0.プロローグ
お団子、最中、お煎餅。お餅、大福、水ようかんーー
私たちの暮らしている、自然豊かなこの国には、何千年もの昔から、たくさんの美味しいお菓子があふれていました。
人間が生まれた古代から、食事とは常に生きるよろこび。
この国の人々は、思い思いに工夫を重ね、たくさんのおいしい食べ物を生み出してきました。
甘くて柔らかく、綺麗な色をしたお菓子は、人びとを魅了し、かつての日本ーーまだ人間が、神や妖怪たちと隣り合わせで暮らしていた時代には、彼らと共に分かち合い、この豊かな文化を楽しんでいたのです。
たくさんの妖怪や神々が人間と共に生き、共に食という楽しみをわかち合う。
私は、そんなこの世界が大好き。
でも今では、そんな妖怪たちも姿を見せなくなってしまいました。彼らはみな人々に必要とされなくなり、知らないうちにどこかへ消えていってしまったのでしょう。
私はそのせいで、かわいい人間たちが、いつか本当に苦しい目に遭ってしまうのがよく分かっていました。
だから私はーーあの子たちにひとつ、面倒な呪いをプレゼントしたのです。
どうかこれからも、美味しいものをたくさん食べて、人間たちを愛してください。
私の、大切な友達ーー