賠償
俺達は宿を取り、次に日になったので、冒険者ギルドへと向かうことにした。
夜? さすがにあの惨状を見た後にする気は無かったよ? 本当だよ?
冒険者ギルドへ到着し、さっそく窓口に向かうことにした。
今日は人がそれなりに居るにも係わらず窓口はガラガラだ。
ただ、噂話が飛び交っていた。
「なぁ、例の依頼の話って聞いたか?」
「ああ、なんでも違反による罰則があるとか。」
「おれ、受けてなくて良かったよ。正確には受けられなかっただけどな。」
「俺もだよ。」
「何でも過去の受注したPTには尋問されているって話だけど本当かな?」
「本当みたいだぜ? さっき来た人も奥の部屋に向かって行ったからな。」
どうやら俺の家の噂話みたいだ。
さて、どうなることやら…
「すいませ~ん。昨日の結果を聞きに来ました。」
「シュウ様ですね、お待ちしておりました。副ギルド長の部屋に来るように言われていますので、向かってもらっても良いですか?」
「わかりました。」
それにしても冒険者ギルドの職員全員、何か疲れているみただ、目の下にクマも出来ているし…何か有ったんだろうか?
「何か疲れているみたいですけど、大丈夫ですか?」
俺が気を使ってそんなことを聞いてみると、ギロッっと睨まれた。
「職員全員で武器の数を徹夜で数えたましたからね。後は例の依頼の聴き取りや調査やらで、おかげ様で寝る間もなく大忙しでした! 何でこんなことしなくちゃならないんですかね!!」
前半は俺のせいかもしれないけど、後半は違うよね? 何で嫌味っぽく言われなきゃならないんだ?
「あーそりゃすいませんでしたねー!! じゃあ買取は結構ですので全部返してください。
それじゃ俺は副ギルド長の部屋に行きますので、帰りまでに用意しておいてくださいね。それじゃ。」
売り言葉に買い言葉だが、少しカチンと来たので、その喧嘩買ってやろうじゃ無いか。
「…あっ…あれ? えっと…ええぇぇ~~!? ちょ、ちょっと待ってください!!」
受付嬢が半泣きになって何か言ってるが、そんなことは知らん。俺は副ギルド長の部屋に向かって歩き出した。
「ねぇ、あれ良いの? 気持ちは分かるけどさぁ~」
「別に金には困ってないしな、あんな言い方されて売る気は無くなった。」
「それもそうね。」
メイも納得してくれたので、売るのは止めることにした。
副ギルド長の部屋に到着したので、ノックをする。
コンコン。
「入れ。」
「失礼します。」
扉を開けて中に入ると、疲れた顔をしたフレイ副ギルド長がそこに居た。
「来たか…まずは座ってくれ。」
ソファーを勧められてので、とりあえず座ることにした。
「まず結論から言わせてもらうが、今回のこの依頼は依頼失敗となった。
依頼失敗の罰金は依頼金の6割だから、お前達には白金貨1枚と金貨60枚が返却される。」
「はい。」
「それと、家の保証だが、状況を確認してキッチリと金額を出そうと思っている。鍵をお借りしても良いだろうか?」
「それは良いんですが、あの家って売ることって出来ますか? さすがに新築で少ししか住めなかったのに、あの状態で続けて住むのは、さすがにちょっと…」
「わかった。これについてはこちらのミスでも有るし、20年前の新築での査定で買い取らせてもらおう。
なに、お金は一度冒険者ギルドで買い取り、後は依頼を受けた冒険者で分割するから問題ない。」
「分かりました。お願いします。」
俺は鍵をフレイ副ギルド長へと渡した。
「残りはダンジョンドロップの買取だが…」
「あ、そっちはキャンセルしました。なので後で回収しますね。」
「はぁ? 何でだ!」
「いえ、何か冒険者ギルドとしては、売って欲しくなさそうでしたので…」
「そんなことは無い、逆に売って貰わないと補填の金額が…おい! 誰か居るか!」
フレイ副ギルド長がそう言うと、扉が開き、男性の職員がやってきた。
「何か御用でしょうか?」
「例の武器の買取がキャンセルされた。窓口でいざこざが有ったらしいのだが、確認してきてくれ。」
「キャンセルですか!? か、畏まりました!」
男性が慌てて窓口へと走って行った。
「何が有ったかは知らないが、ウチの職員が失礼したみたいだ。
申し訳ありませんでした。」
そういってフレイ副ギルド長が頭を下げた。
「いえ、もう済んだことですから、もう気にしてませんよ。」
「では、売って頂けるんですね。」
「いえ、この話は済んだことなので、終わりですよ?」
「なっ…」
そのタイミングで扉が開き、先ほどの受付嬢が部屋の中に入ったとたんに土下座した。
「そのぜつば、ずびばぜんでじたああぁぁぁ~~!!」
鼻水と涙でぐちょぐちょだ。可愛い顔しているのに勿体ない…
「まずは、何が有ったのかを説明しろ。」
フレイ副ギルド長がそう言うと、受付嬢が大泣きしながら話し始めた。
「あ、あの、でずやでづかれてイライラしでいたのを、依頼者にあだってじまいまじだぁ~
ごめんなさいいいいいぃぃぃぃぃ~~~!!」
それを聞いたフレイ副ギルド長は大きくため息をついた。
「お前なぁ、いくら疲れていたとしても、それは無いだろう?」
「おっじゃるどおりでず~、ずいまぜんでしだ~! もうじまぜん~!!」
そう言って再び頭を下げた。
「こうして反省しているみたいだし、ここは許して貰えないだろうか?」
「う~ん、メイどうする?」
「…まあいいでしょう。でも、次は無いですからね?」
「ありがとうございました~!!」
「以後、徹底的に教育してこの様なことが起こらないことを誓わせてもらう。」
「分かりました。それで良いです。」
「おい、買取金額はどうなったんだ?」
話を振られた男性職員が慌てて結果を報告した。
「は、はい。えっと、スケルトンソルジャーの剣が175572本、スケルトンナイトの剣と盾が21840式で、聖金貨27枚、白金貨38枚、金貨52枚となります。」
「おー! すげー!」
「また新しいお洋服が沢山買えるね♪」
「つーか店ごと買っても余裕そうだけどな。」
「聖金貨が27枚…」
例の受付嬢が金額の大きさに震えている。
「そんなにか…すまんが聖金貨10枚くらいしかギルドに無い、残りは後でも構わないだろうか?」
「あーだったら家の売却と一緒でも構いませんよ。」
「助かる。それまでには集めておくと約束しよう。」
「わかりました。それでお願いします。」
「では、俺達は結果が出るまで宿に泊まっていることにします。」
「そうか、なら結果が出次第宿へ連絡を入れる様にしよう。どこの宿だ?」
「今から決めるので分かりません。」
「それもそうか、その辺はこちらで連絡行く様に対応しよう。」
「お願いします。」
他には特に何も無いので、俺達は一度冒険者ギルドを後にすることにした。




