依頼終了?
俺達は久々に冒険者ギルドへとやってきた。
家の鍵を返して貰わないといけないからだ。
早速中に入ることにする。
相変わらずここは賑やかだ。昼間っから酒を飲んでいる人も居る。
う~ん、さすがにジャック先輩は見当たらないか、残念。
とりあえず鍵を返してもらうために窓口へ行くことにした。
「次の方どうぞ~」
「あの、家の管理をお願いしていた者なのですが、戻ってきたので鍵と、依頼料の残りを受け取りたいのですが。」
「家の管理ですか? えっと、今家の管理の依頼は、当ギルドで1件有りますが、おそらく違うと思うのですが…」
「そうなんですか? 困ったなぁ…」
俺が困っていると、受付嬢がおずおずと聞いてきた。
「あの、その家ってどちらになりますか?」
「えっと、街はずれにある畑の真ん中に有る家ですけど。」
「ええっ!? それ本当ですか!?」
「はい。」
「あの家の管理は20年前に受けたもなので、お若いお二人とは違うと思うのですが…
申し訳有りませんが、冒険者カードの提示をお願いしても良いでしょうか?」
「はい、どうぞ。」
俺は受付嬢にカードを提示した。
「え? 金ランク? それに、本人だ…って、えええぇぇぇぇぇ~~~~~~!!!」
何か知らんが驚かれている。
「何で? どうして? だって20年前の依頼ですよ? それなのに依頼人が20歳くらい? あれ?」
何か混乱しているみたいだな。
「俺達も良く分らないんですが、さっき知り合いに会った時に、時間を超えるトラップに引っ掛かたんじゃないかと言われました。」
「そうなんですか? そんなトラップが有ったなんて…
と、とにかく状況は分かりました。
すいません、今丁度依頼を受けているPTが居まして、鍵はそちらに渡して有ります。」
「そうなんですね。」
「で、依頼料の残りですが、あの、その、金貨4枚しか残ってません…」
「あれ? 確か27年以上は大丈夫って聞いてたんだけど? 確認したいので、ケイト副ギルド長って居ますか?」
「前副ギルド長のケイト様は、3年前に退職されまして…その…」
受付嬢が困っていると、後ろから声を掛けられた。
「その話はこちらから説明させて頂きます。」
「貴方は?」
「フレイ副ギルド長!」
「副ギルド長?」
「挨拶が遅れて申し訳ありません。私、副ギルド長のフレイと申します。お見知りおきを。」
「はぁ。」
「ここでは何ですので、私の部屋に来ていただいても宜しいでしょうか?」
「わかりました。」
副ギルド長と俺達は移動することにした。
「そちらにお掛け下さい。」
ソファーを勧められたので、メイと一緒に座った。
対面には副ギルド長が据わっている。
「それで先ほどのお話しですが、前ケイト副ギルド長より引き継いでおります。」
「はい。」
「当初、この依頼は3人体制で依頼を行っておりました。
ただ、あまりの人気依頼となってしまい、人数を増やさざるを得なくなってしまいまして、10年前ほどから5人体制になってしまったのです。
一応依頼内容に、雇う人数に関してはこちらに任せて頂けると有りましたので…はい。」
そーいや、そんなことも言ったかもしれないな。
「そうだったんですね。まぁ、お金も足りていたみたいだし、この件は終わりにしますね。」
「そう言って頂けると助かります。
それにしても、後ろで聞いていたのですが、時間を超えるトラップに引っ掛かったとか。」
「みたいですね。今一つ実感は無いのですが、気が付いたら20年後の時代に飛ばされていたみたいなんですよ。あははははっ(汗)」
「大変でしたね。無事に帰ってこられて良かったです。」
「まぁ、お金は掛かっちゃったみたいですけどね。」
「…申し訳有りませんでした。」
フレイさんが頭を下げた。
「頭を上げて下さい。さっきこの話は終わりと言いましたし、気にしてません。
それで、鍵はどうしたら良いでしょうか?」
「では、私が一緒に行きますので、向こうで鍵を返してもらうことにしましょう。」
「わかりました。お願いします。
…っとその前に、ドロップアイテムを売却したいのですが。」
「では、一度窓口の方へ戻りましょう。」
俺達は窓口まで戻ってきた。
「では、魔石を何個買い取れば良いのでしょうか?」
どうやら俺達が何も持って居なかったため、魔石が何個かしか持ってないと思っているみたいだ。
「魔石は無いですが、武器が少し有りますけど、ここに出せば良いんですか?」
「はい。」
確認したけど問題ないとのことなので、指輪から出すことにした。
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
「えっ?」
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
「ちょっと!?」
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
・・・・
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
ガラガラガラガラガラガラガラガラ…
「っと、これで終わりかな?」
俺は出し切ったぞ~!!
部屋いっぱいに山のように積まれた武器や盾が有り、何となく気分が良かった。
「・・・・」
「あれ?」
どうやらフレイ副ギルド長は気を失っているみたいだ。
仕方ない、起こすとするか。
ぺち…
ドンガラガッシャ~ン!!
フレイ副ギルド長が吹っ飛んでいき、武器の山へと突っ込んでいった…
「シュウ、あんたね…」
「おかしいなぁ、軽く叩いただけなのに…」
ガラ…
「いったい何が…」
武器の中から血まみれのフレイ副ギルド長が出てきた。
「良く分らないけど、あんたが吹っ飛んで行って、その山に突っ込んだんだ。」
「そうか、迷惑を掛けてすみません。」
「いえ…」
そんな血見まみれの恰好で言われてもなぁ…
「いったい何が…ってなんじゃこりゃあああぁぁぁ~~~!!」
フレイ副ギルド長は武器の山を見て驚いていた。
「何って、ドロップを出せと言われたから出したんだが?」
「はぁ? 聞いてないぞ!」
「え? ここに出しても良いか聞いたら了解してくれましたよね?」
「え? あっ…言ったな。」
「ですよね~、それではお願いします。」
「待て待て、この量を直ぐには無理だ。少し時間をくれ、いや下さい!」
「…それもそうですね。では後でで良いです。」
「ありがとうございます。」
何か途中で地が出てたっぽいが、どうやら落ち着いたみたいだ。
「後で係の方で精査しますので、先に依頼の方を済ませてしまいましょう。
私も一緒に行きますので、家へ向かいましょう。」
「はい。」
俺達は久々に我が家へと向かうことにした。




