反撃
交渉が終わった翌日のナクトリア
龍儀とリチェリアはモルガンに呼ばれていた。
「君達二人に頼みたいことがある。・・・」
翌日の朝
海賊討伐隊の前にモルガンが立った。
「今日、君達に集まってもらったのは他でもない。再び、我らは海賊に対して攻撃を仕掛ける。」
モルガンの発言にざわつく人達。
「わかっている。我らは海賊に対し大敗北した。しかし、次はない!我らは明日の夜、海賊に奇襲を仕掛ける。詳しい説明は明日の朝、発表する!その時までみんな、体を休めてくれ。」
そう言ってモルガンは去った。冒険者達は各々不満を言いながら解散した。しかし、その中に龍儀とリチェリアの姿はなかった。
「次は明日の夜か。」
海賊船
そこに透明化魔法を解除したゼロンとギルガザムネが戻ってきた。着いてすぐ待っていたガットが話かけた。
「どうだった?」
「次の奇襲は明日の夜。詳しい説明は明日の朝だとよ。」
「夜なら大丈夫だと?随分、嘗められたものだな。」
「全くだぜ。戦いは力だけじゃない。情報を多く持っている方が勝つ。」
「だが、少し気になることもある。」
「どうした、ギル?」
「俺と戦ったあの女がいなかった。」
「ギル、私情をはさむな。」
「そうじゃねぇ!」
「まぁ、とりあえず次は明日の朝だ。その時まで寝るわ。」
ゼロンが船内に入った後、ガットもギルガザムネも船内に向かった。
はるか上空、雲の上
そこを龍儀を乗せたリチェリアが飛んでいた。
「さすがに雲の上だと息するのもきつい。」
「そうね。私もここまで高く飛んだことないわね。」
二人が飛んでいると下に船団が見えた。その中央に他の船より一際大きな船があった。
「ねぇ、あの船、でかすぎない。」
「あぁ、まじで戦艦レベルの大きさだな。」
「戦艦?」
「俺がいた国の遊撃船みたいなものだ。」
二人が待っていると連絡が入った。
「モルガンだ。奇襲の準備は出来ている。まずは君達が奇襲を仕掛け、撹乱してくれ。」
「わかった、行くぞ。準備はいいか、リチェ。」
「もちろん。」
二人はそのまま最も大きい中央の船に向かって急降下した。そして、甲板に盛大に着地した。
「な、なんだ!?」
「いきなり何か落ちてきた!」
海賊達が騒ぐなか、煙の中から二人の影が現れた。
「・・・痛ぇ。もう二度とスカイダイビングはしたくない。」
「でも、そのおかげで奇襲成功よ。」
「そうだな。」
二人は武器を持って背中合わせに立った。
「き、奇襲だー!」
「嘘だろ!奇襲は明日じゃねぇのか。」
二人は慌てる海賊を相手に無双した。海賊達が応戦すると今度は遊撃船が海賊船に衝突した。
海賊船に突撃する前
「追跡?」
「そうだ。私の恩恵は[追跡]ある条件を満たした相手の位置が分かるだ。」
「何それ?そんなの知らないわよ。」
「そうだろうな。周りにばれないようにガードまでしたからな。」
「何、その徹底ぶり。」
「当初は最初の作戦の時に使うつもりだったんだがな。ちなみにその条件は目と目を合わせた状態で相手に触れるだ。条件を探すのに苦労した。」
「あれ、いつ追跡を付けたんですか?」
「一回目の人質交換の時だ。返した海賊に追跡を付けたから今いるところは分かる。」
「じゃあ、何故わかった時点で奇襲をしない!?」
「最優先は人質になった仲間の無事を確認することだ。海賊討伐はその後だ。」
「そういえば、龍儀さんとリチェリアさんは?」
「二人ならもう奇襲に向かった。」
交渉が終わった翌日
「君達二人に頼みたいことがある。明日の朝、この辺りにいる海賊に奇襲を仕掛けて欲しい。」
そう言ってモルガンは地図を広げ、海の上を指した。
「何でそこに海賊がいるのが分かるの?」
「龍儀には言っているが私の恩恵は[追跡]ある条件を満たした相手の位置が分かるだ。だから、返した海賊の一人に追跡を付けている。」
「龍儀、知ってたんだ。」
「あぁ、一回目の交渉が終わった夜にな。」
一回目の交渉が終わった夜
「それは、君とリチェリアの二人で奇襲を仕掛けて欲しい。詳しいことは後日、人質の無事を確認した後に話す。私の恩恵は[追跡]ある条件を満たした相手の位置が分かるだ。海賊の居場所は今も分かる。安心してくれ。次は成功させる。それと成功率をあげるためにこのことは他の人達には内緒にしてくれ。時がくれば私から話す。」
「わかった。」
ジーっと龍儀を見るリチェリアに龍儀は目を反らした。
「龍儀を責めないでくれ。相手の中に高度な透明化魔法を使う男がいるとなれば情報を知る者は少ない方がいい。」
「わかったわ。龍儀と一緒にそこに行くのね。」
「あぁ、あれからほとんど動きがない。恐らく、ここが根城だろう。」
そして、今に至る
「し、知らなかった。」
「あぁ、このことを知っているのは龍儀、リチェリア、キラリネ、トルクラだけ。そして、朝のうちに君達に手紙を送った。」
「それがこれですか。」
