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【完結】転生極道は異世界でも家族をつくりたい  作者: 鎌宮 和明
第1章《出会い》 ヘイサゼオン編
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決闘 龍儀VSデーリッヒ

年齢設定

ライカ 15歳

グレン 16歳

「決闘だ!」

デーリッヒの一言から龍儀はデーリッヒと決闘をすることになった。ライカとグレンが心配する中、龍儀は静かに笑った。そのまま、ギルドを出ようとすると

「よぉ、傷の兄ちゃん。そいつに一発ぶちかましたれぇ!」

ギルドの端っこで酒を飲んでいる男が龍儀に声援を贈った。

「おい、バカ、まずいって。」

「はぁ。お前も知ってんだろ。あいつ、俺が苦労して手に入れた魔生石(クリスタル)を奪ったんだぞ。せっかく、黄色の魔生石(クリスタル)が3つだったのによぉ!」

どうやら、この男もデーリッヒの被害者のようだ。酒を飲みながら悪態をつく男は龍儀の行動が爽快だったのか、笑いながら応援し始めた。それを皮切りに周りも龍儀を応援し始めた。

「そうだ!やっちまえ、傷の兄ちゃん!」

「俺も応援するぞ!」

「やっちゃって、龍儀さん!」

「リシャナ!?」

「な・・・」

「お前さん、随分嫌われてるな。」

ニヤリと笑いながらデーリッヒを挑発した。デーリッヒは周りを睨みながらギルドを出た。


数分後、龍儀達は街の中央から南に位置するステージに向かった。このステージは龍儀達が最初に来た時に踊り子達が踊っていたステージで、直径20㍍の円状で東西南北に位置するところに階段があり、周りには乱入防止の鉄柵が張り巡らしてあった。

龍儀は南の階段からステージに上がった。しかし、デーリッヒの姿はなかった。

「あいつはどうした?」

「すぐに来るわよ。」

エリサが答えると、デーリッヒが北の階段から上がって来た。全身を赤い鎧で覆い、真っ赤な兜をかぶり、1㍍はある剣を携えながら。

「な、何あれ!?」

「あんなの見たことねぇ。」

観衆がざわめく中、デーリッヒは高らかに笑いながら自慢した。

「わーはっはっは!この鎧はなぁ、うちに保管されてた奴でな、魔鉄鋼(アーガナイト)でできている。つまり、どんな攻撃も寄せ付けねぇ!」

「?」

(あ、龍儀さん魔鉄鋼(アーガナイト)を知らないな。)

魔鉄鋼(アーガナイト)とは、魔力を含む鉄鉱石「魔鉄鉱石(アーガアイロン)」を専門の鍛治師が加工することによってできる。その硬度は凄まじく、並みの武器はもちろん、ドラゴンでさえ破壊不可能と云われている。ちなみに、魔鉄鉱石(アーガアイロン)自体獲れる鉱山が少なくとても貴重な鉱石で加工が難しすぎるため、魔鉄鋼(アーガナイト)はもっと貴重である。もちろん、龍儀はそんなものは知らなかった。それを瞬時に見抜いたグレンだった。

「さらに、この剣はなぁ」

「ご託はもういい。」

「あぁ?」

「さっさと始めろ。」

「あぁ、いいぜ。」

「そういえば、ルールはなんだ?」

「は?」

「敗北の条件はなんだ?」

「あぁ、そんなことか。そうだなぁ、参りましたって言った方が負けでどうだ?それと、このステージに上がるの禁止でどうだ?」

「いいねぇ、シンプルで実にわかりやすい。が、もう1つ聞きたい。」

「なんだ?」

「もし、この決闘で殺してしまったらどうなる?」

「あぁ、そんなことか。もちろん、殺した方の勝利だ。例え殺しても無罪!どうだ?いいだろう?」

「なるほど、わかった。そのルールで始めよう。」

ルールが決まったところで両者は武器を構えた。デーリッヒが大声を出しながら迫り、剣を振りかざした瞬間、龍儀は居合い抜きでデーリッヒの兜をぶっ飛ばした。兜はそのまま砕けた。

