女神様との約束
この天界にはフェアリスを含め、9人の女神がいて、それぞれいろんな役割を担っています。
(ここは・・・?)
目が覚めると知らない空間にいた。上はどこまでも続く青空、地面には雲のような白いモヤが辺り一面に広がっていた。
「確か、俺は・・・」
彼、栄龍儀はやくざ同士の抗争の末、死んでしまったはずだった。しかし、体にはトラックに轢かれた傷は無く、痛みも無かった。
「どこだ、ここは?」
当然の疑問を口にした龍儀の前に一人の女性が歩み寄ってきた。
「はじめまして、栄龍儀さん。」
その女性の髪は透き通るような桃色のふわふわのロングヘアーで日本人離れした顔つきに豊満な胸は今にも水着のような服からこぼれ落ちそうな姿は神秘的だった。
「お前は?」
「私の名はフェアリス。この天界における女神の一人です。」
「・・・・は?」
「・・・・え?」
「女神ってなんだ?」
「女神とは・・・え~っと、神様のようなものです!」
「悪いが俺は神なんざ信じねぇ。」
「え~!」
さっきまでのような神秘的な雰囲気は消え、慌てて女神フェアリスは龍儀に説明を始めた。
「あなたは先ほどお亡くなりになりました。そして、この天界に私が呼んだのです。」
「死んだのはわかった。そして、ここが天界という場所やあんたが女神だということは信じられねぇが実際見た以上、信じるしかないわけか・・・」
「はい!」
「じゃあ、その女神様に頼みがある。」
「はい!なんでもどうぞ!」
「俺を地獄に連れてってくれ。」
「はい!・・・え?」
「ん?」
「今、なんて言いました?」
「地獄に連れてってくれ。」
「・・・pardon?」
「何故、英語?とにかく、地獄に連れてってくれ。」
「な・・・なんでですか!!」
「何故って、人を殺してんだから普通は地獄行きだろ。」
「そ、それはそうですけど、普通は他に願いがあるはずですよ!例えば、生き返りたいとか、チート能力をもって異世界に行きたいとか、なんなら私を好きにしたいとか~!」
「いや、俺だけ都合よく幸せになったら、先に死んだ家族に顔向けできねぇだろうが・・・ん?チート?異世界?何それ?」
女神フェアリスの説明の中に聞き慣れない単語が出てきたので龍儀はフェアリスに説明を求めた。
「チートや異世界ってなんだ?」
「はい!実はあなたをここへお呼びしたのは異世界関係であなたにお願いをするためなのです!」
目を輝かせながらフェアリスは龍儀に説明を始めた。
「まず、異世界とはあなたが元いた地球とは全く違った文明や生態系をもった世界のことです。そこでは、魔法が栄え、エルフや獣人、魔族などが暮らしているのです。」
「魔法?エルフ?獣人?魔族?」
「百聞は一見にしかず。早速、行きましょう。」
(説明省きやがった!)
「まずはこれを見てください。ステータスオープン!」
フェアリスがそう叫ぶと龍儀の前に文字が浮かびあがった。そこには、
《栄 龍儀 Lv1》
HP 100/100 MP 100/100
AT 200 DF 50 SP 150
アビリティ [無し]
と、表示されていた。
「なんだこれ?」
「これは今のあなたのレベルとステータスです。」
「は?」
「今から行ってもらいたい異世界では、ゲームのようにレベルやステータスのある世界なのです。もちろん、レベルが上がれば、ステータスも上昇しますし、強くなれます。」
「他人の人生を数字だけで決められたくねぇな。」
「ウグゥ。も・・・もちろん、ステータスが全てではないですけど、基本はステータスによるので気をつけてください。」
「ふーん、じゃあこのHPやMPってなんだ?」
「本当に何も知らないのですね。HPは体力を表します。このHPが0になってしまうと、死んでしまい蘇るは二度とありません。MPは魔力、魔法を使うのに必要な力のことです。その他にもATは攻撃力、DFは防御力、SPは素早さを表しているのです。最後に恩恵とはこの世界特有の特殊能力のことで17歳になると女神からもらうことができるのです。」
「なるほど。」
「では、あなたにアビリティとポイントとチート魔法を授けます。」
「チート?」
「あ、そうでした。チートとはその世界の基準を大きく超えた能力のことです。あなたには全てを燃やす炎魔法やどんな攻撃も0にする絶対防御魔法などを授けたいと」
「いらない。」
「え?」
「そんなもん使ってたら俺が俺じゃなくなりそうだからな。それに、使い慣れてないもん使って失敗したくはない。そもそも、チートに魅力を感じない。」
