取引
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天文六年(1536年)八月
目が覚めると、夕飯を食べた後の記憶がない。
おそらく夕飯を食べ終えた後寝落ちしたのだろう。体が重い、さすがに4歳の身体ではまだ大変だったか、やり過ぎて成長の妨げにならないか心配だ。
朝食を食べて部屋で読み書きの練習をしていると、一久が部屋に来た。『今日は体力作りの為走りますその後木刀の構え方と握り方の練習をします』
走りながら、一久さんに何故構えと握りばっかり練習するのか聞いたら、基礎が出来ていれば考える前に体が咄嗟に動いて攻撃を避ける事ができ反撃が容易に出来るから基礎は大事なんだそうだ。
じゃあ体力を付ける為に何故走るのかと聞いたら戦で負けた時一目散に逃げる為だと言った。大将さえ生き残れば再起も簡単ではないが大将が居るのと居ないのでは違うとの事。雑談をしながら走ってると、今日の目標は達成したのか走るのを終えた。次は木刀で構えと握りの練習だ。
一久の稽古を終えて昼まで寝たら昼飯を食べ、寺へと向かった。今日も、読み書きの練習をした。俺より年上の子達は算術の勉強をしているみたいだった。和尚に他には何を教えているのか聞くと古典や兵法、治水、開墾など幅広く教えている。かなり高度な教育をしていてびっくりした現代ではまず習わない事ばかりだろうから楽しみだ
日光川の湊から出ていく船の集団がいた。この集団は、吉弘率いる日光衆の集団で熱田に向けて荷を運んでいるところだった。この荷の中には塩、米、干し鮑、他の湊からの交易品などを積んでおり1番の稼ぎになっていた。
その船の集団の中に、この日光川周辺を治めている吉弘とその家臣の一久がいた。『今回も稼げそうだな』「そうですね」
『長島領主伊藤氏から援軍要請が来た』「援軍要請ですか」『一緒に一向一揆衆を叩いて欲しいそうだ』『それはどうなる事かわかっておるのですか』『分かってる、本願寺と敵対する事も』『分かっているなら』『だがこれは、領地を広げるいい機会だ』『向こうは何と?』『一族を保護すれば、伊藤氏は俺に降るのだと』それはまた――
『ああ、俺は攻めるつもりだが一度相談しないとな』「それが良いかと」
船は熱田に向けて順調に進んで冷たい風が体に吹き付ける。北と東は織田領、西の長島を獲れれば美濃と接する、この機会を逃す訳にはいかない。などと考えていると目的地の熱田に着いた。
湊で荷を下ろしていると。1人の男がこちらにやって来た。『どうも毎度ご贔屓に阪井様、本日もいつも通りの荷物ですかな』「ああそうだ、よろしく頼む」『それではお代は、あとでうちの者に届けさせます』「ああ、分かった」
この男は熱田商人の伊藤宗次という者だ、俺の嫁であるあやの親父に当たる人物だ。かなりやり手の人物で、あやとは政略結婚だがとてもいい縁だった。もちろん嫁としても最高の女だ。
そう言えば美濃への取引の件伊藤殿にも聞いてみるか。「伊藤殿」「何でしょうか阪井様」『伊藤殿は美濃との取引はあるのか?』美濃ですか――
『取引はありませんけど、もしかして美濃との取引の予定が?』『いやいや、まだ何も決まってはない、今後の予定では美濃とも取引がしたいとは思ている。もちろんその時は伊藤殿にも声は掛けるとも』『わかりましたその時はよろしくお願い致します』
伊藤殿と別れ熱田の街を散策する事にした
何かめぼしいものがあれば熊丸に買っててやるとするか。
ん?あれは陶磁器か、熊丸へのお土産では無いが自分へのお土産にはちょうどいいな、買っていくとするか。その後も町を散策するもめぼしいものは見つからず家に帰る事にした。家に帰ると熊丸が寝ていた、頑張っているみたいだなその調子で励めよ熊丸。
寺での勉学が終わり家に帰るとすぐに寝てしまったが、夕飯のいい匂いで目が覚めた。親父がいたの今日はなにをしたのか聞いてみた。『父上は今日は何をしていたのですか?』『今日はな、熱田に荷を持っていったな、熊丸にお土産でもと思ったけど、めぼしいものが無くてな今度行った時何か買って来るよ』『父上、熱田とは何でしょうか』『熱田はな、この尾張国で1番大きい湊なんだ、色んな物が入ってくるから商いが盛んな所だよ』熊丸がもう少し大きくなったら連れて行ってやろう。ありがとうございます父上‼︎
ほら貴方達、夕飯が出来ましたよ。いつも通り美味しそうだな、あや。まぁ!貴方ったら。この雰囲気は、まずいな。今日は早く寝よっと。
伊藤宗次
熱田商人の1人かなりのやり手で吉弘と組んで稼ぎまくっている。
吉弘の嫁のあやの親父
ありがとうございました
投稿頑張っていきます
次回は11月11日 17時を予定してます