異世界での初遭遇
《ヘイサゼオン編》開幕
栄龍儀は、ヘビースモーカーほどではないけどタバコは吸います。
気がつくと龍儀はある祠の前で座っていた。起き上がって自分の状態を確認すると、体は高校生の時だが、服は死ぬ直前のままだった。胸ポケットには、財布とライターとしばらく吸ってなかったタバコがあった。
(どうする?中身は57歳だが、見た目は17歳の高校生だぞ。でも、久しぶりのタバコが吸いたい。前世じゃ、あまり吸ってなかったし。でも、日本の法律だと・・・ここ、日本じゃないから大丈夫なのでは?)
葛藤の末、日本じゃないからOKという結論に強引に達したことで、なんのためらいもなくタバコを吸う龍儀であった。
タバコを吸いながら腰を見ると、刀と拳銃の他に見たことない巾着袋があった。中を見ると500円玉ぐらいの大きさの金貨と100円玉ぐらいの大きさの銀貨と10円玉ぐらいの大きさの銅貨がそれぞれ10枚ずつ入っていた。また、巾着袋には手紙も入っており、
「この世界では、巾着袋に入っている金貨と銀貨と銅貨が通貨になっています。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨50枚で金貨1枚です。頑張ってくださいね❤️」
と書かれていた。
「なるほど、確かにここじゃ日本の金なんて役にたたないか。」
そう言うと龍儀は胸ポケットから財布を取り出し中の小銭を確認した。そのまま手紙を財布に入れようとすると手紙が2枚あることに気づいた。
「追伸 この世界の言語を日本語に置き換えていますので、気にしないでくださいね❤️」
「あ・・・」
龍儀は呆気にとられ、咥えてたタバコを落とした。確かに金や力があっても言葉がわからないと何もできないので、これはありがたいと思っていた。
「さて、少し確認してみるか。ステータスオープン」
《栄 龍儀 Lv1》
HP 3100/3100 MP 100/100
AT 200 DF 50 SP 150
アビリティ [自由]
どんな束縛も受けず、どんな呪いも効くことはない
「ちゃんと出来たな。」
ステータス表示に成功した龍儀は、魔法が使えるか確かめることにした。
「そういえば、どうやって魔法を使うんだ。」
魔法の使い方がわからないことに悩んでいると、頭の中に閃くかのように使い方が浮かんできただ。
「まずは、作りたいものを頭に浮かべ、そのイメージを手に集中させる。」
龍儀が浮かんできた使い方を呟きながら手をかざすと、掌に拳銃の弾丸が生成された。
「なるほど、何とか使い方がわかってきた。ステータスオープン」
《栄 龍儀 Lv1》
HP 3100/3100 MP 99/100
AT 200 DF 50 SP 150
アビリティ [自由]
どんな束縛も受けず、どんな呪いも効くことはない
「MPを1消費したってことか。」
ステータスを確認した龍儀は同じ方法で次は手榴弾を生成した。その後、ステータスを見ると、
《栄 龍儀 Lv1》
HP 3100/3100 MP 84/100
AT 200 DF 50 SP 150
アビリティ[自由]
どんな束縛も受けず、どんな呪いも効くことはない
「手榴弾はMP15も消費するのか。しばらくは多用できないな。さてと、行くか。」
ステータスと錬成魔法の確認が終わると、祠を後にして森の中を進み始めた。
しばらくタバコを吸いながら森の中を進むと、誰かにつけられている気配を察した。
(相手は一人か・・・)
前世で長い間、極道の長として戦ってきた龍儀にとって気配で人数を把握することなど造作もないことだった。龍儀は腰の拳銃を手に取ると、気配のする方へ発砲した。大きな音と共に放たれた弾丸は、気配の主が隠れている木に命中した。
「両手を挙げてゆっくり出てこい。拒否すれば、次は当てるぞ。」
