またまた昇格した
ギルド長室へやってきた。
「そこに座りなさい。」
ゴーバンさんがソファーを指したので座ることにした。
「まずは、君たちのランクを確認したいんだが。」
「銀ランクです。」
「私は銅ランクです。」
「銀ランクと銅ランクの2人で、スケルトンナイトを倒すとは…」
あの盾持ちってスケルトンナイトって言うんだ。勉強になった。
「たまたま?」
「たまたまではスケルトンナイトなんぞ倒せんよ。
アレは、銀級のPT複数人で当たってなんとか倒せる敵じゃからな。」
そうなんだ、でも弱かったよな? 魔石は最高に旨いけどな。
「へぇ~そうなんですか。」
「…大して苦労してなさそうじゃな、どれだけの実力を持って居るのやら…よし!
二人ともワシの権限で金クラスに昇格させてやろう。」
「えっ? 二階級特進!? 私死んじゃうの?」
「大丈夫。メイは俺が守る。安心してくれ。」
「シュウ…」
俺はメイを抱きしめて、安心させるために頭を撫でてあげた。
「…コホン。話を続けても良いかね?」
「「あ、はい。」」
思わず2人の世界に入っちゃったよ。反省。
でも、何で二階級特進すると死ぬんだ? はて?
「実力的にはミスリルでも行けそうじゃが、ワシだけの権限じゃ上げられないのじゃ。スマンの。」
「いえ、別に鉄クラスでも問題無いので、気にしてません。」
「そうか? お主らは依頼を受けるとかはしとらんのか?」
「依頼?」
「…しておらん様じゃの。まあいい。
ランクが上がると受けられる依頼が増えたり、他にも色々と優遇を受けることも出来るぞ。」
ふと、『上位ランクは強制依頼が発生する』との啓示が有ったので聞いてみることにする。
「あの、ランクが上がることでのデメリットとかって有るんですか?」
「そうじゃの、あえて言うならば依頼をお願いすることも有るくらいじゃな。
まぁ、大した依頼じゃ無いから気にする程でもないの。」
「参考に、どんな依頼ですか?」
「…色々じゃ。」
「何か怪しくない?」
「怪しいな。」
「私達って別にランクが高く無くても問題ないよね?」
「依頼も受けないしな。」
俺達の会話を聞いたギルド長は焦って言ってきた。
「そ、そんなことを言わずに受けておくと良いぞ!
武器が安く買えたり、安く宿に泊まれたり、お得な事が沢山あるぞ?」
別に宿は使わないし、武器も必要無いし、やっぱり要らないな。
「いえ、結構です。」
「そ、そうか…」
ギルド長はガックリと項垂れた。
そこに、一人の男性がやってきた。
「アイテムの確認が終わりました。」
「報告したまえ。」
「はい。スケルトンソルジャーの剣が29262本、スケルトンナイトの剣が3640本、同じく盾が3640個となっております。」
「ずいぶんと狩ってきたもんじゃ…これは値崩れするぞ。」
「それは俺の範疇じゃ無いのでお任せします。」
「で、全部売るのか?」
「はい。お願いします。」
「えっと、今回の全部売るとなると、聖金貨4枚、白金貨56枚、金貨42枚ですね。お確かめください。」
「ひ~ふのみ~…うん、問題無いです。」
「では、ギルドカードをお預かりしますね。」
一瞬ギルド長が男性をちらっと見ていたが、何も言ってないので気にしないことにした。
俺達はカードを男性へと渡す。
「では、処理をしてきますので、少々お待ちください。」
待っている間に受け取ったお金を指輪へとしまった。
大量のお金が手に入ったので、メイはホクホク顔だ。
おそらく、何を買おうか今から胸を膨らませているとみた。
「お待たせしました。カードをお返しします。」
男性から渡されたカードは何故か金色だった。
「おい! 金色になってるぞ!」
「はて? 手違いでもあったかの?」
ギルド長はそっぽを向いて知らんぷりをしている。
「この、タヌキジジイ!! 今すぐ戻せ!!」
「一度上がったのは下がらんよ。スマンが諦めてくれ。
まぁ、何か有った時は宜しくの。ほっほっほっ。」
「ひっど~い!!」
メイも激おこだ。
「メイ、良いよ。どうせ依頼が必要な時は俺達は此処には居ないだろうし、連絡も付かないだろうしな。」
「…それもそうね。」
「どう言う意味じゃ?」
ギルド長が俺の言葉に疑問を持ったらしく、男性に聞いていた。
「えっと、前回のギルドへの訪問は17年前となっておりまして…はい。」
「何じゃと!?」
「ま、運が良かったら受けるよ、じゃあな~」
俺達はそそくさとギルド長の部屋を後にした。
「待つんじゃ! せめて連絡先を…」
パタン…
扉の向こうで何か叫んでいたが、聞こえないふりをすることにして、ギルドを後にした。