「な・・・」

「嘘、魔鉄鋼(アーガナイト)が砕けた・・・」

兜が砕け、露になったデーリッヒの顔は驚きを隠せなかった。

「なんで、魔鉄鋼(アーガナイト)の兜が!?」

「そんなものがあるのならなんであん時使わなかったのか疑問だったけど、なるほどな。その鎧、ほとんど使ってないだろ?」

「な・・・」

「使ってないどころか、手入れすら録にしてないだろ?鎧の至るところに錆が見えるし、動く度にギギって音もしていたしな。」

龍儀の言う通り、鎧は全く手入れされておらず至るところが錆びていた。魔鉄鋼(アーガナイト)は硬いが鉄分を含む以上、錆びることがあり、もちろん錆びれば硬度も落ちる。だから、龍儀の一撃で兜は簡単に砕けてしまったのだ。

「く、くそ。・・・そういえば、お前、俺のレベル知らないだろ?」

「興味無い。」

「特別に見せてやる。鑑定を使えよ。」

「いらねぇ、お前のレベルを知ろうが知るまいがやることは変わらん。」

「チッ。だったら見せてやる。ステータスオープン!」

デーリッヒはイライラしながらステータスを表示した。


《デーリッヒ・バイスゴール Lv93》

HP 12500/12500 MP 980/980

AT 1379 DF 965 SP 478

アビリティ[無し]


「え、なんですか!あのステータス!」

「無茶苦茶高いぞ。」

そのステータスは明らかに異常だった。グレン達が驚いていると、後ろからゲイスがやって来た。

「ゲイス・・・さん。」

「この度は私達が無礼を働き、申し訳ございませんでした。」

そう言ってゲイスはグレンとライカに頭を下げて謝罪した。

「あのゲイスさん、あのレベルは?」

「はい、恐らく上昇強化薬(ブースター)を使ったと思います。」

上昇強化薬(ブースター)?」

「元々はレベル上げに悩んでいる冒険者さん達のための救済処置薬です。服用すると一時的にレベルが上がるのですが、多くても10ぐらいしか上がらないはずですが。」

「多分、その薬を大量に使ったんだと思います。」

「ひどい、卑怯だよ。」

ゲイス達の予想通りデーリッヒは上昇強化薬(ブースター)を過剰摂取してレベルを上げていた。龍儀もゲイス達の話を聞いていた。

「薬ねぇ。」

「はぁ?悪いか?ルールに薬を使ったらいけません、なんてねぇだろう?」

「あぁ、そうだな。だが、人生の先輩として一つアドバイスしてやる。」

龍儀は懐からタバコを出し火をつけ、吹かしながら話を続けた。

「慣れねぇもんは使わない方が失敗しないぜ、ボウズ。」

「な、ボ・・ボウズだぁ!何様のつもりだぁ、クソガキィ!」

「お父様。」

タバコをデーリッヒに向けながらそう言った。

「来いよ。鎧、薬、罵詈雑言。こんなんじゃあ、俺は参りました、なんて言わねぇぜ。なぁ、ボウズ。」

「く、くそがぁ!」

剣を振り回しながら突進するデーリッヒ。龍儀は紙一重でデーリッヒの攻撃を避けながら鎧に刀を当てていた。鎧は少しずつだが、確実に綻び始めていた。至るところがボロボロになる鎧、焦るデーリッヒ、冷静に対処する龍儀。観衆から見ても、力の差は歴然だった。

「な、なんでだ。なんで、ここまでレベル差があるのに攻撃が当たらない?」

「そりゃ、急激に上がったレベルにあんたが追いついてないだけだろう。だから言ったよな。慣れねぇもん使うと失敗するって。」

息があがったデーリッヒに龍儀は冷静に言い放った。

(く、くそ。こうなりゃ。)

デーリッヒは龍儀が距離をとり退いた。龍儀は逃がすまいとデーリッヒに詰め寄るが、突如、雷の槍が龍儀目掛けて飛んできた。龍儀はそれを刀で振り払い、槍がきた方向を見るとエリサがクスッと笑いながら手を龍儀に向けていた。それと同時にデーリッヒも魔法を放った。

