長島攻略
天文七年 九月
いつも通り目が覚め朝食を取っていると親父から
話があった。熊丸、今日の稽古は中止にするだから好きにしなさい。何かあったのですか?
今日は家臣全員を集めるから一久は来れなくなった。分かりました父上
日守城 評定の間
皆、よく集まってくれた。
今日皆を呼んだのは、長島の領主である伊藤氏から援軍の要請が来たからだ。
条件は、伊藤氏の一族の保護さすれば長島譲るとの事だ。間もなく人質として嫡男の重盛殿が
この日守城に来る予定だ。
もちろん皆も知ってると思うが、一向一揆との戦いになる。本願寺とも争う事になる、だがこの機会を逃せば飛躍の時は失われる。
だから俺は援軍を出そうと思う。何か意見はあるか?
伊勢に動きはありまするか。
伊藤氏も俺らより先に伊勢の北畠、神戸には援軍要請は出したはずだが動きがないという事は見捨てらたという事だな。
他にはあるか?
家臣一同「ありませぬ」
ではここから軍議に入る。
これは、長島城周辺の地図です。この中央の島に長島城があります。そして、一向一揆の拠点である願證寺が目の前に有り近くの砦と連携をしています。他にも島がありますが背後の島には拠点となる砦や支城などは建てられておらず、背後から願證寺へと一気に迫る事が出来ます。
そこで考えたのが、夜に紛れ願證寺に夜襲を掛け火責めにして門から出てきた者たちを全て根切りにします。
夜のうちに素早く寺を落とし、夜明けと伊藤氏と共に付近の砦を各個撃破し攻め獲ります。
願證寺攻めの先陣は阪井家一の剛の者、瑞野忠典殿を先陣とする部隊で願證寺から出てきた
者たちを全て根切りにしてもらいます。一久殿は忠典殿の後詰で、残りは船で逃げようとする者達を追い詰めます。一揆勢が投降するなら沈めず
攻撃を行ったり投降をしなかったら船を沈め殺します。あと、坊主供は皆殺しにします。
瑞野忠典
阪井家一の剛のもの。元は吉弘に拾われた孤児であるが、武の才を一久が見抜き育てるとメキメキと頭角を現し今では一久も勝てないほどの剛の者になった。いつも使う武器は槍だが、刀も弓もかなりの腕がある。
願證寺を落とし周辺を占領したら、領民達へ布告を出します。長島を治めるのは伊藤氏から阪井家に代わったことを知らせるためにです。
内容は以下の通りにする予定です。
一、一向一揆を扇動した首謀者とそれに近い者を捕らえた者達には200貫の褒美
一、阪井家がすべての土地の検地、整地を行い、作物が実るまで食料の支援を行う。従わない者は既に持っている土地の半分を取り上げる。
一、2年間は年貢を納めなくてよい、ただし2年以降は四公六民の課税を課す。
もし、この布告が受け入れられないなら領外へ追放とする。
一、この布告を受け領民として降ったものがまた一向一揆を起こした場合その首謀者、首謀者の側近は即刻死罪とする。参加しただけの者は追放とする。
この狙いは、一向一揆の分裂を目的としています。阪井家に従うなら領民として受け入れ、田んぼも、土地も用意してあげます。従わないなら領外へ追放します。
願證寺には約2000〜3000人の一向一揆勢が居ます。ただ、忠典殿の精鋭部隊なら問題いと思います、一久殿も後詰にいますし。
他に何か意見はあるか?
家臣一同「ありませぬ」
これにて軍議を終了とする。
熊丸の部屋
今日は、評定の日ではなかった筈だ、何があったのだろう。まさかどこかに攻め込むのか?
でも、東と北は織田家だから攻め込むとは思えない。なら西の長島だな、だがあそこはたしか一向一揆が盛んだ。しかも本願寺が後ろに居る。攻めるには大義名分か圧倒的な戦力が必要だし、あの信長も長島攻めには手こずっていたから攻めるのは大変じゃないかな。
まあ、まだ分からないから考えても仕方がないな。後で親父から話があるだろう。
さて、朝から暇になったし寺に行って本でも読むかな、今日はなにを読もうかな、しかし色々あるなぁ〜この書庫は、おっとこれは呉子だまあ呼んだ事ないけどな。暇つぶしにでも読んで見るかな。
本を読んでいると、和尚が書庫に来た。熊丸殿おはようございます。なにを読んでいるのですか?和尚、おはようございます!今日は呉子を読んでいます。そうですか勉強熱心ですね。
当たり前です、将来この領地を率いるのです。上に立つものがしっかりしなければ困るのは家臣や領民です。ならば出来る限りのことするまでです。
(なんと、まだ子供なのにそこまで考えているとは将来が楽しみですね)熊丸殿励みなさい
ありがとうございます和尚
長島の事を和尚に聞いてみるかな。和尚、長島を統治しているのは誰でしょうか?どうしたのですか突然その様な事をうわさで一向一揆が盛んだと聞きいて気になったので。
そうですか、確かに長島では一向一揆が盛んです。
長島では今、領主の伊藤氏と浄土真宗の本願寺派である本願寺8代法主蓮如の13子である蓮潤らが、願證寺を建ててから本願寺派が率いる一向一揆と戦っています。
なるほど、ありがとうございました和尚。(そうすると伊藤氏から親父に援軍要請が来たのか?そうだとすると大義はこちらにある。だけどこれからずっと本願寺と一向一揆との戦いになるだろう)
瑞野忠典
阪井家一の剛のもの。元は吉弘に拾われた孤児であるが、武の才を一久が見抜き育てるとメキメキと頭角を現し今では一久も勝てないほどの剛の者になった。いつも使う武器は槍だが、刀も弓もかなりの腕がある。
ありがとうございました
次回は11月12日に投稿します