ローレライ海賊団船長 ローレライ・セイレーナ
龍儀がガットを倒した直後、奥から一人の女性が現れた。彼女は上半身は三角ビキニで青いコートをマントのように肩に掛け、下半身は紺色のジーンズとブーツをはいていた。髪は茶色でくせっ毛のあるロングヘアー、スタイルは抜群の美少女だった。
「私がこの海賊団の船長、ローレライ・セイレーナよ。」
海賊の船長、ローレライはガットに近づいて彼の頭を軽く踏んだ。
「何満足しているの?まだ戦いは終わってないんだからちょっと休んだらすぐに戻りなさい。それまでは私がやるから。」
「わ、分かりました。」
ローレライは足をどけると龍儀の前に立った。
「と、言うことでここからは私が相手するわ。」
「船長のくせに戦いに参加しない奴が相手するのか?」
「船長は戦い以外にもやることが多いの。例えば。」
そう言ってローレライは指を鳴らした。その時、遠くの方から爆発音がした。
一方その頃、遊撃船
幹部を倒したグレンやルリカ達が合流していた。
「どうしたんですか、ディーネさん!?」
「ちょっとヤバい毒にやられただけ。リーフがいればなんとかなるわ。」
「ならば、早くリーフ達と合流するぞ。」
「はい!」
そう言った瞬間、遊撃船が爆発した。グレン達が驚いていると沈む遊撃船からライカを抱えたトルクラやノリオ達がグレン達の前にやってきた。
「なんだ、これは?」
「わからん。爆弾の部類じゃない。まるで、海が攻撃してきたかのような。」
「今は考えるより先に生き残ることじゃ!」
「あぁ、仕方ないがあの海賊船に乗り込むぞ。」
そう言ってゴルディは氷の階段を作った。グレン達はその階段を上り、海賊船に入った。その際、モルガンは沈む遊撃船を見渡した。
「どういうことだ、倒した海賊がいない。」
中央海賊船内
「何をした?」
「悪いけどあんた達の船は全部沈めさせてもらったよ。」
「その船に仲間が居てもか?」
「その点は問題無いよ。じゃあ、始めようか。」
「そうだな。」
そう言って龍儀は最高位回復魔法で回復した。
「え?あんた、そんなの使えるの?」
「あぁ、使えるが。」
「じゃあ、何でガットの時は使わなかったのよ?」
「そいつは魔法なしで戦ったんだ。俺もそうしないとフェアじゃねぇだろ。」
「男ってほんと、そういう時あるよね。合理的よりもプライドを優先するよね。」
「それが漢だ。」
「あっそう。私は女だから合理的にいかせてもらうよ!」
そう言ってローレライは右手の親指と人差し指と中指を立て、銃の構えをした瞬間、何かが飛んできた。龍儀はとっさに避けるとその何かは龍儀の頬をかすった。
龍儀がローレライを見ると彼女の周りに小さな水の球、いや水の弾が浮かんでいた。ローレライはニヤリと笑うとその中の一つを人差し指と中指の先にセットした。そして、それを龍儀目掛けて発射したのだ。
龍儀は避けるがローレライは水の弾をセットするとすぐに発射した。龍儀が建物の中に隠れても水の弾は建物を貫通して龍儀に攻撃してきた。すると、ローレライは左手も右手と同じように構え、水の弾を発射した。彼女は両手で水の弾を連射し始めた。その速度と威力はまるでマシンガンのようだった。
龍儀は建物を出て逃げまくっていると海賊達と戦っているラッガー達がいた。
「ラッガー!伏せろぉ!」
龍儀の声に反応したラッガーがリーフ達とともに伏せるとその上を水の弾が通過した。ラッガーがきた方向を見るとローレライがゆっくりと近づいてきた。すると、海賊達が歓声をあげ始めた。
「船長!」
「ローレライ船長ー!」