《フレイムスピア》

《ライトニングスピア》

二人から放たれたそれを龍儀が振り払い続けていると急に刀が消えた。

《スティール》

刀が消えたことで龍儀に一瞬、隙ができてしまった。その瞬間を見逃さずデーリッヒは剣を振り下ろした。龍儀は後ろへ退くが左肩から右脇腹まで袈裟斬りにされた。

「よっしゃ~!」

「リュ、リューギ~!」

あまりの出来事に観衆からも批判がわいた。

「反則だろ!」

「卑怯だ!」

「これはひどい。」

「な、なんてことを。」

「龍儀さん!」

跪く龍儀。服を切られ、露になった胸からは血が垂れていた。その姿をデーリッヒは嘲笑った。

「リューギ~!バカ!卑怯者!正々堂々と戦え!」

泣きながらデーリッヒに訴えるライカ。

「おい!獣人風情が偉そうな口聞いてんじゃねぇ!」

「お、お止めなさい。乱暴なことは、」

「うるせぇ!黙ってろ、ゲイス!」

「ひぃぃぃ。」

観客、恐らくセインフィーネのメンバーがライカの髪を乱暴に掴んだ。グレンやゲイスがライカを助けようとするが他のメンバー達に邪魔されてた。

その時、銃声とともにライカの髪を掴んだメンバーの男右肩が吹っ飛んだ。

「あああああああぁ!肩が、腕があぁ!」

動かなくなった腕を押さえ悶え苦しむ男。その様子を見た他のメンバー達も顔を真っ青にして逃げ出した。ライカ達は倒れた男を見た後、龍儀を見ると拳銃(デザートイーグル)を構えていた。

「な・・・何なんだ、それは!?」

「ん?デザートイーグル。」

「デ、デザート・・」

見たこともない武器を使う龍儀にデーリッヒは震えていた。心配そうに見つめるライカに龍儀は笑って返した。

「安心しろ。ライカ。」

「で、でも龍儀。あいつ!」

「これのルールを言ってみろ。」

「え、えぇっと、《参りましたって言った方が負け》と《ステージに入ってはいけない》」

「そう、その通り。つまり、ステージの外から攻撃するなというルールはない。」

「そ、そんなあぁ。」

「そうだろ?デーリッヒ君。」

「あ、あぁそうだ。」

「そして、もう1つ。殺しはOK。だろ?」

「ひっ!」

龍儀が銃口をデーリッヒに向けると怯えた様子で退いた。龍儀はそのまま立ち、手を胸にかざすと切られた跡がみるみる消えた。

「おい、それ?」

「あぁ、最高位回復魔法(パーフェクトヒール)

「な・・・何でお前のような奴が持っているんだ?」

「女神様に惚れられたからだろ。」

そう言って龍儀は拳銃(デザートイーグル)を両手で構え、デーリッヒに向けて撃った。とっさに剣でガードするが勢いに押されよろめいてしまった。

龍儀はそのまま黙って撃ちながら近づいた。一歩、また一歩と近づき、ステージの真ん中を越えた瞬間、拳銃(デザートイーグル)は消えてしまった。

(ここか・・・)

足元を見て龍儀は何かを確信し、一歩下がった。

「は、ははは。はははははは!どうだ!さっさと負けを認めたらどうだ?」

焦りながらも勝ち誇るデーリッヒに龍儀は黙って「かかってこい」と指でジェスチャーした。

「な、なめやがってえぇ!武器もねぇのにどうやって勝とうというのだ!」

龍儀の挑発にのってしまったデーリッヒは走りながら剣も真上に挙げた。龍儀はその瞬間を狙い、振り下ろされる前に刀の鞘でデーリッヒの顔を突いた。

鼻血を出しながら倒れたデーリッヒにすかさず追撃する龍儀。間髪入れずに顔を鞘で殴り続けた。デーリッヒは剣を振り、龍儀から距離をとった。龍儀はデーリッヒを追うが今度は鞘が消えてしまった。鼻血を出しながら笑うデーリッヒ。

(あいつか・・・)

龍儀はセインフィーネのメンバー達に囲まれた男を見ながら数歩下がった後、懐に手を入れ再び突進した。龍儀が足元を見た場所で何かをデーリッヒに向けた。しかし、その何かは龍儀の手から消えていた。

