栄龍組組長 栄龍儀
初めての小説投稿ですので、至らない部分があると思いますが、よろしくお願いします。
神奈川県のとある町、その一角に10階建てのビルがあり、その最上階に複数の男達がいた。全員、黒や白のスーツ姿で重々しい雰囲気を漂わせている。彼らは広域指定暴力団栄龍組、いわゆる極道である。その中心に顔の左側に火傷と刀傷のある男が座っていた。彼こそが栄龍組組長栄 龍儀である。50代とは思えない180cmを越えかつ筋骨隆々な体つきに白髪の混じったオールバック、腰の右には拳銃、左には刀を携えている。
「今日、お前らに集まってもらった理由は分かるな。」
彼の言葉に組長達は黙って頷く。
「蛇、報告しろ。」
「分かりました。」
蛇と呼ばれた男は蛇谷 陽雅翔、栄龍儀とともに栄龍組を支えてきた組の参謀であり、龍儀の幼なじみでもある。龍儀ほどではないが筋骨隆々なうえ、有名国立大を卒業している秀才だった。ちなみに、5人の子の父親でもある。
「先月、ウチの若頭でもある熊原が死体で見つかった。熊原の身辺を探ると半年以上前からある女に貢いでいるのがわかった。その女が薬城會会長の娘、薬城遥香だ。」
蛇谷は二十代前半の女の写真を机に置いた。その女は茶髪のセミロングに派手な服に高そうなネックレスといかにもキャバ嬢な見た目をしていた。
「なるほど、つまり熊原はその女に騙された挙げ句に薬城會に殺されたわけか。」
「十中八九、虎の言うとおりだろうな。」
龍儀に虎と呼ばれた男は月影 重虎、龍儀のボディーガード兼特攻隊長である。190cm代の長身に龍儀以上の筋肉、その姿はまさにプロレスラーと間違えるほどであった。彼もまた、蛇谷と同じく、栄龍組を支えてきた一人である。
「だから、女には気をつけろと言ったのに。」
「そんなんだから、親父は57になっても童貞のままなんですよ。」
「うるせぇ蛇、プレイボーイのお前にはわからんだろうが、女は簡単に相手を騙すような奴だ。信用する気にはならん。」
「で、どうする親父。」
「もちろんやるさ虎、お前らもわかってるだろうが、大事な家族を殺されたわけだ。この落とし前を-」
龍儀がこれからを話そうとした瞬間、ビルの入口で大きな爆発音が鳴り響いた。
「なんだ!何があった、鯉滝!」
鯉滝と呼ばれた組長が窓の外を見ると、ビルの入口には爆発音の原因になったであろうトラックと争っている組員達の姿があった。
「カチコミだ!」
彼の一言で場がざわめき始めた。
「まさか、熊原の奴金だけじゃなく情報もわたしたんじゃねぇだろうな。」
「ありえるな。」
「仕方ない、お前らぁ!カチコミにきたバカどもを返り討ちにするぞ!」
「「おぉ!」」
龍儀の言葉で全員が戦闘態勢に入った。