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登録


俺は、両開きのいかにも西部劇に出て着そうな扉を開き中へと入った。


ギィ!


中に居た全員の視線を一斉に浴びる。

そして、その中の1人が俺の方へやってきた。


「ここはお前みたいなガキが遊びで来るところじゃねーんだ。

 分かったら、帰ってママのおっぱいでも吸ってな。」


イキナリイチャモンを付けられた。

テンプレキター!! テンプレ? いったい何の話だ?

訳が分からなかったが、またもや原因不明のテンションに見舞われた。


「遊びじゃない、俺は冒険者に成りにここに来た。」


「ほぅ? どうやら死にたいらしいな。」


そう言って男が俺に殴り掛かってきた。…のだが、随分とゆっくりなパンチだな。

これはアレか? 軽く殴るフリをして新人に花を持たせるという感じなんだろうか?

何か気を使わせちゃって悪いね~

なら俺の取れる行動は、


1.攻撃をワザと受け、平気なフリをする。

2.攻撃を避けて、凄いアピールをする。

3.カウンターで俺は強いんだぜアピールをする。


どれが良いかな?

折角先輩がどうみても当たっても痛くない軽いパンチで対応してくれているんだ、1番にすることにしよう。


ドカッ!


うん、やっぱり痛くない。これが正解みたいだ。


「何! ジャックのパンチを受けて平気だ…と…?」


周りがザワザワと驚いた声が上がっている。

みんな役者さんだなぁ~

俺、ここが好きになりそうだ。


「ぐわあああ~~~!! 手が、手がああぁぁぁ~~~!!」


殴った先輩、おそらくジャック先輩が、痛がるフリをしている。

先輩! こんな俺にここまでの演技をしてくれるなんて、俺感動したっす!

なら、俺も先輩の期待に答えてあげないと駄目っすよね!


「ジャック先輩? 試験は合格ですか?」


俺はニヤリと笑ってみた。

その笑顔を見たジャック先輩はブルリと体を震わせ、


「あ、ああ、ご、合格だ。」


そう言ってくれた。


「ご指導ありがとうございます!」


ジャック先輩は新人である俺が周りの雰囲気に溶け込める様にこんなにも気を使ってくれたんだ。

俺はジャック先輩に心からの感謝の礼を言うのであった。

何時か強くなって、ジャック先輩の助けになれるよう頑張ろうと思う。


さて、ここまでお膳立てしてくれたんだ、登録するとしますか。

俺は窓口へと進むことにした。


「い、いらっしゃいませ。

 ほ、本日は、ど、どの様な、御用でしょうか?」


何故か受付嬢がブルブルと震えながら聞いてきた。何で!?

俺何もしてないよね? 折角ジャック先輩がお膳立てしてくれたんだし、問題無かったよね?

まあいい、俺は俺のやることをするだけだ。


「えっと、冒険者に登録したいのですが。」


「は、はい! ぼ、冒険者ですね!」


そう言って、受付嬢は何やら書類を出してきた。


「じ、字は、か、書けますでしょうか? だ、代筆は必要でしょうか?」


う~ん、もしかしたら、この子ってドモリ症か、極端な上がり症なのかもしれない。

知らない人の対応をしなくてはならなくて、焦ってしまい、こんな話し方になっているのかもしれないな。

なら、出来るだけ丁寧に対応してあげないと可哀相だよな。よし。


「はい、字は大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」


俺はニッコリと笑い、書類へと目を通した。

なになに…氏名、年齢、種族、職業、得意なスキルか。

あれ? 俺って名前何て言うんだ? 年齢も知らんし、種族はガイコツか? 職業って何も無いぞ? ふとニートと言う言葉が浮かんだが、おそらく違うだろう。

最期の得意なスキルって何だ? 早口言葉か? それとも引きこもりとかか? 何か違う様な気がする…


「ど、どうされましたか?」


受付嬢がおずおずと声を掛けてきた。


「あ、えっと、すいません。俺、今までの記憶が無くて名前とかそう言った物が全く分からないんですよ。」


すると、何か可哀相な目で見られてしまった。


「そうだったんですね、それはさぞかし苦労したのでしょうね…」


物凄く同情されてしまった。

別に今まで困ってなかったし、それほど気にしてなかったんだけどな。


「いえ、意外と楽観的だったので、大丈夫ですよ。

 でも、困ったなぁ…どうしよう?」


ふと、頭の中で1つの言葉が浮かんだ。


「シュウ? 何だ?」


「もしかしたら、それがあなたの名前じゃないのでしょうか?」


「そうだなぁ、他に何も情報が無いし、シュウでいっか。」


「では、名前はシュウさんで。歳は見た目では20歳前後でしょうか?」


俺、崖下で何年居たんだろう…軽く20年は過ぎている様な気もしなくも無い。

言っては駄目な気がするから頷いておく。


「種族は人族と、職業は剣を持って居るみたいなので剣士にしておきますね。スキルは剣術と。」


そーいや俺、剣なんか使ったこと無かったけど、それで良いのだろうか?


「では、この内容で発行してきますので、少々お待ちください。」


そう言って受付嬢が何やら機械にカードを通して作業をしている。

ガシャコン! とカードが排出された。


「はい、こちらがシュウ様のギルドカードとなります。

 登録時は無料ですが、無くされて再発行する場合は金貨1枚が必要になりますので、お気を付けください。」


俺は鉄製のカードを受け取った。

サイズは名刺サイズで、名前と会員番号みないな番号が記載されている以外は何も書いてなかった。


「では、冒険者ギルドの説明をさせて頂きます。

 この冒険者ギルドでは、冒険者がダンジョンを探索し、魔物の素材、魔石の収集や、ダンジョンで見つかるアイテムを買い取ったり、依頼を受けて達成した際の報酬のやりとりを代行したりする場所となっております。」


「ほぅほぅ。」


「冒険者ギルドにはランクが有りまして、冒険者ギルドに対しての貢献度や、評価によって上がっていきます。

 上がる順番は、鉄、銅、銀、金、ミスリル、オリハルコンとなっております。シュウ様は登録したばかりなので鉄となっております。」


なるほど、だから俺のカードは鉄色をしていたんだな。


「冒険者同士のいざこざは関与しておりませんが、殺人を起こした場合は対処することがあります。気を付けて下さいね。」


「はい。」


「何かご質問は有りますか?」


「えっと、ダンジョンから出た物って全部売らないと駄目なんですか?」


「いえ、それにつきましては強制はしておりません。

 実際素材に付きましては冒険者が自分の武器や防具に使用している方もいらっしゃいます。」


「わかりました。後は大丈夫です。」


「では、本日は冒険者ギルドに登録して頂きありがとうございます。

 私、ヘレンが対応致しました。」


この受付嬢はヘレンさんって言うのか、覚えておこう。

何はともあれ、俺は冒険者として登録することが出きたのだった。


一応テンプレ?

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[気になる点] 「ガキ」って言われて絡まれるのに見た目20歳なの?
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