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【完結】転生極道は異世界でも家族をつくりたい  作者: 鎌宮 和明
第3章《家族》セインフィーネの闇編
220/423

龍儀は怒りに満ちていた。大切な仲間、家族を麻薬の実験に使われていたから。いや、それ以上に危険から守り切れなかった不甲斐ない自分に怒っていたのだ。

「あんな龍儀、始めてかも・・・」

恵葉に抱えられているリチェリアが相手の血で染まった龍儀を見て恐がっていた。

しばらくして辺り一面血と死体で埋め尽くされようとしている時、龍儀の腕を誰かが掴んだ。龍儀は腕を振り払い距離を取るとそこにレオナルドがいた。

「なんでお前がここにいる?」

「君達が心配になって捜している途中、マッドネスさんが嘘をついていることが分かったからシークレイン孤児院を調べていくうちにここにたどり着いたんだ。」

レオナルドはここまでの経緯を龍儀に説明する。

「龍儀さん、少し落ち着きましょう。気持ちは分かります。ですがこれじゃあただの殺人鬼と同じです。共にセインクロスを魔族から救った時の龍儀さんに戻ってください。」

「・・・悪いが俺はそんなにいい奴じゃない。ヒーローじゃない。俺は守るためなら人を殺すような奴だ。」

「それでも私達にとっては魔族から国を救ったヒーローですよ。」

レオナルドはすぐに拘束されているライカ達全員を解放すると1人ずつ生成した小さな魔法の光球に入れて地上へ運んで行った。

地上に到着するとレオナルドの別荘へ行きベッドや布団を敷いた床にライカ達を寝かせた。龍儀はライカ達に最高位回復魔法(パーフェクトヒール)をかけて治療を試みるが目に見えた効果はない。レオナルドも一緒にライカ達をアビリティ《真眼》で検診する。

「オーラが弱っている。君達が言っていた麻薬の影響か?」

「はい、そうだと思います。」

「オチミヤビ。」

龍儀の発言を聞いたレオナルドは詳しく説明を求めた。

「俺が転生する何十年も前に流行った新型麻薬。生成方法が謎に包まれ高い幸福感と依存性を示す危険な麻薬だ。だが、それを製造していた組織はもう潰れそれ以来途絶えていたはずだ。」

(ってことはこの世界にオチミヤビの製造方法を知っている奴がいる。おそらく奴だ・・・)

「そのオチミヤビについては分かった。君はこれを製造しているのが誰かも分かっているのか?」

「ええ。あの時の発言に俺達があの場所にいたということは黒幕はセバスチャン・シークレインだ。」

龍儀の発言にレオナルドは驚くが龍儀が嘘を言っている色が見えないため龍儀の発言を信じることにした。

「にわかには信じ難いけど君が言うなら信じよう。しかし、何故セバスチャンさんが・・・」

「それは本人に聞こう。」

龍儀はしばらくして立ち上がる。そこにリチェリアがやってきた。

「大丈夫なのか?」

「ええ。そのオチミヤビって薬を嗅いだらめまいがしただけ。」

(オチミヤビはリチェリアのアビリティに干渉が出来るのか?)

龍儀はリチェリアを心配していた。リチェリアはさっきとは違ってしっかり自分で立ち龍儀とのやり取りもハッキリしていた。

「私は行くつもりよ。このままやられっぱなしはいやだからね。」

「いや、リチェリア君はここにいてくれ。」

リチェリアが龍儀と一緒に行こうとするとレオナルドが止めた。

「なんで?」

「君の強さは分かっている。私よりも強い。だからこそここを守ってほしい。」

レオナルドに説得されリチェリアは口をモゴモゴさせながらも渋々了承した。レオナルドはリチェリアに礼を言うと龍儀と恵葉を連れて外に出た。

「レオナルドさん、何故リチェを?」

「・・・彼女には見せれないと思ってね。」

「?」

レオナルドは振り返って龍儀の目をはっきりと見る。

「あの時の君の顔はまさに鬼だ。仲間のためと斬り捨てていく君の姿はまさに修羅と呼ばれる鬼だ。」

レオナルドは龍儀が殺していく姿をリチェリア達に見せたくないとリチェリアを同行するのを拒否していた。今、彼の目には赤黒いオーラを放つ龍儀が見えていた。龍儀は自分の血に染まっている手を見て語り始める。

「さっきも言ったが俺は別に善人じゃない。相手を騙すこともあれば命を奪うこともある。守るためなら・・・」

「それは親がすることか?」

龍儀はレオナルドの発言に呆気にとられレオナルドの顔を見た。

「子供を守りたい。その気持ちは親にとって一番大事だ。けどそのために罪を犯せばその子供達は親をどう思う?」

「・・・」

「子供達にとって親は憧れだ。もし殺しをするとような親を子供達が見たら殺しに憧れてしまう。龍儀、ライカ達にとって君は血は繋がってなくてももう立派な父親だ。彼女達には君が必要だ。だから、彼女達にとっての憧れのままでいてほしい。」

レオナルドに諭され龍儀は黙ってしまった。そして、気が抜けたのか一息ついて口角を少し上げて笑うと再びレオナルドを見た。

「長い間極道をしてたからそこら辺の倫理観がおかしくなってたな。・・・そうだよ。そうだよな。レオナルドさんの言っている方が普通だ。」

龍儀は空を見て再び笑う。そして、落ち着いたのか血塗れの手を拭った。

「ありがとう。おかげでやっとまともな人間になれた。」

「良かった。やっといつものオーラの龍儀さんに戻ってくれた。」

レオナルドも落ち着いている龍儀の顔を見て安心していた。お互いに顔を見合せ頷くとセバスチャンがいると思われる宮殿へ向かった。





「・・・恵葉さん、極道って何か知っていますか?」

「え、えっと・・・」

龍儀の後ろではレオナルドが恵葉に極道について聞いていた。

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