「はははははは!何がしたかったんだ?間抜け!」

デーリッヒがバカにした顔で龍儀を笑った瞬間、後ろの方から爆発音が轟いた。デーリッヒがその方向を見ると一人の男の胸から上が吹っ飛んでなくなり、残った体がゆっくりと後ろに倒れた。その男の周りも惨劇に包まれていた。悲鳴が飛び交い、腕が吹っ飛んだ者、頭から血を流し倒れた者、全身血塗れで「痛い」と言い続けている者、上半身が燃えている者、その光景はまさに地獄絵図だっ。そして男の近くに刀と拳銃(デザートイーグル)があった。

「な、何をした!?」

「何をしたと思う。」

静かに笑いながら近づく龍儀。デーリッヒは外に目を配るが、誰一人として龍儀の報復を恐れ、目を合わせようとしなかった。

デーリッヒがよそ見をした隙に龍儀はデーリッヒに近づいて前蹴りをお見舞いした。デーリッヒは大きく仰け反ってしまい無防備になった。龍儀はその無防備は腹に正拳突きをした。ぶっ飛び倒れるデーリッヒ。

デーリッヒが起き上がって龍儀の方を見ると右手に金槌、左手に五寸釘を握りしめていた。デーリッヒは怯えながら剣を振り下ろしたが、簡単に避けられ右手の甲に五寸釘を刺された。

「痛えぇ!」

剣を手放し叫ぶデーリッヒの顔を龍儀は容赦なく膝蹴りした。歯が折れ仰向けに倒れたデーリッヒの右手を掴み、手に刺さっている五寸釘を地面に打ち込んだ。

「はぁは、はが・・・!」

言葉にならない悲鳴をあげるデーリッヒ。龍儀はデーリッヒの左手も同じように打ち込んだ。大の字で倒れたまま動けないデーリッヒ。龍儀はその姿を見下しながら、右手の親指を金槌で砕いた。

「ひぁが~!はふへへふひぇ!」

歯が折れているため上手く喋れないデーリッヒに対し龍儀は人差し指、中指、薬指と砕いていった。ぐしゃっ、ぐしゃっと音をたて潰れる指、右手が終わると左手の指を親指から順に砕いていった。

両手の指を全て砕いた龍儀はデーリッヒの顔を見て笑った。

「はふへへふひぇ。」

龍儀はデーリッヒの右手に手をかざすと最高位回復魔法(パーフェクトヒール)で指を全て治した。

「良かったな。指が全部治って。・・・これで、また同じことができる。」

そう言って龍儀は治した指をまた砕き始めた。

「は、はひひはひは。」

「どうした?何言ってんのか、わからん。」

「ほ・・・ほんはぁ。」

涙を流しながら許しをこうデーリッヒに対し龍儀は無情にも指を治しては砕くを繰り返した。その様子を観衆はただ見るしかなかった。

龍儀が何も話さなくなったデーリッヒを見て

「なかなか負けを認めないとは、強情だなぁ。まぁ、殺しても俺の勝ちだからいいか。」

そう言いながら拷問を再開しようとした瞬間、ライカが龍儀に後ろから抱きついた。

「もうやめて、リューギ!あたし、こんなリューギを見たくない!怖いリューギなんて見たくない!あたしが見たいリューギはカッコよくて、優しくて、あの時のように食べ物を分けてくれた時のようなリューギだよ!」

泣きながら抱きつくライカに龍儀はそっと金槌を下ろした。

「ふ、全く困った子だなぁ。ステージに入ってはいけないルールだと言うのに。喜べ、デーリッヒ。あんたの勝ちだ。願いはなんだ?」

「た、たひゅへてふれ。」

「その願い、叶えよう。」

龍儀は五寸釘を抜くと最高位回復魔法(パーフェクトヒール)で全ての傷を治した。そのままライカとともにステージから降りようとしたところでデーリッヒに止められた。

「おい、お前の負けでいいんだよなぁ?」

「あぁ、そうだが。」

「だったら、命令だ!今すぐ土下座して俺の奴隷になれ!」

「は?」

「なんだ?ルールを守らねぇのか?負けたら何でも言うこと聞くんだろ?」

「あぁ、だから聞いてやったじゃん。助けてくれって願いを。」

「なんだ・・・と。」

「ルールは何でも一つ願いを聞く、だろ?もう願い言ったじゃねぇか。」

「は、ふ、ふざけるなぁ!」

デーリッヒは手から火炎魔法を出し、龍儀に攻撃した。龍儀はライカを前に隠し、盾となって炎からライカを守った。燃える龍儀、その姿をひきつった笑みをこぼしながら見るデーリッヒ。しかし、燃えた服を脱ぎ捨てた龍儀が現れた。

