食料
とうとう最後の1つを食べ終えてしまった。
あれだけ有った石がもう無い、残念である。
俺の体はあれ以降の見た目上の変化は感じられなかったが、どうなったのだろうか?
切実に鏡が欲しいと思ったが、無い物は仕方がない。
「さて、どうするかな。」
ん? 今何か声が聞えたな…って俺か?
「あー、あー、マイクテス、マイクテス。
本日は晴天なり、本日は晴天なり。」
どうやら、いつの間にか話せるようになっていたみたいだ。
おそらく肉が付いたことで声帯も作られたのだろう。全く気が付かなかった。
だからどうしたと言うのが正直な所だ。話し相手も居ないしな…
・・・・
声が出せるようになったので、暇つぶしに早口言葉を練習している。
「生麦生米生卵。」
「隣の客はよく柿食う客だ。」
「赤巻紙青巻紙黄巻紙。」
「東京特許許可局。」
ふふん、完璧だぜ!
さすがに何年も長期間練習すれば、誰でも上手にもなるか…
ひゅ~~~~~グシャ!
「ひゃっほ~い! 今日は石祭りだ~!!」
・・・・
あれから相変わらず暇つぶしを見つけては実行し、たまに落ちてくるお仲間の石を食べて生活している。
とりあえず、ガイコツの時同様に、何も食べなくても寝なくても問題は無いみたいだ。
ひゅ~~
あ、また落ちて来たな、今回は珍しく人っぽい。
石が食べられない、残念だ。
何気なく集中して見てみると、時間がゆっくりに感じられた。
落ちてくる人もゆっくりと降りて来る様に見える。
「親方! 空から女の子が!!」
何故そう思ったのかは分からないが、頭にこの言葉が浮かんだ。
だが、落ちてくるのは男だ、全く意味が分からない。
ただ、この速度なら助けることが出来るのかもしれない。
俺は話し相手に飢えているのだ、助けてみることにした。
俺は腕を出して、男をお姫様抱っこで受け止めることにした。
ガシッ! ゴキュ! ブチブチブチ…ゴトン…
…えっと? と、とりあえず受け止めることは出来た。
出来たんだけど、頭の重さが重力と速度による慣性に耐えられなかったみたいで、首の骨が折れた後に首が千切れて落ちてしまった…
で、この速度で落ちてきたのに平気で受け止めた俺って…まあいいか。
今回受け止めた関係で、鎧とか武器、荷物が無事だったのは幸いだ。
今着ていた服はボロボロだったので、そろそろ交換したかったのだ。
装備を外し、服を脱がせた後に、着替えることにした。
久々の新しい服に、な、な、な、何と金属製の鎧ですよ、奥さん!
初めての金属鎧、まぁ胸の部分だけだが、俺のテンションはダダ上がりである。
しかも、ロングソードのオマケつきである。もう最高である。
長年と愛用していた皮のリュックもボロボロだったので交換することにした。
しかも今回は中身も無事だったのは幸いだ。
リュックの中には、何かの液体が入った瓶が2つ、多分お金であろう銀の丸い金属が1枚、銅の丸い金属が18枚、鉄の丸い金属が30枚、食料が4食分だ。
そして何と! お仲間であろう石が5個程入っていた。いただきま~す!!
「うむ、美味である。」
石を食べて満足した俺は、次に食料を試してみることにした。
黒いパンと、ビーフジャーキーみたいな肉だ。
「いただきま~す!」
うん、マズイ! 要らない!
すっかり食べる気も無くなったが、とりあえず何かの役に立つかもしれないので、取っておくことにした。
あー口直しに石が食べたい…
石はごちそう。