「そうだ。戦いは力だけじゃない。情報を多く持っている方が勝つ。キラリネ達の情報が役に立った。」
モルガンが説明していると前方に船団が見えた。
「何あの船!でかすぎでしょ!」
「なるほど、あの船が海賊達の根城か。通りで見つからないわけだ。島じゃなかったわけだからな。」
「しかも、ゼロンの透明化魔法で普段は隠れているのだろう。」
「あぁ、なるほど。だから、このタイミングで二人に奇襲を仕掛けたわけか。」
「え?」
「あいつが言ってたのよ。100m以内の任意のもの全てを透明化させるって。ってことはあいつが100m外にいる間は船は透明化できない。」
「そう。慎重な海賊のことだ。また、奴を送り込むと予想できる。最初は奴に作戦を知られたのが理由で先手を取られたが次はこちらが先手を取る番だ。もう、二人には奇襲の合図は出した。」
そして、遊撃部隊の船団が海賊の船団に突撃した。
「行くぞ!」
モルガンの合図で最初のチームと同じチームに分かれ、海賊船に乗り込んだ。
中央の海賊船内
そこでは二人が海賊を蹴散らしていた。すると、龍儀は肩に違和感を感じた。そして、ある一点に向けて蹴りを入れた。そこには透明化したゼロンがおり龍儀に蹴られ、勢いよく吹っ飛んだ。吹っ飛んだゼロンを見ながら龍儀は針を抜いた。
「いや、いろいろとおかしいだろ!何で、俺の場所が分かるんだ!?」
「俺がお前ならどうするか予想してみただけだ。」
「じゃあ、毒は!?何で神経毒が効かねぇんだよ!?」
「そいつは予め毒の血清を打ったからな。うちには凄いのがいてな。どのモンスターの毒か分かればあっという間に血清を作ることができる。まぁ、俺に毒は効かねぇが、全員この血清を打ったから毒は効かないぞ。」
(・・・やべぇ!しくじった~!)
ゼロンは下を見て後悔した。
(くそ、どうする?こいつに透明化は効かない。なら、女の方に・・・無理だ。勝てねぇ。)
ゼロンはリチェリアに狙いを定め鑑定したが、圧倒的なステータスに絶望していた。
龍儀がゼロンに拳銃を向けると上からギルガザムネが立ちはだかった。
「ギル!」
「やってくれたな。」
龍儀はギルガザムネから距離を取ろうとし、ギルガザムネは龍儀に向かった瞬間、リチェリアが二人の間に入ってきた。
「リチェ!」
「龍儀!ここは私に任せて!」
「了解!」
龍儀は逃げるゼロンを追いかけていった。リチェリアはギルガザムネと顔を合わせた。
「やっぱ、いい女だ。」
「?」
「来い。相手してやる。」
「えぇ、私もそのつもり。」
一瞬の沈黙の後、二人は同時に飛び立った。
遊撃部隊γ
ライカ、ノリオ、トルクラが周りにある海賊船から片付けていると兵士達を蹴散らし、熊の獣人 ザンツァーが目の前に現れた。
「やられたぜ。まさか、こっちが騙されるとは。でも、結局は俺達に勝てねぇと意味ないぜ。」
ライカ達はザンツァー相手に構えた。
遊撃部隊β
グレン、モルガン、ゴルディが中央の海賊船に目指していると横からナイフが飛んできた。モルガンがそれをシールドで防ぐとバンダナを頭に巻いたネイリスが仲間とともに遊撃船に乗り込んできた。
「悪いけどここから先は行かせない。」
「モルガンさん達は先に。ここは僕が食い止めます。」
「へぇ、できるの?」
グレンはネイリスの前に立ち剣を構えた。
遊撃部隊α
キラリネが光の球で海賊を凪ぎ払い、ルリカとディーネが彼女の援護をしていると上から風の槍が降ってきた。二人はキラリネを守るように払うと上からミリファが降りてきた。
「ミリファ!」
「すみません、ルリカ様。私はここの人達に負けて欲しくないです。なので、あなた達は私が相手します。」
「ミリファ・・・」
「大丈夫よ、ルリカ。私もキラリネさんもいる。ミリファちゃんには悪いけど勝たせてもらうよ。」
三人がミリファを見た瞬間、キラリネの前にいくつかの爆弾が転がってきた。三人は避けるが爆発の影響で船は大破、ルリカとディーネはキラリネとは違う船に移った。そして、二人の前にはミリファと
「ふぅ、なんとか逃げ切った。よし、これで2対2だな。」
龍儀から逃げたゼロンがいた。
中央海賊船内
海賊を倒しながらゼロンを追いかけていた龍儀は彼を見失っていた。
「くそ、透明化魔法で逃げたか。」
龍儀は海賊船内に入るとそこはまるで街だった。大小様々な建物が並び、店や宿みたいなものまであった。
「こいつはまるで街だな。大方、海賊都市ってか。」
龍儀が海賊都市の中を進むと後ろから海賊達がきた。龍儀が構えていると
「どけぇ!お前らぁ!」
きた海賊の奥から聞き覚えのある声とともに海賊達を吹っ飛ばしながらラッガーがやってきた。その後ろにリーフやセインフィーネのメンバー、冒険者達も来ていた。
「ラッガー。」
「おぅ、龍儀!待たせたな!」
「ここからは私達が援護するわ。」
「ありがとう、助かる。」
こうして、各所で激戦が繰り広げられた。