「な・・・なんと、チートがいらないと。で・・・では、せめて最高位回復魔法を授けます。あなたは戦うたびに傷だらけになるのでこの魔法を使ってください。」
「・・・あぁ、わかった。」
「それと、錬成魔法も授けます。これで、弾切れになることがないですね。」
「お、おう。」
「次は、ポイントを授けます。これはステータスを上昇させることができます。今回は、なんと、3000ポイントを授けたいと思います。」
「あぁ、これをステータスに割り振れと。」
「はい!あぁ、龍儀さんはどんなステータスがなるのでしょうか。バランス型、攻撃力特化型、防御力特化型、素早さ特化が「終わったぞ。」早!でもどんなステータスになるのか楽しみです。」
フェアリスが胸を踊らせながらステータスを見ると、
《栄 龍儀 Lv1》
HP 3100/3100 MP 100/100
AT 200 DF 50 SP 150
と、表示されていた。
「全部、HP~~~!!!」
「どうした?」
「いやいやいやいや、全部HPはさすがにないですよ!なんでこうなったのですか!」
「死んだら終わりなんだろ?だったら、死なないようにするだけだ。それに、レベルアップすればステータス上昇するんだろ。じゃあ、問題無い。」
「そ、それはそうですけど・・・分かりました。このステータスでいきましょう。最後にアビリティを授けます。が、その前に龍儀さんを17歳にしたいと思います。」
「ん・・・あぁ、そういえばアビリティは17じゃないともらえなかったな。」
「はい、ですがアビリティ自体17歳になったからといって全ての人がもらえるわけではないのです。」
「そうなのか。」
「そうなのです。では、龍儀さん、17歳になってください!」
そう言うとフェアリスの手から目映い光が放たれ龍儀を包んだ。光が消えると、龍儀の体は17歳の頃の体になり、身体中の傷も消えていた。
「どうでしょうか。龍儀さん。」
「別にいいけど、1つ頼みがある。」
「はい、なんでしょうか?もしかして、もっとイケメンにして欲しいとか。きゃ~、今のお姿でもイケメンなのにもっとイケメンになったらどうしましょう。」
「今まで付いてた傷を全て戻してくれ。」
「・・・え?」
「・・・ん?」
「・・・why?」
「だから、なんで英語?まぁ、今まで受けた傷は俺にとってあいつらと過ごした思い出みたいなモノだから忘れたくないんだよ。」
「な・・・なるほどぉ、う~、分かりました。では。」
少し不満そうに頬を膨らませながら、フェアリスが手をかざすと龍儀の身体中に傷が戻ってきた。
「う~、絶対無い方がカッコいいのに。」
「いいんだよ。俺はこれで。」
「分かりました。それでは、龍儀さんに授けるアビリティはこれです。」
アビリティ [自由]
どんな束縛も受けず、どんな呪いも効くことはない
「これでどうでしょうか?」
「いいじゃないか。」
(よし!)
小さくガッツポーズするフェアリスに向かって龍儀はある疑問をなげかけた。
「そういえば、何故俺なんだ?」
その問いに対しフェアリスは真剣な表情で答えた。
「実は天界からずーっとあなたを見ていたのです。最初は怖かったですけど、見ているうちにだんだんあなたに惹かれていったのです。お恥ずかしい話、あなたに恋をしてしまいました。」
「そうか・・・」
龍儀はそれ以上この答えに対し、口を開くことはなかった。
「最後に龍儀さん、あなたへのお願いを言います。今から行く異世界で魔王を討伐してください。」
「魔王・・・」
「はい、この異世界は今、ある魔王によって少しずつですが、確実に破滅に向かっています。あなたにその魔王を倒し、異世界を救って欲しいのです。その異世界の名は【ブルームスフィア】」
「ブルームスフィア・・・」
その異世界の名を聞いた龍儀はフェアリスに静かに語りかけた。
「もし、魔王を倒したら俺はどうなる?」
「はい、龍儀さんの願いをなんでも1つだけ叶えてさしあげます。」
「なるほど、じゃあ地獄に連れて行く約束、頼んだぞ。」
「分かりました。それでは魔王を討伐しましたら、伺いますのでその時に改めて願いを言ってください。」
「あぁ、約束だ。」
「では、ゲートオープン!」
フェアリスの掛け声により龍儀の前に大きな門が現れた。その門はゆっくり開くと中から目映い光を放った。
「それでは、龍儀さん、お気をつけてください。」
「あぁ。」
そう答えると龍儀はゆっくりと門の中に入っていった。
「・・・桜・・・」
そして、光はゆっくりと龍儀は包み込んだのだった。




