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リクルートスーツを着た死神
雨のしつこい季節である。
電信柱がニョキニョキと、灰色の空を突き刺している。
今にも落ちてきそうな曇天は、街の全てをモノクロに、パラパラと振りだした雨は、アスファルトをランダムに染め上げていく。
死んだような景色に、真っ黒なリクルートスーツ姿の女が一人、歩いていた。猫背で、髪を後ろで一つに結んでいて、いかにも冴えない女である。
そしてリクルートスーツに似合わない、大きな鎌を持っていた。
なぜか?
彼女が死神だからである。
彼女は勤務中で、今から若者の命を一つ、回収しに行く道中なのであった。