入っていけないのでいつもぽつんとすることが多かった。だから喋る人がいるということは嬉しかった。
今日も今日で約束をしている。何でもキューピット役がいたようで、その人物もぜひ私に会いたいという。何でだろう…。よくわかんないや。
あれこれ考えても始まらない。
それに今いるこの場所ももう人目が多くついちゃって居づらくなってきている。くつろげる場所を探さなきゃ。
などと考えていたら神島さんともう一人の男性がこちらに歩いてくるでは無いか。二人で立つと背の高さもさることながら、容姿がいいのがすぐわかる。
私とは釣り合わないかな…。しょぼんとしてたら神島さんもとい洸さんともう一人が私の顔を覗き込んでいた。
「どうかしたか?」
「ううん、なんでもないの。」
「いや、この顔は何かを隠してる顔だな。」「そうだな。」
「あはっ、あはっ、あははは…はぁ〜。何でわかっちゃったんですか?」
「加奈は分かりやすい。顔に出てるからな。」
言われてすぐに頬を触り何か書かれていないか確認する。実際は何も書かれてなかったのだが、そんなの私に分かるわけがない。
そんな姿を二人の男性は黙って見てる。肩が震えてるから笑ってるに違いない。
ぷんぷんと怒ってみせるが、二人には怒られてる感はない。「何で〜!」と叫んでしまった。その瞬間周りを気にしたが、思いっきり注目の的になってしまっていたようだ。恥ずかしい…。
もじもじとしてしまったが、二人は気にしていないようだ。
何やら話し込んでいるようだ。
「なぁ、あそこに行くか?あそこなら寛げるぞ。」
「あそこって、…何処ですか?」
「またすぐ他人行儀になる。洸だろ?まぁ、そこがまたいいんだが。」
「おっ、惚気てるな。いいなぁ〜。加奈ちゃんオレのものにしとけばよかったかな〜?」
「何だと〜?やる気か?!」
「たんまたんま。やらねーよ。調子に乗った。」
仲がいいのがよくわかる。
楽しそうに笑ってるから。
【いいなぁ〜。私も輪に入りたいなぁ〜。】と思ってたら洸さんが手を伸ばした。おいでということらしい。