指輪の性能
「店員さん、可哀相だったね。」
「そうだな。」
そうは言ってはいるが、俺達は幸せいっぱいの笑顔だった。
でも、今日だけは仕方無いと思う。
「ねーねー、何か入れてみてよ。」
「そうだな。」
確か小銭程度なら入ると言ってたことだし、財布をしまっておくか。
皮のリュックから財布を取り出し、リングへ収納してみた。
財布はリングに吸い込まれる様に入って行った。
「おお!」
次にメイがリングへと手をかざすと、メイの手元には財布が有った。
「へぇ~、リングに手をかざすと、中に何が入っているのか分かるんだ。」
そう言って財布をしまったので、俺もリングに手をかざしてみた。確かに財布と表示されていた。
ふと、思い付いて、財布を取り出し、中身だけしまってみた。
そして、リングの中身を確認するとこんな感じだった。
『白金貨:5、金貨:127、銀貨:67、銅貨:10、鉄貨:50』
試しに銀貨1枚だけ取り出してみると、問題無く銀貨1枚だけが取り出せた。
「いちいち財布から出さなくても大丈夫になった分、楽かもしれない。」
「そうだね~ 後はどのくらいまでなら入るんだろうね?」
「そうだな、限度を知っておくのも必要か。」
とりえずリュックの中に入っていた白紙の魔導書と、ポーション瓶2本、宝箱から出た矢を入れてみたが、すんなり入ってしまった。
「結構入るな。」
「うん。」
物は試しと言うことで、皮のリュックを入れてみた。
「入っちゃった。」
ついでに背負子も入れてみたが、問題無いみたいだ。
「ねぇ、もしかしたらなんだけど、私って魔力切れって起こさないよね? と言うことは…」
「俺も全く疲れない体力が有るし、ひょっとして…」
お互い顔を見合わせてしまった。
「「沢山入るのかもしれない!!」」
思いがけない所で、とんでもない物を手に入れてしまったみたいだった。
決して馬鹿魔力の持ち主とか、体力馬鹿とは言ってはイケナイ。
「ま、まぁ、便利だし、いいよね?」
「そ、そうだな。」
これで持ち切れないからと、いちいち帰る必要が減るだけでも儲けものだ。
入れられることについては気にしないことにすることにした。




