奴隷解放戦 ドーベルvsタウロ
龍儀と別れた後
「あの、ドーベルさん。」
「なんだ。」
「龍儀さんの仲間の場所が分かるんですか?」
「あぁ、俺の恩恵は[超嗅]嗅覚が100倍になるだからあいつの匂いは分かるし、覚えてる。」
「なんか凄いです。」
「そうか!それじゃ、行くか!」
「はい!」
ドーベルとイナリは廊下を真っ直ぐ進んでいた。進んだ先に扉が見えるとドーベルは笑い、扉の前にいた兵士を扉ごと蹴飛ばした。
「な、なんだ!」
「襲撃だー!」
扉の先には兵士達と奴隷達がいた。その中にライカとグレンの姿もあった。
「あ、ドーベル!」
「ドーベルさん。」
「おう、来てやったぜ。」
警戒する兵士達を押し退け一人の男がドーベルに立ちふさがった。フィリルティアで龍儀を吹っ飛ばした男、タウロだった。鍛え上げた筋肉を見せびらかすように服を裂きマッスルポーズをとってドーベルに威嚇した。
「ふん、獣人風情が我らに楯突こうというのか。」
「はっ、獣人とあまく見ていると痛い目見るぜ。」
ドーベルはそう言うと真っ直ぐタウロに突っ込んだ。タウロは避ける素振りを見せず、手を前にかざした。
《ストームバスター》
ストームブレスとは比べものにならないほどの威力がドーベルを襲った。吹っ飛ばされるが、空中で体勢を直し、綺麗に着地したドーベルはまた真っ直ぐ突っ込んだ。
「脳筋が!」
タウロは再びストームバスターを撃つがドーベルはそれを避け、壁を走った。
「何!」
「へっ、同じ手にかかるかよ。」
そのまま飛び掛かりタウロに切り裂くドーベルだが、タウロはとっさに《ウィンドガード》で致命傷を防いだ。しかし、防ぎきれず胸を切られた。
「ちぃ、《ライトニングスピア》!」
タウロの手から放たれた無数の雷の槍を避けながら後退りするドーベル。そして、避けては突っ込んで切り裂くを続けた。
「お前、魔法使えないのか。だから、さっきから突っ込んでるだけか。所詮は獣人、人間のように高度な魔法は使えないようだな。」
距離をとり後退りしたドーベルに勝ちを確信したのかタウロは笑いながら構えた。そして、両手に風を纏い、一気にドーベルめがけ突進した。
「死ねぇ!」
「そんなに見たけりゃ見せてやるよ、俺の必殺技。《ドーベルファング》!」
ドーベルが手を横に叩いた瞬間、風で作られた狼がタウロを喰い、吹っ飛ばした。ライカ達の前に倒れたタウロ。ドーベルはライカ達の方に向かうが、タウロが立ち上がりナイフをライカに向けた。
「動くな、獣人。こいつとは仲がいいみたいだな。こいつがどうなってもいいのか。」
「戦いは余裕がなくなったら負けだぜ。」
軽口たたきながら近づくドーベル。
「おい!こいつがどうなってもいいのか!」
「おう、どうする?犬の嬢ちゃん?」
「あたしは狼の獣人だぞ!」
「じゃあ、狼らしいところ見せてくれよ。」
「な、何を言っている!そこで止まれ!」
タウロが叫んだ瞬間、バキッと音がした。音がした方を見るとライカがナイフを噛み砕いていた。
「何ぃ!」
ライカはそのまま飛び掛かり両足でドロップキックをタウロにくらわした。
「わーぉ。なかなかやるじゃねぇか。」
「どうだ!これであたしが狼の獣人だとわかったか!・・・痛!」
口を抑えるライカ。口から少量の血が流れた。あまりの痛さに泣いているライカを見てドーベルはため息をついた。
「そりぁ、そうなるはな。」
ドーベルがライカに歩みよるとタウロが動いたので、とどめにおもいっきり殴り気絶させた。そして、そのまま周りの兵士達を一掃し、ライカ達の鎖を切り裂いた。
「やったー!」
喜ぶライカや安堵するグレンと違い、他の奴隷達は虚な目で下を見ていた。
「どうした?折角、自由になれるのに。」
「自由になっても何をしていいかわからない。名前もない、身寄りもない私達はどこにも居場所がない。」
「あぁ、そうか。」
「ところで、ドーベルさんの隣にいるのは?」
「はい!はじめまして、イナリ・バウリンガーと言います!」
「え、バウリンガーってもしかして、弟さん!」
「龍儀が勝手に付けたんだよ!」
「リューギが!?」
「あぁ、名前のねぇこいつに折角だからとな。で、何故か俺の弟設定にしやがった。」
ドーベル達の会話を聞いた他の奴隷達の目に少しだけ光が灯った。ライカも龍儀が生きているとわかり、喜んだ。
「じゃあ、リューギも来ているんだ!」
「あぁ、来てるぜ。そんじゃあ、会いに行くか!」
「うん!」
ドーベル達が部屋を出ようとすると入口から大量の兵士がなだれ込んできた。
「けっ、まだいやがるのか。仕方ねぇ、こいつら全員たたきのめして龍儀のとこ行くぞ!」
「はい!」
「うん!」
ドーベル、ライカ、グレンはイナリ達を守るように前に立ち兵士達に突撃していった。
「いいなぁ、名前。」
奴隷の一人がボソッと呟いた。




