出会い
さて、久々のダンジョンだ。
まずは前菜の魔石を頂くとしますか。
出会ったスケルトンを倒しながら、メイと交互に魔石を頂いていく。
そして、曲がり角を曲がった瞬間…
「ターンアンデット!!」
体を何かが撫でる感覚が有った。
「何だ!?」
特に体には何も起きなかったみたいだ。
「なんだ、人間だったか、わりぃ~間違っちまったぜ!
だけど、私の魔法は人には影響ないから気にしないでくれ。」
「お、おう。」
何か口が悪い女の子だな。
「ねぇ、シュウ、この子誰?」
「いや、俺にも分からん。」
「私か? 私はアリア、糞神に無理やり祝福を授けられた、可哀相な聖女だ。
死にたくないから仕方なしにここに来ているんだ。」
「へ、へぇ~、そ、そうなんだ。」
聖女!? マジかよ…俺達消されちゃうのか!?
「しっかし、変だなぁ、あんたら2人からアンデットっぽい感じがするんだよなぁ…でも、さっき魔法効かなかったんだよな…
な、なぁ、ちょっと確認したいから魔法掛けて見ても良いか?」
「シ、シュウ…」
メイが不安そうな顔をして俺の腕にしがみ付いてきた。
「大丈夫、大丈夫。私の魔法は人間には何の影響も無いから、後でオマケの魔法も掛けてあげるから、ちょっと協力してくれよ。」
ここで下手に断る方が怪しまれるか? でもなぁ…ん?
そーいやさっき突然魔法を掛けられた時に、ターンアンデットとか聞えた様な…もしかして大丈夫なのか?
「メイ、大丈夫だ。俺を信じろ!」
「う、うん。」
「よし、いいぞ。」
「あいよ、じゃあ、ターンアンデット!!」
先ほど感じた体を撫でるような感覚が有った。
メイも問題なさそうだった。
「…うん、私の気のせいみたいだな。
おそらく、あんた達はアンデットみたいな感じの体質なんだろうな。」
「納得してくれて良かったよ。」
「ああ、悪かったな。じゃあこれはお礼な。ブレス!!」
キラキラとした光が俺とメイに降り注いだ。
…特に変わった様子は感じられない。
「これって何だ?」
「祝福ってやつだ。まぁ力や魔法が強くると思ってくれればいいよ。
時間制限だけどな。」
「そうか、ありがとな。」
「じゃあ、私はそろそろ行くな、また縁が有ったら会おうぜ。」
「お、おう。またな。」
そうしてアリアはダンジョンの出口に向かって歩いて行った。
見えなくなった所でメイへと声を掛けることにした。
「メイ、大丈夫か?」
「う、うん、大丈夫。シュウは?」
「俺も大丈夫だ。」
「良かった~」
メイは胸に手を当てて安心している。
「とりあえず俺達は、聖女の魔法が効かないことが分かっただけでも儲けものだったな。
まぁ、相手が強くなったら分からないけどな。」
「そうだね。」
「それにしても、俺達をアンデットだと気が付いたのにはびっくりしたな。」
「他の神官とかでも同じなのかな?」
「さあ? まぁ、用心するしかないな。」
「うん。」
「じゃあ、気を取り直して、地下2階まで行こうか。」
「やった~! スケルトンナイトの魔石楽しみ~♪」
そうと決まれば、余計な寄り道をせずに真っすぐ進むことにした。
途中の敵はメイに任せ、交互に仲良く魔石を頂いていく。先ほど掛けて貰ったプレスの効果は今一つわからかった。
まぁ、そんなことより、やっぱり魔石は最高だ!!
パンドンパクリを繰り返し、あっという間に地下2階へ到着した。
「ここから本気出すぞ~!!」
「お~!!」
さっそく盾持ち発見!!
ドドン! パン!
「メイ、どうぞ。」
「良いの?」
「当り前じゃ無いか、俺は先にメイにあげると決めていたんだ。食ってくれ。」
「ありがと~♪」
メイが魔石を食べると、両手をブンブンと振り回しながら足踏みしている…
「ん~~~~~~!! ん~~~~~!!」
どうやら最高に喜んでくれたみたいだ。
しばらくして、元に戻ったみたいだ。
「あ、危なかった~!! 久々のこの魔石は危険だわ…
シュウ、貴方も気を付けなさいよね。」
「お、おう。」
俺は、しっかりと意識を持って対応することを誓うのだった。
何度かスケルトンソルジャーコンビを倒した後に、スケルトンナイトを発見した。
「居た~!!」
ドドドン! パン!
メイが血走って思わずスケルトンナイトまで攻撃していた。
魔法は効かないと言うのに…まあいいか。
「はい、どうぞ~」
メイがニコニコ顔で魔石を持ってきた。
「ありがとな。」
意識をしっかり持って、いざ勝負!!
パクリ…
(ここからはシュウの心理状態をお楽しみください。)
ヨーロリヨーロレヨーロホッホー
あぶぶぶあぶばぶああぶうぶぶぶ
あひゃひゃひゃあひゃあひゃうひゃひゃひゃひゃ
ぴ~ひゃらぴ~ひゃららぴ~ぴ~ひゃらら~
「…はっ!」
「あ、戻ってきた~」
「ごめん、ダメだったみたいだ。」
「あはははっ、どんまい~」
とまぁ、多少の問題は有ったみたいだが、俺達は地下2階の探索を続けるのだった。




