初めての彼
上級生からの突然の話に驚いて、私は固まった。何故に私?何かやらかした?分からない。でも話をすることになったから行くしかないよね。
友達にも相談したんだけど、「その方がいいよ?行けるうちに行っといて何か誤解でもあったら説いといたほうがいいよ。」って。
【確かにその方がいいよね。】って思って早速返事をしたらすぐ返答が来てびっくりした。
もっと時間がかかるものだとばかり思っていたから…。
ドキドキが止まらない。
緊張するぅ〜。
会うのは昼食時になった。
私はバイトがあったから。無理なんだ。だからありがたかった。
でもなんか私の席、注目の的になってない?
視線を感じる。
みんなが注目してるのは私じゃなくて、これから会う人だと分かってはいるが、緊張した。
下を向いたまま携帯を覗いていたら足元の視界に人が立っているのが分かった。どうやらきたようだ。どうしよう…。どう答えたらいいのか。質問は何?
ドキドキが止まらない。
「ここ、いいかな?」
「は、はい。」
「君が立花加奈さん?」
「はい。そう…ですが。」
「俺はね、神島洸っていうんだ。」
「はい、存じてます。」
「へえ〜?どうしってるのかな?聞きたいなぁ。」
そう言いながらも顔をじっと見てくる。恥ずかしい。
「友達があなたのこと知ってましたから、それで…。」
「ふぅーん。そうなんだ。まぁいいや。」そして何かを考えてる風のポーズを取り、こう言った。
「ねぇ〜、付き合ってよ。」
「へ?」
「返事は?」
「あ、は、はい。」あっと思った時には遅かった。手をギュッと握られたのだ。ビックリが大きかった。
「あのさ、携帯番号、教えてくれる?」
「な、何で?」
「何でって、俺ら付き合うんだろ?連絡先交換しとかないと会えないじゃん。携帯出して。」
私は言われるままカバンから携帯を出すと、神島さんはLINEを交換し合った。これならすぐ繋がるって。確かにそうだけど…。果たして使う時があるのか不思議だ。
こんなさらりと近寄ってくる男の人はいなかった。いつも私の体型に寄ってくるのだ。
私は普通だと思っていたけど、友達には胸が大きいと言われて比べられ始めて自分の胸が標準より大きいことを知った。どうりで肩が凝るわけだ。
だから今回も初めはその方面かなと思っていたのだ。だけど違うようだ。
ちょっとだけホッとしている自分がいた。
「あのさ、加奈はいつもこの時間はここにいるの?」
「え?あっ、はい。そうです。大体この時間はここにいます。」
「ふ〜ん。ならここにこれば会えるのは確実か。」
「はい。そうです。」
「何だか他人行儀だな。洸って呼べよ。」
「えー!そんないきなりなこと言えないですよ。」
「何言ってるんだよ。これから俺ら付き合うんだよ?他人行儀で嫌なんだ。」
「冗談じゃないんですか?」
「冗談なものか。マジで言ってるの。」
「……洸さん?」
「う〜ん、まぁそれでいいや。よろしくね、加奈ちゃん。」
それから私は彼、神島洸との交際が始まる。