言ってはいけない言葉
龍儀達はクロスレイズ学園の中を走りながら行方不明のみんなを探していた。すると、触手が切られている道を発見した。龍儀を先頭に道を歩いていると学園長室に着いた。龍儀がおそるおそる扉を開けた瞬間、剣が龍儀の前を通った。
「俺だ。」
「その声は、龍儀さんですね。」
声と共に扉を開けたのはハイルフェンだった。彼に招かれて入るとライカやシーナ、シャリアやオーウェンにランドルフと数人の生徒達だけがそこにいた。
「みんなは?」
「はぐれました。」
「ルリカもセレナもどこかに行っちゃった。」
「そうか。なんでここに奴の蔦があるんだ?」
「それは・・・」
ライカが経緯を龍儀に話す。龍儀がリチェリア達の安否を聞こうとしているとランドルフが話しかけてきた。
「それでエクスカリバーは?」
「ここに?」
龍儀が懐からエクスカリバーの先を取り出した。それを見たランドルフは嬉しそうな顔をした。
「素晴らしい!これであの魔族を倒すことが出来る!」
ランドルフが喜んでいるとシーナが龍儀に近付いてきた。
「ねぇ、オル君は?」
シーナが聞くと龍儀は少し黙るが話し始めた。
「あいつは俺達を逃がすために囮になった。」
龍儀が答えると全員黙ってしまった。すると、ランドルフが龍儀の後ろにいるグレンを睨んだ。
「どういうことだ?」
「え・・・」
「何故お前が囮にならなかった。」
ランドルフの言葉に答えないグレン。ランドルフの口調がさらに激しくなる。
「何故役立たずのお前が勇者の代わりに囮にならない!?」
「話に割り込むようで悪いが俺達の中で一番強いのはオルガロッドさんです。あの状況で囮になるには一番強い人がならないと俺達は全滅している可能性もあった。なにより本人が自ら囮役をかって出た。」
グレンの代わりに龍儀が答えた。しかし、ランドルフは龍儀の話を無視してグレンに詰め寄る。
「誰がどう見てもお前が囮になるべきなのだ!今からでも遅くない。囮になってこい。」
「嫌です。」
グレンがそう言った瞬間、ランドルフは額に青筋を立ててグレンを睨んだ。
「なんだと?もう一度言ってみろ。」
「僕は自分の意思で動きます。囮なんかじゃない。龍儀さん達が僕を必要としてくれている。もう何もできない僕じゃない!」
「ふざけるな!お前は俺の言うことだけを聞けばいいのだよ!」
「いやです!僕は自分で動きたい!誰かに命令されて動く人形じゃいたくない!」
「ふざけるな!俺の言うことを聞かんお前など産まなければ良・・・」
真っ直ぐ見て反発するグレンにランドルフが言い切ろうとした瞬間、龍儀がランドルフの顔面をおもいっきり蹴り飛ばした。ランドルフは壁に激突し気絶した。
「おい・・・。お前今何を言おうとした。その言葉はなぁ、親が自分の子に対して一番言ってはいけない言葉なんだよ。どんなに出来の悪い子でも親となったからには最後まで責任持って育てるのが親だ。子は親を選べねぇ。ならこの親で良かったと思われるような親にならねぇといけないだろうが。」
龍儀の言葉にみんな黙ってしまい静まり返った。龍儀は言い終えると学園長室を出ようとした。
「龍儀さん、どこへ?」
「みんなを探す。」
「僕も行きます。」
「アタシも行く!」
「勿論私もお供しますよ。」
「行かない理由ないしね。」
「私もオル君が心配だし。」
龍儀が行こうとするとグレンを筆頭にライカやハイルフェン達も立ち上がり龍儀の後をついていく。シャリアが他の生徒達に自分の安全を第一にするように指示してついて行こうとするとオーウェンも一緒についてきた。
「団長もくるんですね。」
「当たり前だ。最高位聖王騎士団長としてこの学園を守る義務がある。」
ついてくるみんなを一通り見た龍儀は何も言わずに捜索を始めるのだった。




