進化?
あれからずいぶんと時間が経った。
相変わらず崖の底でうだうだと生活している。
食事も水分も必要無いアンデットで本当に良かったと思う。
定期的にお仲間と人が落ちて来るが、助かったのは皆無だった。なむ…
お仲間は何も持って居なかったが、人は色んなアイテムを持って居たので、有効活用として頂戴しておいた。
御蔭で、それなり装備は充実してきたが、使うことも無いのは残念である。
今の俺の装備はこんな感じだ。
布の服、布のズボン、皮の鎧、皮の手袋、皮のブーツ、皮のリュック。以上!
え? 皮の装備だけだって? だって、落ちて来た金属系の防具って全部ベコベコに変形して装備出来ないんだもん仕方が無いと思う。
もちろん武器も折れたりしていて使い物にならない。なのでこの装備なのだ。
素っ裸でずっといるってのもアレだしね、一応形からと言うことで装備しておいたのだった。
カバンの中は石だけ入っている。食料は腐って駄目になったし、ポーションらしき瓶は割れて駄目になっていたし、他に使えそうな物も無かったからな。
で、このカバンの中に入っている石のことなのだが、これが何に使う物なのかさっぱり分からない、お仲間が亡くなった後に唯一残るのがこの石で、消えることが無かったのだ。
あちこちに落ちていたので、とりあえず供養する意味でも集めておいた。
カバンに入りきらなくなったら1ヶ所に集めて、また1から集めるを繰り返している。今は、向こうの角に山にしてある。
いつかこの山を登って脱出するつもりだ。
最近の暇つぶしは、この石を使っての物作りだ。簡単に言えば積木遊びだ。
この絶妙なバランスを取るのが難しいだよね、ここまでの域に達するには苦労したものだ。
今は某名所の高い建物を模したものを作成中だ。
・・・・
あと1つを乗せれば完成だ…緊張するな。
その時!
ひゅ~~~~グシャ!
お仲間が完成直前の力作の真上に落ちてきた。
そして、建物はスローモーションで花火の様に飛び散るのが見えた。
それを見た俺は怒りを忘れ、綺麗だと思ってしまったのは不覚だった。
俺はあんぐりと口を開けてその瞬間を見ていたため、1つの石が俺の方へ飛んできて、口の中へと入ってしまった。
その瞬間、俺は覚醒した!
旨っ! 何だこれ、旨っ!
初めての感覚だった。ずっと痛みも暑いも寒いも、もちろん味覚も嗅覚も触覚も無い時間を随分と過ごしてきていたが、ここで初めて旨いと言う感覚に俺はビックリした。
しかも、食べた瞬間に石は消え、この隙間だらけの体の何処に吸収されたのか疑問は尽きないが、とりあえず食ったのは間違い無いみたいだ。
さらに、驚いたことに、長年で削れたりぶつかったりした傷がすっかりと消え、新品の骨になっていた。
もしかしたら、この石は俺みたいな骨にとっては、回復薬みたいな物なのだろうか?
先ほどの旨いと言う感覚が忘れられなかった。そして、目の前には山になっているお仲間の石が大量に有る。
…ゴクリ…
い、1個くらい良いよね?
俺は石を1つ手に取ると、口の中に放り込んでみた。
旨っ! ヤバすぎるほどに旨い!
俺はもう1つ石を手に取り、口へと運ぶ。
・・・・
ガツガツガツ…
あれからどのくらい経ったのだろうか、相変わらず俺は石を食べ続けている。
あれだけ食べたにも係わらず、俺のお腹は不思議と一杯にはならなかった。お腹が減るってことも無かったけどな。
そして、食べ始めてから俺の体はどんどんと変化を続けていた。
最初は骨が頑丈になっているだけだったのだが、うっすらと肉が付き、皮膚まで出来た。
目が作られ、歯が生え、髪の毛も生えてきた。
鏡が無いから分からないが、ぱっと見で人に見えるのでは無かろうか?
一度食べるのに夢中で、頭上にお仲間が降ってきたのだが、お仲間は粉々に砕けたが、俺は平気だったのはビックリした。
体はカチコチに硬い訳では無く、指で押すと弾力が有って普通の皮膚の様な感じがするのだが、あの強度は何だったのだろうか?
もちろん痛みは感じなかった。
ここで一つ気が付いたことが有る。何と触覚が有ったのだ。
石を掴む感覚も今思えば有ったのだが、食べることに夢中で気にしていなかったのだ。
そして、気にしたことで分かったことが有った、臭覚も温度も感じることが出来たのだった。
ずっと快適な温度だったので感じているのかは微妙だが、臭覚は間違い無く有るみたいだ。
微妙なカビ臭さやら色んな匂いがしている。人が落ちた時は鉄の匂いも感じることが出来た。
・・・・
俺はまだ石を食べ続けている。
山は半分ほど減っただろうか? まだ沢山有るので安心である。
ふと、肉体を持ったにも係わらず、石以外を食べていないが問題無いみたいだ。
ついでに言うと、う●こや、お●っこもしていない、正にアイドルである。
俺は一体何になっているのだろうか…
最初、ゾンビ、グールって感じに進化させようと思ったけど、面ど(以下略)