「な・・・何だよ、その背中。」

ゆっくりと振り向く龍儀、その背中には鬼に巻き付きながら上を向く龍と鮮やかな桜が彫られていた。龍儀の背中を見た観衆もデーリッヒと同じく言葉を失った。

「リューギ。背中のは何?」

「・・・信念。」

そう言い残し龍儀はデーリッヒに回し蹴りをくらわした。仰向けに倒れたデーリッヒに龍儀がのし掛かった。

「お前らが誰を嫌おうが構わねぇ。どの報酬を横取りしようと笑ってやる。ただし、仲間を、家族を傷付けようとするなら容赦はしねぇ。覚えておけ。」

「亜人が家族とかバカか?それにお前こそ忘れてねぇだろうなぁ。誰に喧嘩を売ったのか。俺達、セインフィーネに喧嘩売ってただで済むと思うなよぉ!」

「上等だ。家族を守るためならギルドだろうが、国だろうが、魔王だろうが相手してやる。」

そう言い龍儀はデーリッヒから離れようとしたが

「あ、そうそう。」

何かを思い出したかのように思いっきりデーリッヒの顔を殴った。顔が潰れ気絶するデーリッヒ。

「危ない、危ない。もう少しであいつとの約束を忘れるところだった。それと最後にアドバイスだ。イキりたいならギルドとか薬に頼らず自分の力でイキがるんだな。」

そう言って龍儀はステージから降りた。そのまま惨劇の現場に行き、刀と拳銃(デザートイーグル)を回収した。

(傷はついてないな。)

刀と拳銃(デザートイーグル)の状態を確認した龍儀は目を瞑らせたライカと一緒にグレンの元に行った。すると観衆達が駆け寄ってきた。

「いやぁ~、凄かったぜ少年。」

「最後のはすっきりする一撃だったよ。」

「まじでカッコよかった!」

「惚れそうでした、龍儀さん。」

「リシャナ!!」

周りからの歓声に戸惑う龍儀。観衆の中にはライカを撫でたり、可愛いと声をかける者もいた。ライカは龍儀に掴まりながらも誇った表情をしている。

「亜人を差別してたんじゃないのか?」

「差別というより、俺の場合は亜人に襲われて以降、嫌いになったがデーリッヒの方がもっと嫌いだからな。それに、こんな可愛い獣人なら差別する気になれないしな。」

他の人達も警戒はすれど、差別意識を持つ者はいなかった。その様子をセインフィーネの残ったメンバーは悔しそうにただ見ることしか出来なかった。

「さて、グレン、ライカ。俺はこの街を出るつもりだ。」

「急にどうしたんですか、龍儀さん!」

「そうだよ、リューギ。あたしならもう大丈夫だよ。」

「俺は元々旅人みたいなもの。一つの街に長居するつもりはなかったしな。」

「そうですか。あ、あの。僕も一緒に旅について行っていいですか!」

「あたしもあたしも!」

「あぁ、もちろん。断る理由もないからな。」

「「やったー!」」

「じゃあ、俺もついていきたい!」

「俺も!」

「俺も!」

「我も!」

「私も!」

「リシャナ!!?」

「うるさいからやだ。」

「「「「「え~!!」」」」」

みんなの反応を見た龍儀はクスッと笑いながら街の門の前にたった。そこに、ゲイスとセインフィーネのメンバーが少し、そしてさっきの観衆達が見送りに来ていた。

「あんなことがありましたが、この街を嫌いにならないでください。この街もいいところです。」

「セインフィーネだってあんな奴ばっかりじゃないからよ、嫌いにならないでくれ。」

「また来いよ。」

「頑張れよ。」

「絶対、来てください、龍儀さん。」

「あぁ、いつか、絶対、来る。約束する。」

そう言って龍儀達は見送られながらヘイサゼオンを旅立った。








龍儀達の後を追うマント姿の人物とともに。

此れにて、ヘイサゼオン編完結です。

次からは、桜色の戦争編です。

お楽しみに。

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