家族救出大作戦
フィリルティアから吹っ飛ばされてからしばらく、龍儀は目を覚ました。起き上がると全身が痛んだので見ると包帯などで手当てされていた。そこに、一人の男が近づいてきた。
「お、気づいたか。むちゃくちゃ魘されてたから心配したぜ。」
そこにいたのはドーベルだった。彼は鍋を持って龍儀の隣に座り、料理を龍儀に渡した。
「これは?」
「その辺のモンスターの肉のシチューだ。安心しろ。味は濃いが旨さは保証する。」
「料理できたんだな。」
「おぅ!長年傭兵やっとるとな、自然と身に付く。」
「俺にはない技術だ。いただきます。」
龍儀はおそるおそるシチューを口にした。
「どうだ?濃いか?」
「いや、これぐらい濃い方が俺は好きだ。めちゃくちゃ美味しい。」
「そいつは良かった。で、なんでお前ほどの男があんなところでぼろぼろになってんだ?」
「・・・!そうだ。ドーベル!あれから何時間経った!?俺を手当てしてからどれくらい経った!?」
「ま、まだ1日も経ってねぇよ。それより仲間はどうした?」
「くそ!早くいかねぇと・・・痛て!」
「落ち着け!しばらく安静だ。」
「そうだ、忘れてた。」
龍儀は最高位回復魔法を使って身体中を治した。
「まじか、そんなん使えたんか。」
「あぁ、くそ!どうする?」
「俺に話してみろ。力になれるかもしれんぞ。」
龍儀はドーベルに説明した。ルリカの依頼のこと、フィリルティアのこと、奴隷のこと、そして自分が負けて吹っ飛ばされたことを。
「まさか、この国でもまだ奴隷文化があるとは。」
「ん?どういうことだ?」
「そもそも奴隷が禁止になったのは今から5,6年前だ。今のセインフィーネギルドマスター、レオナルド・クロムウェルが憲法に加えたんだよ。おかげで称賛する者もいれば、レオナルドを恨んでいる者も出てきたってわけだ。」
「なるほど、だからメナールじゃ裏オークションで奴隷を売買していたわけか。」
「あぁ。だから、奴隷オークションは簡単に探せる。」
「マジか。」
「マジだ。昔と違い今は奴隷、しかもハイエルフの奴隷を扱うところなんぞ片手で数えれるレベルだ。すぐ見つかる。」
「ありがとう、ドーベル。早速、行くぞ。」
「おぅ!ところでよ、戦争の時俺を忘れてたよな。」
ギクッ!
「なんだ?熱いキスをして忘れてたか?」
「だ、大丈夫だよ。わ、忘れてなんかないよ。」
「おい、目を合わせろ。絶対忘れてただろ。」
「行くぞ、ドーベル!ライカ達を助けるんだ!」
「はぐらかしやがった!」
ドーベルの協力のもと、簡単にルリカ達のいる場所がわかった。場所はフィリルティアから東にあるアラビスタウンという街のはずれにあるコの字型のお屋敷だった。
「本当にあの中にライカ達がいるのか?」
「俺を信用しろ。あそこはアラビスタウンの貴族の一人、ギスマルクが所有しているギスマルク邸だ。あそこで隣国のログルドやネクヴァスから貴族が月1で通っている。あそこは表向きは社交場だが裏では今でも奴隷オークションが開催されている。ハイエルフ、それもフィリルティアのお姫様となれば絶対競りに出されるか貴族の慰み者になる。そして、今日がそのオークションの日だ。」
「よく知ってたな。まさか、お前も参加していたのか?」
「いや、俺の場合は奴隷にしようとした奴らがいてな。全員、こいつで返り討ちにしてやった。で、いろいろ聞いたわけよ。」
そう言ってドーベルはニヤリと笑い、爪をたてた。そこへ、馬車と数人の兵士達が通りかかってきた。よく見るとルドザニア王国とは違う国旗を掲げ、中には貴族らしき男と奴隷と思われる獣人がいた。龍儀とドーベルは互いの顔を見て笑みを浮かべた。
「フッ。こいつの餌食にしてやる。」
「行くぞ。」
「おぅ。」
二人は兵士達に奇襲を仕掛けた。龍儀は刀で兵士切ったり、殴ったりしていた。ドーベルは
「喰らえ!俺の必殺技、《ドーベルバイト》!」
兵士の一人を噛んでいた。
「爪使わないんかい。」
「からの《ドーベルデスクロール》!」
「お前はワニか。」
噛みつきながら回転して兵士を吹っ飛ばしたドーベルにツッコミをいれる龍儀だった。
兵士達を倒しきった龍儀とドーベルは馬車の扉を開けた。中にいた貴族は奴隷を盾にして怯えていた。
「き、君達!ただの盗賊風情がログルド国イヴェンタの領主の息子、レタロ・マーチスに無礼だぞ!」
「俺達が盗賊に見えるか?」
「見えるだろ。とりあえず、寝てろ。」
龍儀がレタロの腹を殴り気絶させると持ち物を調べた。
「お、丁度いい仮面と手枷の鍵がある。少年、手貸せ。」
龍儀はそう言って少年の手枷を外した。
「あの、これは?」
「別に俺達は奴隷なんかいらん。と、いうより奴隷にされるかもしれない仲間を助けに行く。」
「ムチャです。あそこには貴族がたくさんいます。もし、何かあったら。」
「大丈夫だ。安心しろ。龍儀はな、ネクヴァスとカメリアスガルドに喧嘩うって圧勝するほど強ぇ。今さらこの程度、問題ない。」
「で、どうする?よく考えたら、この子、帰りどうすんだ?」
「忘れてた。おい、ボウズ。そういや、名前は?」
「・・・無い。生まれた時から奴隷だから。親もわからない。奴隷としか呼ばれたことない。」
「マジかよ。地獄だな。おい、どうする?」
少年の境遇に同情したドーベルは龍儀にどうするか聞いた。
「少年、種族は?」
「狐の獣人。」
「マジか、犬の獣人ってそんなにいないのか。」
「狐か・・・じゃあ、イナリ。イナリ・バウリンガーはどうだ?」
「え?」
「俺の国では狐は神聖な生き物でな、稲荷大社という狐の神様が住んでいる家みたいなのがあってな、そこから名付けてみた。ずっと名前が無いのは可哀想だからな。」
「イナリ・・・」
「じゃあ、なんでバウリンガーにした。」
「お前の弟という設定だ。」
「勝手に決めんな!」
「イナリ。この名前、大好きです。」
「気に入って嬉しい。で、イナリはどうしたい?」
イナリは嬉しいそうにしっぽを振り、龍儀を見つめた。そして、決心したようでハッキリと答えた。
「僕も行きます!僕も皆さんの手伝いがしたいです。」
「よし!じゃあ、行くか、イナリ、ドーベル。」
「はい!」
「おう!」
貴族の服と仮面を着けた龍儀は二人と一緒にギスマルク邸に向かった。
ドーベル・バウリンガー(現在)のステータス
《ドーベル・バウリンガー Lv104》
HP 14688/14688 MP 697/697
AT 1499 DF 423 SP 787
アビリティ[超嗅]
嗅覚が100倍になる