龍儀の脅しに屈したのか気配の主は両手を挙げてゆっくりと姿を現した。その姿はマントとフードで隠れているが、身長は150㎝もないかというほど小柄でかなり痩せているようにみえた。
「全部脱げ。今すぐ、ここで、ゆっくりだ。」
龍儀の命令にビクッとしたその人物は、おそるおそるフード付きのマントを脱いだ。その姿を見た龍儀は唖然とした。
なぜなら、その人物の頭には犬のような耳が付いていたのだ。その姿こそこの子が獣人である証であった。
「うぅ、全部脱がなきゃダメですか?」
弱々しく放たれた声と姿で、龍儀は目の前にいる顔を赤く染めている子が女の子とわかり、銃を降ろした。
「いや、もういい。お前、ここで何してる?」
「荷物と身ぐるみを奪おうとしました。」
強盗かよ。そう思いつつ、彼女に近づき目線を合わせるためにしゃがんだ。
「何故、こんなことを?」
そう聞くと、獣人の少女はゆっくりと答えた。
「この辺りはあたし達のような亜人に対して差別があって、普通に暮らしていけないから。」
(なるほど。どの世界にも差別はあるんだな。)
これからどうしようかと考えている時、後ろの方で悲鳴が聞こえたのだった。すかさず、声した方を向いた後、
「とりあえず、お前もついてこい。」
少女にそう指示すると、悲鳴のした方へ走った。その先には、大きな馬車に乗った男が複数の柄の悪い男たちに囲まれていた。
「あれは、盗賊か・・・」
「ねぇ、どうするの?」
横で語りかける彼女に対して
「あのレベルなら問題ない。」
そう言うと龍儀はタバコを吸いながら堂々と盗賊達の前に出ていった。
龍儀の姿を見た盗賊達は、狙いを龍儀に変え、距離を詰めてきた。
「どうします、頭。」
「もちろん、殺して奪うに決まってんだろうが。見たことない格好してるが関係ねぇ。お前ら!やっちまえ!」
頭と呼ばれた男の指示で十人の盗賊が龍儀に襲いかかってきた。それでも、龍儀は落ち着いた表情で「死ねぇ!」と叫んだ盗賊の口の中に咥えてたタバコを押し込んだ。
「ぎゃぁぁ!!」と悲鳴をあげる盗賊を尻目に龍儀は腰の刀で盗賊を二人、斬り伏せた。その姿を見た盗賊達は距離をとろうとさがったところにすかさず、拳銃で足を撃ち抜き、あっという間に盗賊達を倒してしまった。
「な・・・何なんだ、お前は!?」
足を撃たれて踞る盗賊の頭が龍儀に言うが、龍儀は黙って刀で斬り殺した。その瞬間を見た盗賊の残りは悲鳴をあげながら、足を引きずり逃げていった。
龍儀が刀と拳銃をしまうと、馬車の男が龍儀に近づいてきた。
「ありがとうございます。おかげさまで助かりました。私は旅の商人をしているタラードと申します。」
「あぁ、大丈夫か?」
「はい、あのー、何かお礼がしたいのですが。」
「そうだなぁ、じゃあ食料と水を少し分けてくれないか?」
「もちろんでございます。」
そう言うと、商人は龍儀に果物や肉、水などを提供し、その場を後にした。
その場面をずーっと隠れて見ていた獣人の少女に対し、龍儀は
「お前も来い。腹、へってるだろ。」
と、食べ物を差し出した。
すると、少女はよだれをたらしながら近づき、食べ物を頬張った。よっぽど腹がへっていたのかその眼には涙が溜まっていた。
しばらくして食べ終わった少女は龍儀に尊敬の眼差しで見つめていた。
「ありがとう、あたしはライカ。ライカ・ウォルフィル。」
「俺は、栄龍儀。龍儀と呼んでいい。」
「わかった。リューギ。」
「これから近くの街に行くがお前はどうする?」
「人間がいっぱいいるところは怖いけど、一人はいやだ。リューギと一緒に行きたい。」
「わかった。それじゃあ、一緒に行くか、ライカ。」
「うん!!」
こうして、龍儀とライカは近くの街に行くのであった。
ちなみに、1枚目の手紙を書いた後に言語のことを思いだし、慌ててもう1枚に書いたため、追伸が二枚目に書いてあります。
フェアリスは、おっちょこちょいなのだ。




