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欺く

 ウロフォロス戦の後、ローレライ達が負傷者を連れて救護テントへ向かった。それを見届けたドーベルとモンテスリューはルリカの膝の上で眠っているウロフォロスを見た。

「もう戦意は無いだろうが一応拘束はする。」

 モンテスリューの言葉にルリカ達は反対しなかった。メイが回復魔法でモンテスリュー達を回復させているところに兵士が来てウロフォロスを拘束する。

「では、我々は彼女を連行します。」

「頼んだ。彼女の奪還のため魔族が来るかも知れんから気を付けろ。」

「はい。」

 兵士達がウロフォロスを連行して行くのを確認する。

「まぁ、ここまで押し上げたんだから早々奪還はねぇだろ。」

「俺達もギルベレスタのところに行くぞ。」

 モンテスリュー達はこちらに向かってくる魔族達を立ち向かう。ウロフォロスを倒した彼らにとって今更このレベルの魔族など相手にならずあっさりと倒していく。ルリカとメイも後ろから援護した。その時だった。突然後ろから何者かが来て2人の肩に手をかけた。

「やっと見つけた。」

「「!?」」

 2人はすぐに手を振り払い下がりながら振り向く。そこにはスーツ姿で仮面を着けた男がいた。

「油断し過ぎだ。」

「あなたね。奴隷オークションにいたライオットって。いや、今は鬼城と呼んだ方がいいのかしら。」

「そっちでいい。ライオットと名乗る必要も無くなった。」

 鬼城は仮面を取ると後ろに投げ捨てた。ルリカとメイはすぐに杖を向けて魔法を放つ。それを鬼城は手を振り払ってあっさり消した。2人はもう一度魔法を放とうとした瞬間、鬼城は2人の前にボールを投げた。2人は警戒し下がろうとした時、鬼城は拳銃でボールを撃ち抜いた。その途端、爆発し白い煙が2人を包む。

「ケホッケホッ…何これ?」

「目が…」

 2人が謎の煙に気を取られた瞬間、鬼城は通り抜けながら2人の肩を叩いた。2人はすぐに後ろに振り向いて魔法を放つ。鬼城は軽く避けるとそのまま去ろうとした。ルリカが再び魔法を放とうとした。それをメイが止めた。

「メイさん?」

「今すぐステータスを見て!」

 メイに言われ自分のステータスを見る。すると、恩恵(アビリティが無くなっていたのだ。2人が戸惑っている間に鬼城は消えてしまった。2人は鬼城の仕業だとすぐに理解したが何も出来ず悔しい思いをした。

 その鬼城は先々進んでいるドーベルとモンテスリューに近付いていた。すると、ドーベルが鬼城を向いて睨んだ。

「てめぇだな。ライオットって名乗ってた人間は。」

「御名答。鬼城だ。龍儀ちゃんから聞いてるだろ。」

「あぁ、ちゃんと聞いている。全ての元凶だとな。」

 2人はすぐに構える。鬼城はその場から動かずに観察している。しばらく膠着状態が続いていると鬼城が先に動いた。拳銃を取り出して撃つ。それをモンテスリューは避けた。

「それはもう知ってんだよ!」

「ならこれは?」

 鬼城は閃光弾を投げる。それをドーベルが爆発する前に爪で斬り裂いた。鬼城は下がりながら撃つ。それを避け続け鬼城の前まで接近した。モンテスリューは渾身の拳を鬼城に打ち込む。鬼城は下がって衝撃を緩和させながら距離をとる。

「チッ。やれなかったか。」

「今度はこっちの番だ。」

 鬼城は手榴弾を投げる。ドーベルはさっきと同じように斬り裂くと強烈な臭いがした。その臭いにドーベルは鼻を抑え悶絶した。

「くせぇ!目に滲みる!なんだそれ!?」

「魚と玉ねぎを混ぜて腐らせた。」

「しょぼい手を使うじゃねぇか。」

「でも効果的だろ?嗅覚が敏感過ぎるのも考えもんだな。」

 鬼城はドーベルを殴打すると頭を掴み顔面に膝蹴りした。ドーベルは鼻血を出して倒れる。モンテスリューも鼻水を拭き目を擦って体勢を立て直し炎を吐く。鬼城は刀を出して炎を斬ると刀を投げ飛ばした。モンテスリューは紙一重で避ける。しかし、鬼城は刀を囮にしてモンテスリューに接近すると注射器をモンテスリューの腕に刺した。モンテスリューはすぐに振り払って注射器を抜く。

「何刺した?」

「オチミヤビ。」

 モンテスリューはクラッと目眩がした。それをなんとかするために自分の頭を殴った。鬼城は追撃を止め下がる。

「少しスッキリした。やってくれたな。」

「あんたは薬物耐性があるみたいだからな。原液をそのまま打たせてもらった。」

 鬼城は再び拳銃を向け撃つ。モンテスリューもなんとか避けるがオチミヤビの症状が早くも出てきた。モンテスリューは翼を作って飛ぼうとすると鬼城が翼を撃ち抜いた。

「!」

「思考もだんだんおかしくなっていくだろ。そう改良した。」

 鬼城は墜落したモンテスリューにタッチした。そのままどこかへ行こうとする。モンテスリューはフラフラしながらも立ち上がって止める。

「どこ行く気だ?」

「もう克服したか。」

「答えろ!」

「ここ以外のどこか。」

 モンテスリューは深呼吸してダッシュし鬼城に渾身の拳を打ち込む。その瞬間、モンテスリューにダメージがきた。モンテスリューはすかさず下がる。

「なんだ今の…まさか!」

 モンテスリューは自分のステータスを見る。ステータスにはルリカ達と同じように恩恵(アビリティがなかった。

「まさか、恩恵(アビリティを奪う恩恵(アビリティ…そんなもんが…いやギルベレスタか。」

「早いな。大正解。じゃあ俺は他の恩恵(アビリティを取ってくるから大人しく…」

「するわけねぇだろ!」

 モンテスリューは拳に炎を纏わせ放った。鬼城は早速奪った恩恵(アビリティを試すとまともにダメージを負った。

「俺の恩恵(アビリティは触れた場合のみ発動だ!遠距離からの魔法は効果ねぇぜ!」

「なるほど、勉強になった。」

 鬼城はニヤリと笑うと大量の手榴弾をばら撒いた。モンテスリューが下がると一斉に爆発し轟音が鳴り響いた。爆発が収まり煙が晴れると鬼城は消えていた。

「やられた。」

 モンテスリューは悔しそうに鬼城がいた場所を睨んでいた。


 そして、今…

「お、やるでござるか。恩恵(アビリティもないのに拙者に勝てると?」

「それが無きゃ満足に戦えねぇてめぇよりマシだろ。」

 モンテスリュー達は影月龍を見上げ再び戦闘態勢をとった。その時、影月龍にミサイルが命中した。なんだと振り向くとそこにはヘリがまっすぐこちらに飛んできた。

「あれは…」

「邪魔でござるな。」

 影月龍は口から光線を放つがヘリは光線を避けモンテスリュー達の上を通る。

「まさか、こいつと戦うことになるとは。」

「無駄口たたかない。行くよ。」

「「「了解。」」」

 数人の獣人が会話を交わすとヘリから飛び降りた。風魔法を上手く使い着地するとルリカ達の方を向いた。その顔に見覚えがあった。

「お前ら、あん時の!」

「久しぶり。」

 ドーベルが叫ぶ。ルリカ達の前に加勢に来たのは嘗てグレゴリオと共にセントブルーム城を襲撃したテロリスト達だった。

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