「な、あの女がこの海賊団の船長かよ!」
「そうだよー。」
ローレライが返事すると再びマシンガンのように水の弾を連射し始めた。龍儀やラッガー達が避けているとその弾は他の海賊達にも命中した。
「な、お前!仲間にも攻撃するのか!」
「よく見なさい。」
建物に隠れたラッガーが海賊達を見ると
「痛えぇ。」
「水が口に入った。」
海賊達は何事もなかったかのように立っていた。
「は?仲間には普通の水で俺達には弾丸ってどんな精度だよ!」
「私は仲間想いなの。」
そう言ってローレライが指を鳴らすと船の壁が破壊されてそこから水で出来た竜の首が出てきた。その中を見ると倒したはずのゼロンやザンツァーを含めた海賊達が入っていた。
「大変だったのよ。あんた達の数や配置、私の仲間の状況を調べるの。」
「まさか、外にいた海賊を救出したのか。」
ローレライがまた指を鳴らすと今度は彼女の下から水の竜が現れた。彼女はそれに乗り、水の竜が龍儀達の真上にくると口から水を吹き出した。
龍儀が避けるとさっきまでいた場所が水によって真っ二つにされていた。
「逃げろ!」
龍儀の指示でラッガー達は逃げ出すが水の竜は水のレーザーを発射し、次々と冒険者達を切り裂いた。
「これがシーサーペント。そして、これが!」
ローレライが指を鳴らした途端、水の竜が9本に増えた。
「九頭海竜!」
「マジか!1本でもヤバいのが9本もあるのか!」
ラッガーが驚いていると九頭海竜のうちの1本が海賊達を飲み込んだ。
「仲間を食ったのか!」
「いや、また仲間を救出した。」
「あんた達、あそこにガットが満足な顔して気絶しているから起こしてきなさい。それと、傷付いている仲間の回復も忘れないこと。」
「分かりました!」
海賊達を飲み込んだ首がガットのいた方向に向き動いた。
「まずいぞ!龍儀達が折角倒したのに回復されると振り出しだ!」
ラッガーや冒険者達が海賊達を追おうとすると竜の首が上から襲ってきた。
「行かせないよ。」
「あいつが厄介だな。」
「だったら、散開して狙いをしぼらせないようにするのはどうでしょう。」
「いいんじゃねぇか。」
「どうする、龍儀?」
「やる価値はある。ラッガー、刀。」
「おぅ、ほらっ。よし、行くぞ!」
ラッガーの合図で龍儀達は散開した。ローレライが乗っている首は龍儀に狙いを定め、襲ってきた。
その隙にラッガー達も散開して行くが、残りの首がラッガー達の各個撃破に向かった。
「何で!?」
「あの女、こっち見てないのに俺達の居場所がわかるのか!」
「もしかして。」
「どうした、リーフ!?」
「あの首、あの女が操っているんじゃなく自動で動いているんじゃ。」
「マジか!」
ラッガーが驚いていると二人に首が襲ってきた。口から水のレーザーを発射し、ラッガーとリーフの間を切り裂いた。その他の首も冒険者達の邪魔をするように攻撃していた。
龍儀は首の攻撃を避けるのに精一杯だった。ローレライは首の上から水のマシンガンを撃ち、竜の口から水のレーザーを発射しているため龍儀はローレライに近づくことが出来なかった。すると、竜の首の一つが炎の柱に吹っ飛ばされた。そこにはラッガーが右手を挙げて立っていた。
「熱い男の熱い技。《ボルケーノインパクト》!」
吹っ飛んだ首はみるみるうちに蒸発して消えた。
「ウソ~。」
その様子に気をとられたローレライの隙をついて龍儀は九頭海竜の付け根に向かった。
「これでどうだ。蛇から習ったC4だ!」
龍儀は付け根にプラスチック爆弾を仕掛け、長期遅延起爆装置(LPD)を起動させた。その後、龍儀が逃げてから数秒後に爆発が起きた。
「え?何これ!?」
九頭海竜が崩れ、ローレライが落ちてきた。龍儀の前に着地したローレライは龍儀と向かい合っていた。
中央海賊船甲板
海賊船に乗り込んだモルガン達は海賊を相手に苦戦していた。さっきの爆発で負傷者が出てしまい、その人達を庇いながら戦っていた。
「回復魔法が使える冒険者が気絶しているのはきついな。」
「弱音を吐くな。ここで私達がやられたらこの人達も死んでしまう。耐えるんだ。」
「それに、早くリーフに会わないとディーネが。」
応急処置してはいるがディーネはぐったりしたままルリカに担がれている。その手足には痺れもあった。
モルガン達が苦戦していると上から何かが落ちてきた。それをよく見ると気絶したギルガザムネだった。
「え?まさか、ギルさん!?」
「嘘だろ!龍人のギルさんがやられた~!」
ギルガザムネの敗北に驚き、慌てふためく海賊達の隙をついてトルクラ達が海賊を一掃した。モルガンが上を見ると空を見上げ安堵するリチェリアがいた。
「リチェリア。君は凄いよ。ありがとう。」
そう言ってモルガンは他の冒険者達と一緒に船内に向かった。
中央海賊船内
龍儀とローレライが睨み合っている中、ラッガー達はモルガン達と合流できた。
「ラッガー、状況は?」
「龍儀が海賊船のボスと戦ってる。」
「リーフさん、ディーネが毒に犯されてるの。お願い。」
「ディーネ!何やってるの!」
「ご、ごめん。」
リーフの解毒魔法でなんとか一命をとりとめたディーネはルリカとリーフに礼を言っていた。
「あ、そうよ。大変よ、みんな!海賊達が回復しようとしているの。早くしないと間に合わない。」
「嘘でしょ!あの透明化男もいるの!」
「うん。多分、外にいた海賊はみんな。」
「なるほど、ここにくる時に沈む船を見たが海賊は一人もいなかった。そこに運ばれたわけか。」
「そうだ!龍儀が海賊船のボスを足止めしている間になんとか阻止するぞ!」
「もちろん、そのつもりだ。」
モルガン達はラッガーの案内のもと、海賊の回復を阻止するために走った。
「そうだ。グレン、ルリカ、ディーネ、ライカ、君達は龍儀の方に向かってくれ。」
「いきなりどうしたんですか?」
「ラッガーから聞いたが相手はかなりの手練れ。龍儀一人では苦戦するだろう。だから、君達が龍儀を助けてくれ。こっちは私達で行く。」
「わかった。行こう、みんな!」
ライカの一言でルリカ達は龍儀のもとに行った。
睨み合う龍儀とローレライ。先に動いたのは龍儀だった。刀をローレライの首に向けて振るが、ローレライも剣で受け止め、切り合いになった。龍儀が蹴りを入れるがローレライは水の盾で防御して龍儀を蹴り飛ばした。龍儀は飛ばされるが倒れずに再びローレライに向かった。ローレライは左手を銃の構えにしてまた水の弾を連射し始めた。
「君、魔法を使わないじゃなく使えないわけね。さっきから同じ攻撃ばっかりだもの。」
「なんか悪いか。」
「いや、全然。」
ローレライは右手を伸ばすと水の剣を作り、龍儀の真上から振り下ろした。
その時、天井を破壊したリチェリアが光の剣で水の剣を切った。その後にライカ達も龍儀と合流した。
「お待たせ、龍儀。」
「あぁ、待ったな。」
「リューギ、助けに来たよ。」
「ありがとう。」
「ラッガーの言った通りなのね。こんなヤバい海賊団の船長が女って。」
「あれ、女の子が海賊の船長やってたらダメなのかな?」
「男女の前に海賊自体ダメだろ。」
「それは言わないで。」
ライカ達と合流した龍儀は再びローレライの前に立った。




